「キーパーソンに聞く」

杉本文楽、本日開演です。

仕掛け人の現代美術作家・杉本博司が語る、現代的『曾根崎心中』の楽しみ方

  • 森田 聡子

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2014年3月20日(木)

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 杉本博司氏は、実に器用で、多才な人だ。独自の視点から制作された写真作品によりまずは欧米で評価を高め、国内では2005年に初の大型回顧展「杉本博司 時間の終わり」を開いたと思ったら、2008年には自らの収集品を使った個展「歴史の歴史」で“目利き”としての才能を見せ付けた。現代美術に飽き足らず、建築やプロデュースの分野にも進出。還暦を迎えた後も、毎年のように新しいチャレンジで私たちを驚かせる。2014年最大の話題はやはり、今日20日に東京公演がスタートする『杉本文楽 曾根崎心中付り観音廻り』だろう。杉本氏が現代に甦らせた『曾根崎心中』の魅力を、ご本人に聞いた。

(聞き手は森田 聡子)

『杉本文楽 曾根崎心中付り観音廻り』の東京公演がいよいよ本日、20日から始まります。

杉本:4年前ですか、震災の年の夏にKAAT神奈川芸術劇場で初演したプログラムを、今度は東京と大阪でやります。今日から東京で5公演、28日から大阪で3公演。大阪は文楽にしたらかなり大きい劇場(フェスティバルホール)なので、オペラグラスをお持ちいただいた方がいいかもしれません。

これに先駆けての昨秋の欧州公演も話題でしたね。マドリード、ローマ、パリの3都市を回られて。パリ公演はなんと、あのルモンド紙の一面を飾っていました。

カトリックの国で心中物

杉本博司(すぎもと・ひろし)氏
現代美術作家。1948年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業。70年に米国カリフォルニアに居を構え、ロサンゼルス・デザインアート・センター・デザイン・カレッジで写真を学ぶ。74年からニューヨークに移り、銀塩写真を使った現代美術の活動を開始。各地の自然史博物館の3次元展示による剥製動物をあたかも生きているかのように撮影した「ジオラマ」シリーズや、全米各地の20〜30年代に建てられた映画館やドライブイン・シアターを撮影した「劇場」シリーズ、世界中の海を同一手法で撮影する「海景」シリーズなどに取り組んでいる。欧米など各地の美術館で個展を開催する一方、近年は設計や執筆も手掛ける。2010年に紫綬褒章を受章、2013年には仏芸術文化勲章オフィシエを受勲。(写真:大高和康)

杉本:政治や経済ではないこの手の記事がルモンドの一面で取り上げられるのは、年に1回か2回、あるかないかだそうです。うれしいことですよね。

 原作は近松門左衛門の『曾根崎心中』。題材が心中でしょう、だから、自殺を禁じるカトリックの国でどう受け止められるのか、非常に興味がありました。出演者の皆さんのスケジュールを押さえるのが大変だったけれど、どうしても欧州でやりたくて、なんとか1カ月、時間を取っていただきました。

実際にどんな反応がありました?

杉本:欧州の人たちは反応がものすごくダイレクトですからね。日本で文楽というとクリシェ(仏語でありふれたもの、見飽きたもの)と言うのかな、古臭いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、欧州では初めて見るような観客が多いんですね。

 ラストの心中の場面では観客の方々がぐっと見入って、最後ははらはら涙を流している人もいました。その姿を見て、この作品には宗教や時代を超えた何かがあることを確信しましたね。


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