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靖国参拝さえなかったら…

安倍首相と日本、これだけの「痛い点」

2014年1月30日(木)

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 昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝で、中国と韓国が反発を強めている。米国からも「失望」という表現を使われるなど、国際世論の逆風に晒されている。今後の隣国関係にどのような影響を及ぼすのか、津田塾大学国際関係学科の萱野稔人准教授に聞いた。

(聞き手は金田 信一郎)

隣国の中国、韓国との国境紛争が激しくなってきました。

萱野 稔人(かやの・としひと)
津田塾大学国際関係学科准教授。1970年愛知県生まれ。2003年パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了(パリ大学哲学博士)。著書に『国家とはなにか』(以文社)、『超マクロ展望 世界経済の真実』(集英社新書、共著)など

萱野:国境紛争に限らず、中国や韓国との関係悪化はしばらく続くでしょうね。15年前と比べるなら、このかんにどれだけ中国や韓国との関係悪化が進んだかがわかると思います。私たちも、もはやそれに慣れっこになってしまいました。とりわけ中国・韓国との国境紛争が解決の方向に進むことは当面ないでしょう。むしろ、解決というよりは、これ以上状況を悪化させないよう現状維持に努めることをまずは考えたほうがいいぐらいです。

 ただ、関係悪化は何も日中・日韓のあいだだけの話ではありません。歴史問題ひとつとっても、実は中韓のあいだの対立のほうが根深い。高句麗は朝鮮民族の独立国家だったのか、中国史のなかの単なる地方政府に過ぎなかったのか、といった論争や、満州はもともと朝鮮民族の土地だったのではないか、といった論争ですね。

 これは韓国にとっては自国民のアイデンティティにかかわる相当大きな問題です。朝鮮民族はユーラシア大陸において陸続きの場所にありながらも一度も中国には統合されなかった、独立した文明をもった民族だ、というのが彼らの民族的アイデンティティになっていますから。

中国としては朝鮮半島を「属国」とする考え方がある、と。

萱野:属国というか、ただの一地方だった、と。実は中国の国内にも多くの朝鮮民族がいますから、中国も彼らを完全に独立した民族だとあまり認めたくないわけです。それを認めてしまうと、チベット族やウイグル族の問題に加えて、新たな民族問題を抱え込むことになってしまいかねませんから。

 中国としては、国内の朝鮮民族はただの「国内マイノリティー」だという位置づけにしておきたい。ただ、そうなると朝鮮民族は「中国にインテグレート(統合)されるべき存在だ」という話にもなっていく。韓国からしたら当然受け入れられる話ではありません。

 要するに、中韓の歴史問題は「朝鮮民族とはそもそも何か」という問題にかかわっていて、ものすごく根深い歴史問題なんですよ。

日本にいては見えにくいポイントですね。

萱野:北朝鮮の問題がありますからね。国境問題にしたって中韓の対立は本当はかなり根深いのですが、北朝鮮問題という切迫した問題があることで、なかなか前面にはでてきません。

その北朝鮮なんですが、独裁政権として国際社会からは孤立しており、唯一の外交ルートが中国だとみられています。その北朝鮮も「朝鮮半島は中国の一部」という見方は受け入れませんよね。

萱野:そこは棚上げじゃないですか、取りあえず。北朝鮮と中国はそんな話ができる状態にない。だから、話題に上がっていないのでしょう。逆にいえば、もし朝鮮半島の統一ということがあれば、中韓のあいだの歴史問題はものすごく大きくなる可能性が高いということです。

 ところで、北朝鮮と中国との関係でいえば、今回の張成沢(元国防委員会副委員長)の処刑は、中国にかなり大きな衝撃を与えているはずです。

それは外交のパイプが消えたという意味でしょうか。

萱野:それもありますが、もっと大きな意味があります。張成沢は中国の支援を受けながら、中国式の改革開放路線を北朝鮮でやろうとしていた人物でした。

コメント81件コメント/レビュー

靖国参拝の話は、一部の方が仰るように「自分の考えを何が何でも示すべき」、か「周辺の状況を考えて状況判断するか」になってきていると思う。「周辺の状況を考えたら、靖国参拝すべき」という論拠はあるのだろうか?と思う。(2014/02/05)

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「靖国参拝さえなかったら…」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

靖国参拝の話は、一部の方が仰るように「自分の考えを何が何でも示すべき」、か「周辺の状況を考えて状況判断するか」になってきていると思う。「周辺の状況を考えたら、靖国参拝すべき」という論拠はあるのだろうか?と思う。(2014/02/05)

極真っ当な意見だと思います。日本の国益を第一に考える、愛国心と知性ある日本人なら当然筆者の見解に同意するだろうと思いながら読みました。ところがコメント欄を見て驚いた。これが日経ビジネスの読者のレベルなのか?この国民にしてあの首相あり、というわけか。外交は一個人の心情や精神論では勝てません。冷徹な戦略あるのみ。日本外交にはそれが欠けている。前の戦争もそれで失敗したのに。(2014/02/04)

竹島や慰安婦や尖閣で日本の領土をとろうとしてる中韓の反日大合唱の今、靖国へ首相が行っても行かなくても同じことではある。日本の国内問題である。しかし、国内問題として敗戦の惨めさを親の世代から聞かされてきた身には軍国主義の時代の治安維持法や国家総動員法や特別高等警察の存在による宗教の自由がなくいつも東方礼拝を強制されたこと。神社へお参りして出征するのを赤紙で強制された事実。無理やり戦地へ行って南方で本気で靖国で会う事を思った筈はない。カニバリズムにまで貶められたのはよく知られている事実だ。靖国に祭られているのに不本意と訴訟を起こした遺族もいた。安倍首相にはほんとに驚かされた。(2014/02/04)

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