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現代人だけが環境の破壊者なのか?

歴史的観点から考える異常気象~田家康さんに聞く(上)

2014年1月7日(火)

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 昨年、フィリピンを襲った台風の被害の記憶は新しい。それだけでなく、欧州や北米を嵐や寒波が襲い、日本でも年々厳しくなる夏の猛暑や局地的豪雨など、近年、異常気象が増えているように感じる人は多いだろう。

 しかし歴史をひもといてみれば、異常気象は現代人だけを襲う現象ではないことが分かる。古代から人々は異常気象に見舞われ、時の為政者たちはさまざまな対策をとってきた。

 本業の傍ら、歴史と気候変動の関係を丹念に調べ、3冊の著書を上梓した田家康さんに、歴史の教訓を踏まえつつ、今後、私たちは異常気象とどう向き合っていけばいいかについて聞いた。(聞き手は飯村かおり)

田家康(たんげ・やすし)
1959年神奈川県生まれ。1981年横浜国立大学経済学部卒。農林中央金庫農林水産金融部部長(森林担当部長)を経て、2011年より農林漁業信用基金漁業部長。2001年気象予報士試験合格。日本気象学会会員。日本気象予報士会東京支部長。農林中金総合研究所客員研究員。著書に『気候文明史』『世界史を変えた異常気象』『気候で読み解く日本の歴史』(写真:鈴木 愛子、以下同様)

最近は世界各地で異常気象による自然災害が起きており、やや乱暴な言い方ですが、人為的な環境破壊が異常気象を引き起こす要因になっている、などといった論調もあるようです。ただ、田家さんの著作からは、古代から人の手による自然環境の破壊が行われていたことが分かります。

田家康氏(以下、田家):そのことを象徴的に表すのがマツタケです。マツタケという言葉の初見は1006年編纂の『拾遺和歌集』ですので、その頃からアカマツ林に生えるマツタケが増えていったのでしょう。平安時代末期には、藤原定家がマツタケ狩りをしたと『明月記』に書いています。

 一方、奈良時代から平安時代にかけては、『続日本紀』以後の六国史に、近畿地方が度々干ばつに襲われたという記録があります。

近畿地方から巨木が消えた?

 日本にはそもそもスギやヒノキといった針葉樹とブナ・ナラといった広葉樹が混合した自然林が広がっていました。飛鳥・奈良・平安時代にかけて、奈良を中心とする近畿地方では木材として針葉樹を伐採し、炭を作るための燃料として広葉樹も伐採しました。古代日本の森林伐採です。その結果、表土が失われた痩せた土地にアカマツが侵入してきました。アカマツは森が荒廃した時に最後に植生する樹木です。

 この乾燥したアカマツ林で生育するのがマツタケです。水蒸気の多い「ネバ土にマツタケなし」と言われています。広葉樹の生える湿潤な森林で生育するのがヒラタケです。木曽義仲が京都に入った後、ヒラタケがないと嘆いています。

 このように、マツタケを好む日本食文化とは、奈良時代から平安時代での森林伐採と当時の降水量の少ない環境が大きく関わっていると言えます。

今でも奈良や京都には法隆寺や東大寺を始め、木造の建築物が多く残っていますが、こういった建造物を造るための木材を調達するために森林伐採を行ったのでしょうか。

田家:東大寺については、源平の乱で燃えてしまいました。その後、源頼朝が寄進して東大寺大仏殿を再建します。この時使ったヒノキは山口県から持ってきています。ところが再び、三好と松永の戦乱で大仏殿が燃えてしまうんです。戦国時代ですね。今の大仏殿は江戸時代に再建したものですが、当初の3分の2の規模です。しかも木材は宮崎県から持ってきました。

さらに遠くまで行かないと木が調達できなくなってしまったほど、近畿地方での森林伐採が進んでいたということでしょうか。

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「現代人だけが環境の破壊者なのか?」の著者

飯村 かおり

飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経トップリーダー副編集長

2007年より「日経ビジネスオンライン」編集部に在籍。信頼できるおもしろいコラムを世に送り出すことを楽しみにやってきましたが、2015年よりクロスメディア編集長となり、ネットから紙の世界へ転身。書籍などの編集に携わっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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