イオンモール、イオンショッピングセンター、イオンタウン・・・。
巨大流通のイオングループは様々な名称で全国各地に複合型の商業施設を運営しており、その数は約300にも上る。だが、都道府県の中で唯一、福井県だけには1カ所もないことは、地元住民を除くと意外と知られていない。
ショッピングセンター(SC)関連だけではない。総合スーパーのイオン、食品スーパーのマックスバリュなど、グループの主力ブランドの店舗のほとんどが福井県には1店もない。コンビニエンスストア業態の「ミニストップ」と、酒類販売の「やまや」がわずかにあるくらいだ。
2010年の国勢調査によると、福井県の人口は約80万人。全都道府県の中で、下から5番目に少なく、出店候補地として優先順位が低いことは間違いがない。だが、福井よりも人口が少ない鳥取、島根、高知、徳島の4県にもイオンはグループの複合型商業施設を1~2カ所は設けており、総合スーパーの「イオン」や傘下の食品スーパーを合わせれば少なくとも5店舗以上は展開している。だが、福井にはそれらがないのだ。
とん挫した鯖江への大型出店
「県がね、広域調整の段階で、何が何でも出されんち(出させられないと)、言うんやね」
福井県鯖江市の牧野百男市長は、かつてイオンが同市に提案した大型SCの開発計画がとん挫した理由をそう振り返る。

出店協議が本格化した2006年当初、イオンの進出に牧野市長は乗り気だった。イオンが出そうとしていたのは敷地面積が約14万平方メートル、年商200億円という県内最大となる施設で、2000人の雇用を生み、年3億円の税収効果を出すとの見通しを示してきた。2006年度で人口約6万8000人、歳入218億円の同市からすれば、相当な魅力だ。
「眼鏡の町」として知られる鯖江の産業は製造業が中心で、市の商工会も工業関係の加盟社が約6割を占めていた。地元商店街の店主らには反対の動きもあったが、全体としては大型SCの進出は地域の活性化に資するとの判断があった。牧野市長は訪ねてきたイオンのディベロッパー関係者に「県さえ何とかしてくれれば、地元は(進出を容認)する方向でまとめる」と返事をしていたと言う。


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