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穏やかな最期を迎えてもらう「平穏死」を家族と考えよう

世田谷区立の特養、芦花ホームの石飛幸三・常勤医に聞く

2014年3月28日(金)

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 総務省の推計によると、日本は昨年9月時点で、65歳以上の高齢者人口が3186万人と、初めて人口の25%を突破した。今や100歳を超える人も5万4000人に上るという。世界一の長寿社会を誇る日本だが、それぞれの「最期の迎え方」となると、それは必ずしも世界に誇れるものではないのではないか――。

 血管外科医から世田谷区立特別養護老人ホームの「芦花ホーム」の常勤医師に転じた石飛幸三氏は、老衰の終末期にもかかわらず延命至上主義的な治療が高齢者医療の現場にはびこるのを目の当たりにして4年前、「安らかに逝けるよう、当たり前の看取りをしよう」と『「平穏死」のすすめ』を出版して大きな反響を呼んだ。しかし、高齢者を抱える家族にこそ、この問題をもっと考えてほしいと、このほど『家族と迎える「平穏死」』をあらためて出版した。その思いを石飛氏に聞いた。

(聞き手は石黒千賀子)

4年前に『「平穏死」のすすめ』を出版されてから講演依頼が殺到して、400回以上講演されたと聞きました。それだけ関心を集めてきたわけですが、今回あらためて本を書かれたのは、「平穏死」という考え方の浸透度がまだ足りないということでしょうか。

石飛 幸三(いしとび・こうぞう)
1935年広島県生まれ。61年慶應義塾大学医学部卒業、同大学外科教室を経て、70年ドイツのフェルディナント・ザウアーブルッフ記念病院に血管外科医として勤務。72年から東京都済生会中央病院に勤務し、30年間にわたり脳梗塞を予防するための頸動脈内膜剥離術など血管外科の発展に寄与する一方、慶應義塾大学医学部兼任講師も務める。東京都済生会病院副院長を経て、2005年12月から世田谷区立特別養護老人ホームの芦花ホームの常勤医となり、今に至る。著書に『「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか』『「平穏死」という選択』などがある。(写真:的野弘路、以下同)

石飛:そうです、全然足りない。世界一の高齢化社会になって、老いて、衰えて最期を迎える方が多い。それはある意味、もう医療の手の届かない世界です。確かに医療技術の発達で、死ぬまでの時間は延びました。しかし、医療によって死を止めることはできません。それなのに日本は、科学技術で何とかしなければならない、みたいな迷い道に入り込んでしまっている。

 「死なせてはいけない」と頑張る医者、そして「1人しかいない私のお母さん、あるいはお父さん、どんな形でもいいから生きていてほしい」と思う家族の情念。「それはあなたのエゴでしょう」と切って捨てるわけにもいかない。この高齢者の最期をどう看取るのか、というのが今、日本が引きずっている大きな問題です。

 背景には、日本の医療保険制度が皆保険で、出来高払いであることも大きく影響しています。医療機関は、医療行為をすればするほど収入につながる。特にお年寄りの死ぬ前というのは、いくらでも病名が付けられるいわば「病態の百貨店」です。だから病院は、検査や投薬、点滴、人工呼吸器の提供などやりたい放題。おかげで医療費は毎年凄まじい勢いで増えている。

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「穏やかな最期を迎えてもらう「平穏死」を家族と考えよう」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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