• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

イノベーションは参勤交代に学べ

クルーグマンと共著のある藤田昌久京都大学名誉教授に聞く

2014年3月4日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 イノベーションが生まれるのはまったく違う文化や制度を背景とした多様な人々が集まる空間からである。数学モデルを使ってこう結論づけるのが、空間経済学を専門とする藤田昌久京都大学名誉教授だ。ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授との共著もある。

 地域の活性化が叫ばれて久しい日本だが、いまだに東京一極集中という状況は変わらない。しかし、同じような情報に接し、同じような考え方の人々が1箇所に固まっているだけでは、新しい知識は生まれない。

 アベノミクス「第三の矢」である成長戦略に不可欠なイノベーションを生むためには、どのような政策が必要なのか。藤田名誉教授に聞いた。

藤田昌久(ふじた・まさひさ)
経済産業研究所所長、京都大学名誉教授、甲南大学教授。研究分野は、都市経済学、地域経済学、空間経済学。1966年京都大学工学部土木工学科卒業。1972年ペンシルバニア大学大学院博士課程地域科学専攻修了。1994年ペンシルバニア大学経済学部教授、1995年京都大学経済研究所教授。2007年京都大学経済研究所特任教授。(写真/鈴木愛子、以下同)

まず、空間経済学とはどのような学問なのか教えていただけますか。

藤田:従来、地域・空間を扱う経済学は、都市を扱う都市経済学、特定地域を扱う地域経済学、国境を越えた貿易などを扱う国際経済学の3つに分かれていました。それらは、あくまで点としての都市、地域、国を対象にしたもので、いわゆる空間が経済活動に影響を与えるということは、経済学の中では長い間、無視されてきました。空間経済学は、それを理論に取り込んでいます。

 空間経済学が生まれた契機は、近年の急速なグローバル化、ボーダーレス化の進展です。その象徴がEUの誕生ですが、都市、地域、国際経済が複雑に絡み合った世界経済のダイナミックな構造は、細分化された従来の学問ではとらえることは不可能でした。

 そこで、従来の3つの経済学を融合し、全体を包括した学問を作ろうということでできた経済学の新分野が、空間経済学です。新しい経済地理学とも呼ばれています。2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンはこの分野の中心的な理論家です。私はクルーグマンと共同論文や共著を刊行しています。

国境に代わるものは「輸送費」

 規模の経済を重視するのも空間経済学の特徴です。これによって輸送費や立地が重要な意味を持ち、産業集積を理論的に説明できます。産業集積がどこに生じるかは、歴史的経緯に大きく左右されることから、経路依存性も理論に組み込んでいます。これらの原則は、世界レベル、国レベル、あるいは一国内の地域レベルという異なる縮尺において、同様に作用しています。

 空間経済学は、多様な人間活動が近接して立地し、互いに補い合うことで生まれる集積力に注目し、都市や地域、国際間の空間経済システムのダイナミックな変遷を分析するものです。代表的な空間経済学のモデルは、ミクロ経済学に「輸送費」「規模の経済」「多様性選好」の3つの要素を取り込んだものです。

 国境に代わるものは、広い意味での「輸送費」です。「規模の経済」との間のトレード・オフを通じて、多様な生産・消費活動が互いに連関しながら、都市・地域・国レベルでさまざまな集積を形成し、一方では分散してくプロセスを経済学的に分析することがこの学問の課題です。

 現在私は、地域間でコミュニケーションをしながら、多様性を増やすにはどうすればいいかということについて、知識創造における多様性という考えを入れて、空間経済学を考えています。

イノベーションには、空間経済学の考え方で説明できる部分があるようですね。

藤田:広い意味でのイノベーションには、頭脳の多様性が必要です。一極集中であまりにも密なコミュニケーションを続けていると、だんだんとクリエーティビティーが下がっていきます。

コメント2

「インタビュー」のバックナンバー

一覧

「イノベーションは参勤交代に学べ」の著者

飯村 かおり

飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経トップリーダー副編集長

2007年より「日経ビジネスオンライン」編集部に在籍。信頼できるおもしろいコラムを世に送り出すことを楽しみにやってきましたが、2015年よりクロスメディア編集長となり、ネットから紙の世界へ転身。書籍などの編集に携わっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師