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経常赤字それ自体が問題ではない

飯塚尚己・シティグループ証券エコノミストに聞く

2014年4月17日(木)

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経常黒字を積み上げて富を蓄えてきた日本経済が転機を迎えている。経常赤字への警戒感が高まりつつあるが、飯塚尚己・シティグループ証券エコノミストは、「経常赤字それ自体が問題ではない」と説く。

(聞き手は渡辺康仁)

日本の経常収支に注目が集まっています。2月は5カ月ぶりに黒字になりましたが、経常赤字の問題点はどこにあると考えますか。

飯塚 尚己(いいづか・なおき)氏
シティグループ証券エコノミスト。みずほ総合研究所、第一生命経済研究所、みずほ証券などを経て、2012年9月より現職。(写真:清水盟貴、以下同)

飯塚:経常収支の赤字はそもそも問題なのでしょうか。私はそれ自体が問題であるとは考えていません。むしろ、その裏側にある様々な変化の方が問題なのです。

 例えば、経常収支を構成する貿易収支について考えてみます。東日本大震災の後、貿易収支は赤字になりました。生産が大きく落ち込んだことが背景にありますが、仮にこの時に輸入ができなければ、我々は消費も生産もできなくなっていたでしょう。つまり、輸入が増えて経済厚生が落ちなかったのは非常に望ましいことだったと言えます。そういう観点で言うと、赤字というのは特に問題はないということになります。

 それでも赤字が問題視されるのは、その背景に産業競争力の劣化という問題があるからです。そして、貿易赤字だけでなく経常赤字が常態化すると、財政ファイナンスの問題に行き着く。そこが市場関係者が経常赤字を気にしている本質だと思います。

 まず、財政ファイナンスについてお話しします。日本は巨額の財政赤字を抱えていますが、同時に民間部門の金融資産も非常に大きい。フローベースでも企業はあまりお金を使っていませんから、資金余剰があるとお金は金融機関に回ります。金融機関は貸し出しの需要が乏しく、持っている資金を運用するために国債を買わざるを得ない。自動的に国債がファイナンスされる状態になっています。

 この状態が崩れているのかというと、日銀の資金循環勘定を見る限り全く崩れていません。

 一方で、生産立地については非常に問題が大きいと思っています。よく貿易赤字は原子力発電所の停止に伴って鉱物性燃料の輸入が増加したことが原因だと言われますが、果たしてそうでしょうか。原発停止による部分はごく一部だと思います。

 原発が停止して以降、輸入数量が増えている鉱物性燃料はLNG(液化天然ガス)しかありませんが、その増加量は25%に過ぎません。ところがLNGの輸入金額は3.5兆円から7兆円と倍になっているんですね。もともとLNGの供給量が少ない東アジアで、急きょ不連続な需要増加が起きたため価格が上昇してしまいました。

 原発が再稼働して輸入量や価格が元に戻ったとしても、貿易赤字はせいぜい3兆円くらいしか縮小しないのです。2010年から13年の間に貿易収支の赤字は18兆円拡大しています。このことからも、原発が再稼働すれば問題が解決するという認識は全くの間違いであることが分かります。

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「経常赤字それ自体が問題ではない」の著者

渡辺 康仁

渡辺 康仁(わたなべ・やすひと)

日経ビジネス副編集長

1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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