
(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=ITpro編集長)
日高:ビジネスとITのかかわりの最新動向と、こうした状況下でマネックス証券としてどういう戦略をとるか、具体的には重要なソフトを自分で作ってしまうインソーシング戦略について伺いました(詳細は前編『「インソーシング」にした訳~マネックス証券 「この時代にアウトソーシングは無理です」』)。
その一方、ピーテルさんはボランティアで、放射線を測定してその結果を公開するSAFECAST(セーフキャスト)を作られた。その話を少し伺います。どういうお気持ちで活動を始めたのでしょうか。
フランケン:2011年の3月11日、東日本大震災が起き、福島の原子力発電所で事故が起きました。そのとき僕は東京にいたのですが、子供への影響をとても心配しました。若いときにオランダにいた際に、チェルノブイリの事故を経験した記憶も蘇りました。
心配になった時にはやはりデータが欲しいと強く感じました。どのぐらい放射線があるのか、どこに向かっているのか。それで10年以上前からの知り合いであるJoi(伊藤穰一、MITメディアラボ所長)に連絡しました。Joiと話して「ガイガーカウンターを入手する必要がある」という話になり、調べてみましたが同じことを考える人たちがすでに多く、どこも売り切れでした。かろうじて売れ残っているものには大した性能を持つ機種はなかった。
その後に生まれた考えは、政府などが公表している様々なデータを1つのウェブサイトにまとめて、みんなで教え合いましょうというものでした。こうしてセーフキャストが始まったのです。まずベータサイトを作って、1週間でウェブサイトを立ち上げました。ところがデータは無かった。もう完全にフェイル(失敗)だと思いました。
いいことを云うなぁ― だがどうなのかと疑問も。筆者の一石は何かにつけて万石を得させてくれた。期せずしてきょうの記事にビットコインの事、ゴーストライターの事の二編もある。前者では貨幣は金属や紙でなくてはならないの?かとあり、後者は時代の風潮として何事につけても付き纏うようなゴーストライターの影と言った内容。筆者のこれは、何より見出しの日本のエンジニアにリスペクトを!と言う処か。確かに技の匠と持ち上げるは持ち上げるが、指摘のような尊崇の念は薄い。その一方で斯く発破を掛けられると嘘か真か、真かウソか頓着もなく右習えするには急という面のある国民性も事実。言われればハイ、指摘も示唆もさては注意もされなかったから、この事はノーでは寂しい。本当のところは、自分でよく考えてみることに尽きる。記事後段の何かしようとすると、「できない」と考える人が多くて、「こうすればできる」と考えてやってみる人が足りない。「失敗していいです」というマインドセットまでの足取りは遠く重いが勇気づけられた。(2014/03/13)