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「アイデア」は必ずしも「課題」のあとに生まれるわけではない。

電通CDC センター長 古川裕也氏 第4回(最終回)

2014年6月3日(火)

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古川さんは毎年、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(旧名はカンヌ国際広告祭。以下、カンヌ)に参加して、グローバルレベルでの広告の動きをフォローしています。最終回の今回は、そこから見えてくる広告の近未来をうかがいたいと思います。

古川 裕也(ふるかわ・ゆうや)
電通コミュニケーション・デザイン・センター長/エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター
クリエイター・オブ・ザ・イヤー、カンヌ・ライオン28回、D&AD、One Show、アドフェスト・グランプリ、広告電通賞、ACC グランプリ、ギャラクシー賞グランプリ、メディア芸術祭など、国内外で400以上を受賞。カンヌ、D&AD、クリオなど、国内外の審査員・講演も多数。2013年カンヌ・チタニウム・アンド・インテグレーテッド部門で、14年には2度目となる同フィルム部門の審査員を務める。JR九州「祝!九州新幹線全線開業キャンペーン」、中央酪農会議「牛乳に相談だ!」、JCB「買い物は世界を救う」、リクルート「すべての人生がすばらしい」等を手がける。「宣伝会議」のウェブサイト「アドタイ」でコラム「脳の中の金魚」を連載中。(写真:村田 和聡、以下同)

古川:2013年のカンヌでは、「イノベーション・ライオン」という部門が新設されました。1年目のクライテリア(評価基準)は、「広告以外の手段で世の中をよくするアイデア」。プロダクト、サービス、プラットフォームなどがノミネートされました。事前のウェブ審査で残った20本くらいのショートリストを、審査員にプレゼンして受賞作を決める、という審査方法も今までなかった形式でした。

受賞作はどのようなものですか。

古川:グランプリを獲ったのは「シンダー(Cinder)」という、コーディングのためのプラットフォームです。

コーディングのためのプラットフォーム、とは?

プラットフォームが広告祭のカテゴリーに!?

古川:プログラムのオープン・ソース、ライブラリーです。みんなが自由にその上に書き込んで行けるフレームワークですね。カンヌに、テクノロジーをベースに、プラットフォームやデバイス(機器類)やサービスやプロダクトを競うカテゴリーができたわけです。

それは画期的なことなんですか。

古川:あんまりみんな言わないんですが、僕は画期的、というか、示唆的だと思っています。というのは、僕たち広告代理店の仕事は、まずクライアントからいただく課題があって、それを解決するためのアイデアを考えるというものだった。

その「ソリューション」の第一の手段が、テレビというマスメディアを使うことだったんですよね。

古川:そうです。広告費的に言っても、クライアントの期待値から言っても、結果を出した実績から言っても、少なくとも日本では、いまだテレビがいちばん強い。僕たちのふだんのプレゼンでも、大きい仕事の時ほど、テレビCMを中心としたキャンペーンのアイデアで決まることが、まだ多いんです。

 しかし、シンダーをはじめとするイノベーション・ライオンの受賞作の仕事はどれも、課題などないところから発生しているわけです。つまり、アイデアが課題に先立つという、今までとは逆の順番になっているんです。

その順番は、広告という産業が興って以来のものですか。

古川:そうです。

イノベーション・ライオンのようなカテゴリーで、古川さんのような広告クリエーターは、どのような関与の仕方をするのでしょうか。

古川:テクノロジーはそれ自体、素晴らしいものではありますが、それがみんなのためになる形を持った時に、はじめて真の価値が生まれると思うんです。

 ノーベル賞を受賞した山中伸也教授が「iPS細胞は、実際にひとりでも患者さんを治して、はじめて本当に意味がある」と言われていましたが、それと同じことです。テクノロジーをどう使って、普通の人間にとって価値のあるものにするか。そこはアイデアとクリエーティビティを問われる仕事になります。

 スティーブ・ジョブズが創ったものは、すでにある技術の組みあわせにすぎない、とよくやっかみ半分で言われますが、彼はその原理をよく知っていた。ジョブズはテクノロジーを、いわばヒューマナイズ(人間化)したのだと思います。テクノロジー原理主義ではなく、それをアイデアの力で、いかに世界を幸福にするアウトプットを創るか、というゲームです。出口は、プロダクト、サービス、プラットフォーム、コンテンツなど、それこそさまざまですが。

「どう使うか」のあたりが、古川さんのような、クリエーティブにいる人の領域になるのでしょうか。

電通CDCとは?

高度化する企業の抱える課題を複合的に解決するため、様々なセクションから実績のあるスペシャリストを集め、2009年に電通内に設けられた。構成は、テレビなどマスメディア・ベースのクリエーティブチーム、デジタル・ベースのクリエーティブ・チーム、ストラテジー・ベースのクリエーティブチーム。それぞれの専門性によって分かれているが、プロジェクトごとに横断的にチームを組む。今回のインタビュー・シリーズでは「マスメディア・クリエーティブチーム」から古川裕也氏、澤本嘉光氏、高崎卓馬氏、「デジタル・クリエーティブチーム」から佐々木康晴氏、岸勇希氏、「ストラテジー・クリエーティブチーム」から林信貴氏、樋口景一氏に話を聞く。

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「「アイデア」は必ずしも「課題」のあとに生まれるわけではない。」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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