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イオンを拒んだ町

「眼鏡の鯖江」を悩ませた活性化の劇薬

2014年2月10日(月)

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 福井県には全国の都道府県で唯一、イオングループの複合型商業施設がない。店舗撤退で生じた地元商業界との溝は、新規出店にも影響を及ぼした。地域インフラになりつつある大型商業施設と、地域との共生はありうるのか。

 イオンモール、イオンショッピングセンター、イオンタウン・・・。

 巨大流通のイオングループは様々な名称で全国各地に複合型の商業施設を運営しており、その数は約300にも上る。だが、都道府県の中で唯一、福井県だけには1カ所もないことは、地元住民を除くと意外と知られていない。

 ショッピングセンター(SC)関連だけではない。総合スーパーのイオン、食品スーパーのマックスバリュなど、グループの主力ブランドの店舗のほとんどが福井県には1店もない。コンビニエンスストア業態の「ミニストップ」と、酒類販売の「やまや」がわずかにあるくらいだ。

 2010年の国勢調査によると、福井県の人口は約80万人。全都道府県の中で、下から5番目に少なく、出店候補地として優先順位が低いことは間違いがない。だが、福井よりも人口が少ない鳥取、島根、高知、徳島の4県にもイオンはグループの複合型商業施設を1~2カ所は設けており、総合スーパーの「イオン」や傘下の食品スーパーを合わせれば少なくとも5店舗以上は展開している。だが、福井にはそれらがないのだ。

とん挫した鯖江への大型出店

 「県がね、広域調整の段階で、何が何でも出されんち(出させられないと)、言うんやね」
 福井県鯖江市の牧野百男市長は、かつてイオンが同市に提案した大型SCの開発計画がとん挫した理由をそう振り返る。

「当初は地元もイオン進出に賛成だった」と語る、鯖江市の牧野百男市長

 出店協議が本格化した2006年当初、イオンの進出に牧野市長は乗り気だった。イオンが出そうとしていたのは敷地面積が約14万平方メートル、年商200億円という県内最大となる施設で、2000人の雇用を生み、年3億円の税収効果を出すとの見通しを示してきた。2006年度で人口約6万8000人、歳入218億円の同市からすれば、相当な魅力だ。

 「眼鏡の町」として知られる鯖江の産業は製造業が中心で、市の商工会も工業関係の加盟社が約6割を占めていた。地元商店街の店主らには反対の動きもあったが、全体としては大型SCの進出は地域の活性化に資するとの判断があった。牧野市長は訪ねてきたイオンのディベロッパー関係者に「県さえ何とかしてくれれば、地元は(進出を容認)する方向でまとめる」と返事をしていたと言う。

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「イオン 飽くなき成長への執念」のバックナンバー

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「イオンを拒んだ町」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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