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異色の人間国宝が弟子を取らない理由

青磁・人間国宝、中島宏氏に聞く「ものづくり」の極意

  • 森田 聡子

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2014年1月10日(金)

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2007年、「人間国宝なんて、熨斗をつけて返してやる」と言う陶芸界の異端児が、青磁の人間国宝に認定された。あれから7年。豪胆な物言いは変わらないものの、「いい加減なものを世の中に出せないという気持ちが強まった」と当の中島宏氏は語る。世襲や伝統の承継が重視される中、独学で唯一無二の作品世界をつくり上げた中島氏に、日本の伝統工芸や、ものづくりの極意を聞いた。

(聞き手は森田聡子)

中島さんは、2007年に文化財保護法第71条第2項に基づく重要無形文化財保持者、つまりは人間国宝に認定されていらっしゃいますね。当時は「異色の人間国宝誕生」と話題になりました。

青磁・人間国宝
中島宏氏
1941年、佐賀県生まれ。69年、弓野古窯跡に登窯を築いて独立する。2002年、日本工芸会理事に就任。05年から06年にかけ、東京・松涛美術館と福岡・福岡市美術館で「中島宏―現代を生きる青磁」展を開催した。06年に日本陶磁協会賞金賞を受賞。07年、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。12年には、日本工芸会副理事長、陶芸部会会長に就任。旭日小綬章も受章した。(写真以下同:青沼修彦)

中島:まぁ、異端児ですからね。

 陶芸の人間国宝を見ると、中里太郎右衛門(12代)、今泉今右衛門(13代)、酒井田柿右衛門(14代)など、伝統ある陶家に生まれた人の比率が高い。その点、私などは師匠にも付かずにやってきましたから。

 人間国宝になった時、文化庁が用意してくれた私の推薦書を読む機会がありました。そこには「独創的な中島青磁を確立した」と書いてあって、あぁ認めてもらったんだなぁと思うと、ふっと肩の力が抜けました。

 人間国宝はやはり古いものを熱心に研究したり、伝統を守ってきたりという人が多いので、推薦書にも「何とか焼の格調を高めた」なんて書いてある。

 確かに陶芸の世界には昔の作品を真似てつくるという文化があるけれど、私はとにかく、誰もやらなかったことをやりたかった。そうしないと、武雄市のような片田舎にいて、歴史ある家柄でもない人間に、目をかけてはもらえないでしょう?

知的で核心をつく物言いから「陶芸界きっての論客」とも言われる中島さんですが、人間国宝になって変わったことはありますか?

中島:「熨斗をつけて返す」とか言っておきながら辞退もせずにもらっちゃったわけですが、好き放題ものを言う点は変わらないかな(笑)。いかにも人間国宝ぶっている人たちは滑稽だと思うし。いつまでも自由でいたいしね。

 ただ、やっぱり他人がそういう目で見るから、いい加減なものを世の中に出せないという気持ちが強くなった。作品の選択がより厳しくなりました。

 50年この世界でやってきましたが、つくった作品の中で成功といえるものは1割程度です。納得がいかなくて割ったものも数知れず。家内からは「割るために作品をつくっているみたいですね」と言われます。

コメント5件コメント/レビュー

手取り足取り教えた方が早いことと、自分で学んだ方がいいこととは、内容により区別した方がいいですし、指導者はその見極めをしっかりつけ、単に突き放すのではなく、なぜあえて突き放すのか面倒でも言葉に出さないと、今の若者にはその思いも伝わらないと思います。パソコンソフトの基本操作一つとっても、効率的に作業を進める上でも裏技などは教えて貰った方が時短につながりミスも減らせますが、プレゼンのスキルは小手先のテクニックだけマネしたところで所詮オリジナルを超えることはできず、行き過ぎると指示待ち社員を増やす弊害の方が大きいでしょう。やり方がわからず戸惑っている社員を突き放すだけで、酷い場合には見下して溜飲を下げている。日本企業が競争力を失ったのも、単に突き放すだけでフォローしようとしない上司や先輩が増えたから。一匹狼の個人事業主ならそれでも構いませんが、人を本気で育てようとする努力を怠るようになったら組織は崩壊していくだけです。(2014/01/11)

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手取り足取り教えた方が早いことと、自分で学んだ方がいいこととは、内容により区別した方がいいですし、指導者はその見極めをしっかりつけ、単に突き放すのではなく、なぜあえて突き放すのか面倒でも言葉に出さないと、今の若者にはその思いも伝わらないと思います。パソコンソフトの基本操作一つとっても、効率的に作業を進める上でも裏技などは教えて貰った方が時短につながりミスも減らせますが、プレゼンのスキルは小手先のテクニックだけマネしたところで所詮オリジナルを超えることはできず、行き過ぎると指示待ち社員を増やす弊害の方が大きいでしょう。やり方がわからず戸惑っている社員を突き放すだけで、酷い場合には見下して溜飲を下げている。日本企業が競争力を失ったのも、単に突き放すだけでフォローしようとしない上司や先輩が増えたから。一匹狼の個人事業主ならそれでも構いませんが、人を本気で育てようとする努力を怠るようになったら組織は崩壊していくだけです。(2014/01/11)

人間国宝には後継を育てる義務があったような?(2014/01/10)

自他共にと思っている、自分だけかもしれない、そして他人・ひとだけがそう見ているだけの異端児、つまり列外一名という輩と言うには失礼だし当たらない、一風変わった御仁や変人も妥当ではない、かと言って氏のような方、ご自身が指摘のように矢張り”異端児”か。私は好きだ。昨今何かにつけて行列のできる◯◯だ、ランキングナンバー 1 だ、アンケート第1位だと姦しい中、敢えて逆を往くが如きを好むのか奇を衒っての話かと思う。氏は人間国宝の身、内心迷惑にせよ一方で余の人が指定され得ない栄誉として感得され、その上は生身の生きざまとしての信条・思想として弟子をとらないというのは不思議なことではない。人間国宝と指定するのも、異端児と論うのも氏を除いた他人たちであれば、孤高の精神の持ち主くらいの見かたをしているのが丁度いいのではないかと考える。(2014/01/10)

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三品 和広 神戸大学教授