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年を取り、「おいしい」「かわいい」が見えてきた

建築家 妹島和世さん(第2回)

2015年5月21日(木)

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妹島 和世(せじま・かずよ)
建築家/「SANAA」「妹島和世建築設計事務所」代表取締役。
1956年茨城県日立市生まれ。日本女子大学家政学部住居学科卒業後、81年に同大学院修了。伊東豊雄建築設計事務所への勤務を経て、87年に妹島和世建築設計事務所を設立。95年に、建築家の西沢立衛とともに「SANAA」を設立。主な作品に「金沢21世紀美術館」(金沢市)、「ディオール表参道」(東京都港区)、「ニューミュージアム現代美術館」(NY)、「ROLEXラーニングセンター」(スイス・ローザンヌ)、「ルーブル・ランス」(フランス・ランス)。2009年にフランス政府より芸術文化勲章オフィシエを受勲。10年にプリツカー建築賞を受賞。2015年第28回村野藤吾賞を「犬島・家プロジェクト」で受賞。(写真:鈴木愛子、以下同)

バブル直前に独立された妹島さんは、バブル期においしい思いもせず、後に続く「失われた10年」には、情熱を注いだ設計競技(コンペ)に落選したり、海外プロジェクトの中止に見舞われたりと、曲折をたどります。しかし1999年、妹島さんの建築家人生に決定的な瞬間が訪れました。

妹島:「金沢21世紀美術館」のコンペに通過したことですね。これは西沢立衛とのユニット「SANAA」で取り組みました。

2004年にオープンした美術館は、ガラス張りの大きな円形の建物の中に、大小の箱型の展示室を組み合わせるという新機軸で、大きな評判を呼びました。同時に、妹島さんの名前と実力も、広く世の中に知られるようになりました。

(C)SANAA

妹島:現代美術をテーマにする美術館が、そういう風にみんなの身近(なもの)になったことは、うれしかったですね。

コンペでは「美術館」と「交流館」の、ふたつの機能が建物に求められたと聞いています。普通は、それらをふたつに分けがちではないですか。

妹島:「美術」と「交流」という要素を、ふたつに分けるのではなく、上下や強弱を付けるのでもなく、開放的で対等性のあるやり方で「解」を示したかったんです。とりわけ公共建築では、その思いが強いかもしれません。

開放されていて、対等に。前回うかがった、栃木県内のコンサートホールのコンペでも、同じ発想をされていましたね。

妹島:あ、そういえば、そうかもしれないです。あの時もそういうことを四六時中、必死で考えていました。でも、21世紀美術館では、雪国でガラスの建物を実現するにはどうしたらいいのか、強度の確保は、雪かきは、側溝は、とか、そういう解を探っていくのが大変でした。

建築家は抽象的な概念を語る方々が多いのですが、妹島さんは話をすっと現実的なことに降ろしていかれますね。

どういうことを重要であると思うか、を大切にしたい

妹島:概念を語る能力が、私には乏しいから(笑)。ただ、自分たちがどういうことを重要であると思うか、を大切にしたい。施主も現場も、みんなで一緒に創作活動をしていく関係があればいいなあ、と思うんです。

建築家は芸術家であると同時に、世俗にも敏感な野心家でなければならない……はずですが、どうも妹島さんの原理は違うところにあるようです。

妹島:何でもお金に置き換える、という仕事のやり方とは違うことをしたいな、とは思います。プロジェクトを通して、施主やそこに関わる人たちと信頼し、わきまえあって、関係を積み重ねていく。建築はできあがった時の形も大事ですが、そういうプロセスも大切な一部だと思うんですね。

以前、妹島さんのお仕事の様子を拝見したとき、施主にものすごく誠実に対応されている様子が印象的でした。

妹島:そうですよね。って、自分で言うのもおかしいのですが、それが原点だと思うので。

施主が建築家に何を話すかというと、建築の感性というよりは、もろ予算のお話で、ああ現実は厳しいな、と思いました。

妹島:厳しいですよね。でも、それは当然のことです。プロである私たちは、「はい、言われたことを押さえておきます」というのではなく、それ以上のものを返していかないとだめなんじゃないかな、と思っています。まあ、うまくいかない時もありますが。

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「年を取り、「おいしい」「かわいい」が見えてきた」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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