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「スバルはいいね」ではダメなんだ

「際立とう」と社内を鼓舞する富士重工業の吉永社長

2014年6月5日(木)

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 「スバル」ブランドを展開する富士重工業が快進撃を続けている。2014年3月期の連結売り上げは前年に比べて26%増の2兆4081億円、営業利益は2.7倍の3264億円に達した。純利益は73%増の2066億円と、2期連続で過去最高だった。今期も好調を維持しており、3期連続で最高益更新を見込んでいる。

 今期は円安効果が薄れるものの、米国や欧州そして中国など海外で販売が増加すると見込んでいる。国内市場こそ消費増税の影響は懸念されるが、世界販売台数は11%増の91万6000台に達する予定だ。

 業績があまりにも好調なため、2015年度を最終年としていた中期経営計画「Motion-V」の主要目標を2年前倒しで達成してしまった。そこで今期から新しい中期経営ビジョン「際立とう2020」を打ち出した。そのポイントを同社の吉永泰之社長に聞いた。

(聞き手は坂田亮太郎)

新しい中計のタイトルに、敢えて「際立とう」という言葉を選んだ理由は何ですか?

吉永:前中計は2011年度から5年間の計画で進めてきましたが、お陰様で米国市場が大きく伸びました。それで昨年8月くらいの段階で、今後よっぽどのことがない限り、目標に掲げていた数値指標が2013年度中にほぼ達成できることが見えてきました。そこで、次に我々はどこに向かっていくんだ、と言う議論を昨年の夏頃から本格的に始めました。目標のない集団は最悪なのでね。

吉永泰之(よしなが・やすゆき)
1954年3月東京都生まれ。77年成蹊大学経済学部卒業後、富士重工業入社。主に国内営業畑を歩み、2003年戦略本部副本部長兼経営企画部長。スバル国内営業本部長などを経て2011年6月に社長に就任(写真:北山宏一)

 次の目標を立てる際、みんなにハッキリさせたかったのは、スバルとしてお客様にどんな価値を提供できるかということをもう一度真剣に話し合おうということです。と言いますのも、スバルの業績は直近ものすごい勢いで伸びてきたものですから、その他大勢の自動車メーカーと同じように台数を伸ばして、車種も今までより増やして、新興国を攻め込むためにコンパクトカーも作ろうと言う風にはしたくなかった。

 販売台数が伸びたと言ったって80万台や90万台程度では全世界でシェアは1%です。台数を伸ばしたくないと言うわけではないんですが、規模の拡大によって他社に勝とうと言う会社ではないので、やはりクルマの質で勝負したい。

 そうした議論の中で、スバルとして目指すべき方向を一言で表現すると「際立とう」となりました。

「スバルはものすごくいいね」の評価が必要

具体的にどのように際立とうとしているのですか?

吉永:最近、「スバルは勢いがあるね」とか「スバルのクルマはいいね」とか、いろんなお客さんにお褒め頂いています。ただ、普通の「いいね」ではダメなのです。そのレベルでは経営は安定しません。我々は量の拡大ではなく質の向上で生き残ろうとしているわけですから、「スバルはものすごくいいね」とか「とても良い」という評価を頂かないといけない。だからこそ、「際立とう」という言葉を中計のネーミングに入れました。

 際だったクルマを世に送り出すためには3カ年計画ではおそらく難しいので、もう少し長いスパンで取り組みたかった。だからこそ今回は中期経営計画ではなく中期経営ビジョンとして、2020年をターゲットとしました。

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「「スバルはいいね」ではダメなんだ」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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