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海外広告が「突然おしゃべりになった」わけ

電通CDC センター長 古川裕也氏 第2回

2014年5月19日(月)

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前回は世界的な傾向として、広告の焦点が「売りたい」より、「世の中をよくしたい」に向かっている状況をうかがいました。でも、「売りたい」の最前線をひた走る広告会社が、概念を転換していけるのでしょうか。

古川:そこは大事なので、正確に言います。「売りたい」つまり「成長したい」ということと、「世の中をよくしたい」ということが、密接に連関していることが、はっきりしてきたということですね。そのふたつのことを同時に満たすのが、企業活動であり、ブランディングであるということです。

古川 裕也(ふるかわ・ゆうや)
電通コミュニケーション・デザイン・センター長/エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター
クリエイター・オブ・ザ・イヤー、カンヌ・ライオン28回、D&AD、One Show、アドフェスト・グランプリ、広告電通賞、ACC グランプリ、ギャラクシー賞グランプリ、メディア芸術祭など、国内外で400以上を受賞。カンヌ、D&AD、クリオなど、国内外の審査員・講演も多数。2013年カンヌ・チタニウム・アンド・インテグレーテッド部門で、14年には2度目となる同フィルム部門の審査員を務める。JR九州「祝!九州新幹線全線開業キャンペーン」、中央酪農会議「牛乳に相談だ!」、JCB「買い物は世界を救う」、リクルート「すべての人生がすばらしい」等を手がける。「宣伝会議」のウェブサイト「アドタイ」でコラム「脳の中の金魚」を連載中。(写真:村田 和聡、以下同)

 企業のそもそもの存在価値、哲学に世界的共感がないと、せいぜい一瞬の繁栄で終わってしまう。カスタマー(顧客、消費者)や、世界との「ロングタイム・リレーションシップ(長い関係性)」が構築できないのです。一見遠回りのようですが、社会内存在としてのブランドのビジネスにとって、いちばん重要なことのひとつです。それに、みんな気が付いた。

 ですから、1本のCMでも、トータル・キャンペーンでも、最近はちょっと新しい傾向のものがでてきています。いわば「哲学広告」とでも呼ぶべきものです。

例えば、どのようなものですか。

古川:去年のカンヌで、チタニウム賞を受賞したナイキの「ファインド・ユア・グレートネス(Find Your Greatness)」などが一例です。

 今まで有名アスリートと、アマチュアでも相当レベルの高いスポーツ愛好家をターゲットとしてきたナイキが、平凡なスポーツ愛好者に向けたキャンペーンで、「誰にでも独自のグレートネス(偉大さ)がある。それを信じて一緒に発見しよう」というのがメッセージでした。

喋りっぱなしの広告、登場

 この「哲学広告」の新しい特徴は、ナレーションで喋りっぱなしだということです。

従来のパターンと違うのですか。

古川:日本のCMと違って、海外のCMは会話もの以外では、ほとんど言語を使わないんですよ。ムービー(映像)は基本、ヴィジュアルで意味を形成するべきで、言語を使うことは説明的とされて、広告の審査会などでは評価されにくいことが多いんです。だからこそ、ナイキのCMは明確に戦略的です。

 他にも、クリント・イーストウッドがブランド哲学を語ったクライスラーの企業広告や、登場人物が坂道を歩きながら、ブランドの歴史を延々と語るジョニー・ウォーカーなど、ここ数年は、語り尽くして議論を呼ぶようなCMの中に傑作が目立ちます。

それは何を意味するのでしょうか。

古川:商品性をベースにCMを組み立てる時は、コトバによるメッセージは最小限でいいけれど、哲学に対して深いところでの共感を獲得し、それを長きにわたって共有するには、別の文体が必要だと思います。ある種、議論を呼ぶようなコミュニケーション構造が。

CM作りが形而上的になっている。

古川:僕が最近作った、「リクルートポイント」のCMは、このあたりの認識に立った一種の「哲学CM」のつもりです。

※リクルートポイントのCMはYoutubeの公式サイトで見ることができます(こちら)。

電通CDCとは?

高度化する企業の抱える課題を複合的に解決するため、様々なセクションから実績のあるスペシャリストを集め、2009年に電通内に設けられた。構成は、テレビなどマスメディア・ベースのクリエーティブチーム、デジタル・ベースのクリエーティブ・チーム、ストラテジー・ベースのクリエーティブチーム。それぞれの専門性によって分かれているが、プロジェクトごとに横断的にチームを組む。今回のインタビュー・シリーズでは「マスメディア・クリエーティブチーム」から古川裕也氏、澤本嘉光氏、高崎卓馬氏、「デジタル・クリエーティブチーム」から佐々木康晴氏、岸勇希氏、「ストラテジー・クリエーティブチーム」から林信貴氏、樋口景一氏に話を聞く。

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「海外広告が「突然おしゃべりになった」わけ」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長