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「科学論文」にまつわる誤解と真実

丸幸弘・リバネス代表取締役CEOに聞く

2014年4月18日(金)

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 「科学論文」というものを、我々はどうも誤解しているのではないか。一連の小保方氏の“騒動”の噛み合わなさを見ていて、そういう思いがだんだん強まってきました。科学者の世界と一般社会で、同じ言葉なのにその意味、常識がズレている。そして最もズレが大きいのが「論文とはどういうものか」の認識ではないか、と。

 今回お話を伺ったのはリバネスの丸幸弘代表取締役CEO。同社は理系修士号取得者以上のみで構成され、全員が研究室での研究を行った経験があります。それをベースに、理科系人材の育成や、教育を通して科学と社会をつなぐサービスを行っているとのこと。素人のわたしに理科系の常識を説明するには恰好の人物といえましょう。(Y)

小保方氏の論文の正否はさておいて、今回のケースは我々と科学者の世界との「論文」や「科学」への見方、考え方のズレが分かる典型ではないかと思って、その視点からお話を伺えればと。

:はい。

我々素人からすると、新しい論文の発表というのは「新しい世の中の真理が、科学者によってまたひとつ発見された」という感じに見えているんだと思うんですね。しかもそれが超一流の科学雑誌に載ったら、これはもう間違いない、と。

誤りが無いのは科学ではなく「宗教」

丸 幸弘(まる・ゆきひろ)
リバネス代表取締役CEO。1978年神奈川県横浜市生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。リバネスを理工系大学生・大学院生のみで2002年に設立。日本初の民間企業による科学実験教室を開始する。中高生に最先端科学を伝える取り組みとしての「出前実験教室」を中心に200以上のプロジェクトを同時進行させる。2011年、店産店消の植物工場で「グッドデザイン賞2011ビジネスソリューション部門」を受賞。2012年12月に東証マザーズに上場した株式会社ユーグレナの技術顧問や、小学生が創業したケミストリー・クエスト株式会社、孤独を解消するロボットをつくる株式会社オリィ研究所、日本初の大規模遺伝子検査ビジネスを行なう株式会社ジーンクエストなど、15社以上のベンチャーの立ち上げに携わる。

:それは少し違いますね。もしそういうふうに受け止められるものがあるとしたら、それは「科学」ではなくて「宗教」です。

 宗教は、神仏などの超自然的存在に対する信仰で、本来自明ではない事柄を信じ、疑うことをしない。「信じる」ことで精神や身体、環境を向上させようとする考え方ですが、科学は逆で、「疑う」こと、「疑問をもつ」ことが基本姿勢なんです。

たとえ「ネイチャー」に掲載されようと?

:はい、ちょっと厳しい言い方をすると、小保方さんの論文を載せた「ネイチャー」。あれは、もちろん大変な権威はありますが、実は普通の「雑誌」と違いはないんですよ。そういう意味では、「東洋経済」「ダイヤモンド」、そして「日経ビジネス」と変わらない。もちろん科学論文には専門家による査読、つまり第三者からのチェックの仕組みはありますが。

 取り上げられると筆者や掲載企業のバリューが上がる、という点でも普通の雑誌と同じだし、「間違いがある」という点でも同じなんです。人がやっていることですから。ところが、いつのまにか、あれは特別で、掲載されれば「正しい」と証明された本みたいに思う人が現れているんです。

教典を束ねた本みたいな感じですか。

:でも、ただの雑誌なんですよ。同じ誌面の中で「その論文、違うぜ」「いや、これが正しいんだ」と、追求しあっている本なんですよ。

コメント25件コメント/レビュー

「タイトルに相応しい内容に・・・」を書いた者です。私も変わり者の研究者ですので、自分と異なる意見が出るのは当たり前だと思っていますが、こうも的外れな批判を受けるとゲンナリしますね。文章を理解できない人がいるようなので補足します。『丸さんの研究室での経験を「普通」と決めつけられると困ります。少なくとも私の学生時代とそれ以降ではだいぶ違いますよ。』■それにしても「常識的」とは。これも私の嫌いな言葉ですね。「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことを言う by Albert Einstein」こういう風に引用すると自分の意見が立派なように見えますね。(2014/04/22)

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「「科学論文」にまつわる誤解と真実」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「タイトルに相応しい内容に・・・」を書いた者です。私も変わり者の研究者ですので、自分と異なる意見が出るのは当たり前だと思っていますが、こうも的外れな批判を受けるとゲンナリしますね。文章を理解できない人がいるようなので補足します。『丸さんの研究室での経験を「普通」と決めつけられると困ります。少なくとも私の学生時代とそれ以降ではだいぶ違いますよ。』■それにしても「常識的」とは。これも私の嫌いな言葉ですね。「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことを言う by Albert Einstein」こういう風に引用すると自分の意見が立派なように見えますね。(2014/04/22)

「タイトルに相応しい内容にしたいのであれば、せめて大学・研究機関の先生複数名にインタビューしていただきたいと思います。こういう偏った内容こそ『誤解』を助長するものですよ。」というコメントを寄せている人がいますが、『科学哲学』という分野で語り尽くされていることをご存じないようです。丸氏が述べられていることは常識的な科学哲学に準じており、「普通」と表現されていることに何ら問題ないでしょう。かつて、捏造で打ちきりになったテレビ番組『発掘!あるある大事典II』の騒動の際、伊勢田哲治氏(当時は名古屋大学情報科学研究科准教授、現在は京都大学大学院文学研究科准教授)が某大手新聞のコラムのインタビューで「科学の方法論とは?」という問いに「一番オーソドックスなのは、反証主義です。仮説に合うデータではなく、むしろ矛盾するデータ、つまり反証を集めようとする。反証が出そうな実験をし、それでも仮説が生き延びたら一応認めてあげようというのが科学です」と答えています。また、ノーベル賞を受賞した益川敏英氏も受賞直後に出演したテレビ番組で「科学とは肯定のための否定の連続」と語られ、やはり丸氏と全く同じ科学哲学を開陳されていました。こうした科学に対する理解のない人こそ、今回の一件を『誤解』し、無用な騒動に発展させている元凶なのだと思います。(2014/04/22)

全く、おっしゃる通りと思います。報道されると、このような考えの方は少数では無いかと勘違いしてしまいます。報道の内容に関して言えば、研究成果が再現性があるのか無いのか、結果の議論はほぼされて居ないように思います。それは、同業の方々が裏付けして行く過程では無いかとも思いますが、揚げ足取りの報道が多く、マスコミも質が落ちたように感じます。小保方さん気の毒ですね。(2014/04/21)

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