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介護の虐待はなくなるか?

「施設の実態」の見抜き方

2014年1月8日(水)

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 千葉県社会福祉事業団が運営する施設で11月、知的障害がある19歳の男性入所者が、職員に虐待を受けて死亡した事件が明るみに出た。さらに、暴行した職員が、その後の調査で増え続けるという異常事態に陥っている。社会福祉の現場は「低賃金、重労働」と言われ、退職者が後を絶たず、職場が荒廃しているとも指摘されてきた。そうした問題が未だ悪化の一途を辿っているのか。今後、「危険な施設」に入らずに済む見分け方はあるのか。社会福祉や介護の現場を歩いて、独自の調査を続ける東京財団の三原岳研究員に聞いた。(聞き手は金田信一郎)

今、問題になっている千葉県社会福祉事業団の施設ですが、発端は、知的障害がある19歳の男性入所者が、職員に虐待を受けて死亡した事件でした。

三原:あの施設は、障害者施設ですが、障害者総合支援法についても、介護保険と同様、サービス給付やコード数があって、同じような報酬体系で回っています。

三原岳(みはら・たかし)氏
東京財団研究員兼政策プロデューサー。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1995年時事通信社に入社し、経済部、高知支局、内政部で勤務。その間、財務省、国土交通省、文部科学省、全国知事会、東京都庁などを担当し、税財政や地方行財政、公共事業、教育などの政策決定過程を取材。2011年4月から現職。日本財政学会、日本地方財政学会会員、自治体学会会員。

社会福祉施設の現場は、労働時間が長くて不規則な割には、賃金が他の業種と比べても低いと言われます。こうした職場環境が、虐待につながっていると言われます。これは今も変わってない?

三原:離職率は、たぶん景気が上がってくると悪化する可能性がありますね。

 介護保険に関しては「介護職員処遇改善交付金」という制度が2009年度補正で創設されました。これは国が3年間で約4000億円を出して介護職の給与を月平均1万5000円引き上げる制度です。それが3年間の期限が終わって、2012年度改定で「介護職員処遇改善加算」が介護報酬の中に入りました。だから本来、事業者は介護職員の処遇を改善しなければならない。

実際は、改善していない?

三原:データは改善しています。全産業平均で見れば低いですが、給与は上がっているデータになっています。

 ただ、景気が良くなっていくと分からないですね。離職率は2011年10月から2012年9月の間で17%となって、前年比でわずかに上がっています。ここから景気が良くなっていくと、給与の高い産業に流れて離職率が上がってくる可能性があります。

では、アベノミクスによって景気が上がっても、改善するとは限らないわけですね。

三原:関係ないですね。

 でも、現場をウオッチしている限り、低賃金だけが辞める理由ではありません。確かに全産業平均で見れば介護職の給与は低いのですが、何で辞めているか理由を聞いている「介護労働安定センター」の調査を見ると、「人間関係」が24%ぐらいで一番多い。「経営理念に対する不満」も同じく24%で2位になっています。「低賃金」を理由に挙げる人は17%ぐらい。

 やっぱり人間関係が悪かったり、経営の理念がしっかりしていないところが多いのではないかと感じます。例えば人間関係でいうと、「閉じられた空間」の仕事なので、利用者との関係もあるし、それから職員同士の関係も影響していると思います。

 例えば、こんな現場の話を聞きました。介護職のAとBとCというベテランヘルパーさんがいます。この人たちは、みんなばらばらに経験を積んでいる。そこに、新人Dが入ってきて、Aという人の話を聞いて仕事をしたとします。その後に、シフトでBが来ますよね。そうしたらBは「何でAのやり方をやるんだ」と怒る。

なるほど、人によってケアの仕方は違うわけですね。

三原:AとBとCは、見掛けは仲がいいんですよ。だけど仕事のやり方が気に入らないから、「何でAさんのやり方をやるの」と言う。そこで新人Dは、1週間かけてBのやり方に変えて、今度はCの下に入ったら、「何でBさんのやり方をやるのよ」と言われる。

 閉じられた空間で、すごく自分のやり方に凝り固まっている。だから介護は本当に十人十色のケアがある。ケアの内容や要介護者との関係も人間性が現れます。だから、どれが悪いとは一概には言いにくい。

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「介護の虐待はなくなるか?」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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