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中国強制連行問題は「裁判」でなく「政府間交渉」に

「解決済み」で問題は解決しない

2014年3月6日(木)

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 第二次世界大戦中に日本に強制的に連行され、過酷な労働を課されたとして、中国人元労働者らが謝罪と賠償を求める裁判を起こした。韓国でも同様の裁判が起こっている。これが中国に拡大した構図だ。

 今なぜ戦時賠償請求問題が再燃しているのか。解決するすべはあるのか。

 日中関係に詳しい天児慧・早稲田大学国際学術院アジア太平洋研究科教授に聞いた。(聞き手は森 永輔)

今なぜこの時期に、戦時中の強制連行に関する裁判が起こったのでしょう。

天児 慧(あまこ・さとし)
早稲田大学国際学術院アジア太平洋研究科教授

専門は中国政治とアジア現代史。社会学博士。1947年生まれ。早稲田大学を卒業し、一橋大学大学院博士課程修了。外務省専門調査員として在北京日本大使館に勤務した経験を持つ。近著に『日中対立』(ちくま新書)など。(撮影:菊池くらげ)

天児:習近平氏が国家主席に就任して約1年になります。この間、同主席は安倍晋三首相が日中関係についてどう考え、どう行動するか、観察してきたのだと思います。そして、安倍政権は中国に対する「抵抗勢力」であると見極めた。

 中国が設定した防空識別圏への対応などは、その一例と言えるでしょう。中国は自らに有利となるルールで日中関係を築きたい。しかし、安倍首相がそれを受け入れることはありませんでした。加えて、安倍首相の行動は中国から見れば、中国包囲網を築こうとしているように見えます。ASEAN諸国への訪問しかり、ロシアのプーチン大統領との5回にわたる首脳会談しかり。アフリカ諸国への歴訪しかりです。

 抵抗勢力である安倍政権を弱める手立てとして選んだのが、日本を孤立させる策だと思います。そのためのツールとして最も使い勝手がよいのが歴史問題です。

 安倍首相は歴史問題に関して抑制してきたと思います。しかし、やはり本音が出ることもあります。「学問的にさまざまな議論があり、絶対的な定義は決まっていない」 と語ったり、靖国神社に参拝したりしたのは、この一例です。中国はこうした機を捉えて、日本は侵略を否定した、戦争を美化していると宣伝し、日本を孤立させようとしているのです。

 強制連行に関する今回の裁判もこうした文脈の中の出来事と考えるべきでしょう。

今回の訴えは、中国政府が指導もしくは支援しているのでしょうか。

天児:これまで中国政府は強制連行に関する訴えを受理してきませんでした。もし受理するようなことがあれば、中国当局が関与していると考えることができるでしょう。中国では、裁判所も共産党のコントロール下にありますから。

裁判所は受理するでしょうか。

天児:今後、日本が発するメッセージ次第だと思います。

国家の請求権と個人の請求権は別なのか?

賠償請求権について、国家の権利と個人の権利を分けて考える動きはいつから始まったのでしょう。

天児:1990年代の初め頃からだと思います。改革開放で中国国民が力を付け、上からの指示を受け入れるだけでなく、ものを言えるようになった頃です。

 日本と中国が1972年に国交を正常化した際、中国は賠償請求権を放棄しました。日中共同声明には「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」とあります。当時、中国国内ではこの方針に反対する強い動きがあったと聞いています。当時の周恩来首相が各地を巡り、日本との関係正常化が必要な理由を説明して納得させたということもあったようです。

 その後、こうした不満は抑えられていたわけですが、90年代に入って表に出るようになった。

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「中国強制連行問題は「裁判」でなく「政府間交渉」に」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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