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搭乗型ロボ「クラタス」の信じがたいビジネスモデル

水道橋重工・倉田光吾郎氏(金属造形作家)に聞く

2014年2月14日(金)

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編集Yです。読者の皆様、こちらが「本当に人が乗って操縦できる」ロボット、クラタス(写真上)の製造・販売を行う水道橋重工の“創業者社長”、倉田光吾郎さんです。

倉田:Yさん、ちょっとまって、煽りすぎ。それにクラタスは作ったけど社長じゃないから(笑)。

クラタスの前はサッカーボールのキックマシン(カストロール1号)、その前は、アニメに出てくる「ボトムズ」の実物大を作っていましたよね。

倉田氏がひとり鉄板を叩き、溶接して作った巨大ロボ「スコープドッグ ブルーティッシュカスタム」。オブジェではなく、関節が可動する。ボトムズについては次ページを。

倉田:はいはい。インタビューしていただきました(編注:記事リンク先は「日経ビジネスEXPRESS」時代のページなので、表示が乱れます。ご容赦下さい)。

初めてお話を聞いてからもう9年、倉田さんが一人で鉄を叩いて溶接して作った「ボトムズ」は乗れるけれど動かなかった。それがついに、乗って操縦できるロボットを作って、販売サイトまで立ち上げて「メーカーを名乗る」までに。ここまでの経緯をかいつまんで教えて頂けますか。

クラタスの販促デモ動画。ヘッドホンを着用してどうぞ


倉田:クラタスにつながっているのは、カストロール1号(具体的な説明はこちら)ですね。木谷(友亮、株式会社カイブツ)が持ってきた仕事を僕が受けて、2人でやったと。

BPカストロール社が、2010年FIFAワールドカップのスポンサーになったことを記念して、イベント用に時速200km超のキックが放てるマシンを作ってくれ、という(※編注:実物の写真は、他社さんですがこちらを)。

倉田:はい、無茶な話だな、と思ったんですが受けてみました。どーやったら200キロでボール蹴れるか分からない、ノープラン状態で。でも、大抵のことはやってみたらできるもんですよね。

やればできる。そういうもんかなあ。

サービス仕事で「油圧」を学ぶ

倉田 光吾郎(くらた こうごろう)鍛冶師、金属造形作家。1973年生まれ。西洋鍛冶の実家で育ち、1991年に初作品「ベースギター」が公募展「FROM-A-THE-ART」で佳作入選。97年、富士山側にアトリエを構える。2004年から「1/1スコープドッグ ブルーティッシュカスタム」の制作を開始、その制作の日々を綴ったブログ「なんでも作るよ」が人気を集め、2005年に完成展示を行った個展「Nurseglove」では12日間で2万人(延べ)を動員した。その後、ピザ店の内外装デザイン、制作、JFEスチールの依頼による高炉モニュメント制作などを経て、以下本文に至る。(写真:大槻純一。クラタスの写真は「魂ネイション2013」展示にて撮影)

倉田:実際に時速200キロを達成してギネスにも登録されたんですが、スローでみると凄いですよ、ボールが蹴る足に巻き付くように変形してから飛んで行くというか、むしろ「ボールって凄いな」って感心しました。

そこか。

倉田:あと、威力がありすぎて、ゴールのネットを突き抜けちゃう。なので、ゴールしても全くネットが揺れない。おかげであまりダイナミックに見えなかった。ステンレスワイヤーのネットとかも作れば良かったと後悔してます。

そう来たか。

倉田:このプロジェクトは広告案件としては、かなり自由に作らせてもらって、最低条件をクリアすればその他は比較的自由でした。初めは自走とかする予定じゃなかったんだけど、面白みが少ないな…と思って。予算とギャラそのままでいいからやらせてくれって言ったり、最終的には油圧で立ち上がる機構までサービスで追加(笑)。

あれはサービスで付けたんですか。

倉田:でも、お陰で人のお金で油圧の勉強できたし、結果オーライ。

オーライか……?

倉田:それで、「あ、油圧って意外に簡単だぞ、1/1ボトムズと組み合わせたら動くロボットが作れるじゃないか」、と。ちょっと短絡的な流れですが。

文字通り短絡ですね。クラタス初号機の開発資金はどうされたんですか。

倉田:資金どころか、まず全部で幾らかかるのかさっぱり分からない。そんな話を木谷にしたら、広告方面でサポートするからとりあえず資金は自分持ち出しで始めよう、という感じに。

まずは自己資金で。

最初は自分のお金で作る

倉田:シリンダーとか、どこで買ったらいいのか分からない部品とかは、とりあえずヤフオクで買って、使い方が分からなければバラしてみたりとか。そういうとにかく安く済む方法で、どの程度の金額で製作ができるのかを知るための試作をしたのが、実機製作の始まりです。

 それを通してなんとなく、「これは、そこそこお金がかかるぞ」、と分かってきたんですが、スポンサードや外部のお金を入れるのは、少なくとも製作中は止めようと。

なぜですか?

倉田:例えばクライアントがある仕事だと、“ここをもう少し踏み込んだらスゲー面白くなるのに!”というところをいろいろな理由でブロックされる事って、普通に起きるじゃないですか。

私の仕事だと、芸能関係の方のインタビューでよくありますね。本人よりも周りの人が気にする場合がほとんどです。たいていすっごくつまらなくなる。「自分が話した内容なら、ノーチェックでOK」という方のほうが、実際、話も面白いんだ。

倉田:でしょうね。もの作りの場合も、企業が相手だと、例えばどんなに必然性があっても「ロボットに銃を持たせる?とんでもない!」となる。

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「搭乗型ロボ「クラタス」の信じがたいビジネスモデル」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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