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女将に聞く、女性が男性を「使う」コツ

高台寺和久傳 桑村祐子氏(その4)

2014年7月14日(月)

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桑村 祐子(くわむら・ゆうこ)「高台寺和久傳」女将/代表取締役
1964年京都府生まれ。87年、ノートルダム女子大学英語英文学科卒業。大徳寺の塔頭で住み込み修業を経た後、89年に家業の「高台寺和久傳」に入る。2号店の「室町和久傳」の立ち上げを担当し、軌道に乗せる。2003年、創業者の母、桑村綾が設立した物販の別会社「紫野和久傳」の取締役に就任。07年、母の後を継いで、「高台寺和久傳」代表取締役に就任。(写真:樋口とし、以下同)

―― 桑村さんは42歳で料亭「高台寺和久傳」の若女将に就任されました。当初は自信がなくてなくて……というお話を、前回にうかがいました。

桑村:その時は、「自分は料亭の女将なんかできない」という思いでいっぱいでした。その前に東京で取り組んだ物販の仕事が、面白くて、楽しくて仕方なかったものですから、物販に気持ちが残ってしまっていたんです。でも、覚悟を決めて100%の力を料亭に注いだら、実はこちらも面白かったんです。

―― 自分自身が思う、向き不向きは、意外と当てにならないものなんですね。

「役に立つ」とは異なる視点がある

桑村:といっても、私がしたことは、そんなに大層なことではないんです。何かというと、スタッフを技能・技術だけではなく、「どういうふうにお店にいい空気をもたらせてくれているか」で評価していこう、と。ただ、それだけでした。

―― 「役に立つかどうか」ではなくて、「いい空気をもたらすか」、ですか。

桑村:私が料亭の女将に就任した時は、料理方とサービススタッフの間に意思疎通がなく、お給料の基準も別で、歯車がかみ合っていない状態でした。そのような状態はお店の雰囲気に反映され、お客さまにも伝わってしまいます。ですから、最初にその状況を打ち壊さねば、と考えました。

 そのためには、因習的な上下関係ではなく、誰にも分かる公正な基準で店を運営していくことが大切でした。そこで、それぞれの持ち場の責任者と膝づめで話をして、また、大きな人事異動もしました。そのために和久傳を離れた方もありましたので、決して簡単なことではありませんでした。

 料亭の仕事は、言ってみれば全部が裏方作業です。どんなに一所懸命下働きをしても、誰も見てくれないし、評価もされない、ということになったら、仕事ぶりも投げやりになってしまいます。逆に、誰かがちゃんと見て、評価してくれれば報われるし、向上する気持ちが生まれていきますよね。

 そこに気を付けたら、仲間同士の正当な切磋琢磨が始まったんです。目標が変わってきたことが大きかったように思いますが、「だったら、こういうことがみんなでできるし、次のことにも挑戦できるよね」と、全体が前向きに変わっていったんです。

―― 働いている人が、「私もがんばれば、あそこに行ける」と希望を持てることって、大きいですよね。お給料も大事ですが、それ以前に自分の思いや努力が報われることは、人間にとってすごく必要だと思います。

桑村:料亭は私が入った年に前年比で70%と、売り上げがドンと落ちたのですが、しばらくしてから、お料理の評判も上がり、新しいお客さまも付いてくださるようになり、翌年は130%増に転じたんです。それをきっかけに、その後の売り上げも伸びていくようになりました。

―― 危機的とも言える落ち込みから、1年でV字回復。

桑村:自分なりのやり方で、自分を含めて全体が成長していけた時に、間違っていなかった、とすごく安心しました。しかも外側からでなく、お客さまからは見えない内側から変わっていけたことが、いちばんの実績のように思います。

主婦経験者はものすごく戦力になります

―― 前回、料亭とは、「女性が作った枠組みの中で男性が輝く場である」とおっしゃっていましたが、職場での女性のお仕事ぶりはどんな感じでしょうか。

桑村:それについては、まさしく「女性力」を実感している最中なんです。

 もともと私の評価基準は、いかに「その人」が生かされるかであり、「女性だから」「男性だから」という区別はありません。でも、男女が人生で抱える事情は、まったく同じではないですよね。とりわけ女性は出産があり、子育てと介護にも時間と労力を取られます。そこを考えて、「適材適所」+「時間軸」で雇用をとらえていこう、と。

―― 「時間軸」とは、人生経験の節目という意味ですか。

桑村:そういうことです。正社員やパートタイマーという雇用形態とは関係なく、ご結婚なさって、いったん家庭に入られてから社会復帰される方も積極的に受け入れたいんですね。実際、そういう方が、うちではとても活躍してくれています。30代、40代、50代の女性の能力の高さは目をみはるものがあります。

―― 「主婦」の経歴は、企業社会では軽く見られがちですが、子育てを経験した女性の「動きのよさ」というのは、絶対にありますよね。

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「女将に聞く、女性が男性を「使う」コツ」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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