• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

社員と生き残るために「海外に出ない」

日本電鍍工業社長 伊藤麻美さん(第3回)

2014年2月6日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(前回から読む

伊藤 麻美(いとう・まみ)
1967年、東京都生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。ラジオDJを経て、98年に宝石鑑定士の資格取得のために渡米。99年に帰国して、2000年に父の創業した日本電鍍工業の代表取締役社長に就任。現在は関連会社の「日本アクセサリー」「ジユリコ」の代表取締役も務める。(写真:鈴木 愛子、以下同)

経営に関してまったくの素人だった伊藤さんが、32歳で社長に就任し、会社の再建に取り組まれたお話をうかがってきました。

 伊藤さんの発想には、ユニークな“逆張り”が多いですね。

伊藤:あえて逆張りをしているわけではないのですが、自分で「正しい」と思える方向に行くと、どういうわけか、人が言う経営セオリーとは逆になるんですよね。

社長に就任された後に、とりわけつらかったことは、どんなことでしたでしょうか。

伊藤:一番はお金ですよね。就任後、6年で経営が正常化するまで、ずっとお金で苦労し続けて、「お金だけがお金にしか換えられないものだ」と気付くわけですよ。お金だけは簡単に手に入らない。だから、二度とこの苦労はしたくない。そこが今でも、すごく大きなモチベーションになっていますね。

 それは、自分のためにお金が欲しい、という意味ではありません。就任当時は手形も振り出されていたので、お金がないと倒産する確率が格段に高かった。倒産したら、社員と家族が路頭に迷ってしまいます。それだけはしたくないと、その意味でのお金です。

会社の建て直しに着手した時に、従業員の解雇を行わなかったことは、伊藤さんの“逆張り経営”の筆頭ですが、人事に関しては、どのような考えでやっていらっしゃいますか。

伊藤:会社は正常化してから、リーマンショックが起こる直前まで業績が順調に伸びて、2008年度は年商が目標としていた7億円に近づいたんです。そこで、2009年の4月までに新卒と中途を合わせて10人、増員しようと考えていたんですね。

増員の目的はどこにあったのでしょうか。

伊藤:まず、会社が少しずつよくなってきている中で、明確なビジョンとして「100年企業」を目指そうと思い始めたからです。

海外進出はどの企業にも正解か?

日本電鍍工業は、2008年が創業50周年の節目でした。

伊藤:創業者の父は、50周年を見届けないまま亡くなりました。だったら私が100周年を見届けてあげたいな、と思いまして。ただ100周年って、その時、私は90歳を超えていますけどね(笑)。つまり会社の存続ということを、大きな目標に据えたいと思ったわけです。

モノづくり系の中小企業は、労働市場の変化にさらされやすく、生産拠点の海外シフトは昨今の流れですよね。その意味で、日本で人を採用するより、海外に工場を出したりする方が、投資効率は見込めるのではないですか。

伊藤:日本の製造業は、かなり以前から空洞化が指摘されていましたし、リーマンショックの前は、それが加速していました。当社にしても、海外へ行くという選択肢はもちろんあったのですが、私の中では、日本で雇用を守ることが優先順位の上位にあったんです。

 製造業の経営者の方たちにいろいろと話を聞くと、海外進出は技術の流出や、予測不可能な事態といったマイナスの面も多いわけです。そのリスクは、体力のある企業なら負えますが、ウチのようなところではまず無理だろうと思えました。

 また、海外にはベスト人材が行かないと、本気の勝負にはなりません。社内にベスト人材が複数いれば、可能性もあると思いますが、ウチは最少人数でやってきていたので、戦力の分散というマイナスの方が大きかったんです。だったら、海外進出という選択肢は、きっぱりはずそう、と決めました。

それで新規採用に踏み切った。

伊藤:それ以前に、何でみんな海外、海外と言うのか、そのことにも疑問があったんです。

コメント10

「才職兼美」のバックナンバー

一覧

「社員と生き残るために「海外に出ない」」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

短期保有者のいいようにさせたら、中長期で保有したいと考えている株主はどうなるのか。

貝沼 由久 ミネベアミツミ社長