• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第2回 なぜ漁業補助金を撤廃できないのか

File2 漁業復活の処方箋 小松正之

2014年6月10日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回から読む)

 日本が資源回復の光明を見いだせないなかで、アイスランドやノルウェーなど回復に成功している国がある。その決定的な違いは採用している管理制度。主な漁業先進国が取り入れているのはオリンピック方式ではなく、IQ方式やITQ方式と呼ばれるものだ。

IQ方式からITQ方式へ

 まず、IQ方式だが、これは「Individual Quota」、つまり個別漁獲割当方式といって、TACで設定された漁獲量をそれぞれの漁業者に割り当てる方法のことをいう。

国際東アジア研究センターで客員主席研究員を務める小松正之さん。『ウナギとマグロだけじゃない! 日本の海から魚が消える日』(マガジンランド)、『日本の食卓から魚が消える日』(日本経済新聞出版社)などの著書がある。(以下撮影:的野弘路)

「自分の漁獲量が決まっているから、他人の動向に左右されることなく漁ができます。年間を通じて操業計画が立てられるのでコストの計算もできますし、市場を見ながら高い魚を選んで漁をすることもできる。韓国は1999年にIQ方式を導入し、2003年に110万トンだった沿岸・近海の漁獲量が2008年には130万トンに増加しています」

 しかし、このIQ方式には制約もある。たとえば、ある業者は2000トンの漁獲枠を割り当てられたが、達成するには船を大型化するなどの新たな投資が必要になる。それを望まずに1000トンしか漁獲しなかった場合は、残りの1000トンの枠が無駄になる。経営戦略に合わせて漁獲量を調整することが難しいのだ。

「そこで、漁業者同士で漁獲枠を賃貸・売買できるITQ(Individual Transferable Quota)方式が登場しました。これによって漁業者はより計画を立てて漁ができるようになった。ノルウェーやアイスランド、オーストラリア、アメリカはみんなITQ方式を採用しています」

 この方式をいち早く導入したのがアイスランドだ。アイスランドでは水産業がGDPの1割前後を占める重要な産業であるため、水産資源の保護には早い段階から注力していて、1970年代にニシンの不漁に見舞われたことをきっかけに、ITQの実践を始め、研究を重ねてきた。その結果、アイスランドのニシン漁は回復し、食用魚介類全体の自給率は2565%と驚異的な数字を誇っている。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』本誌2014年6月号では2050年、90億人時代に向けて持続的な養殖の可能性を探る特集「食を支える未来の養殖」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

コメント7

「インタビュー 日本の食の未来」のバックナンバー

一覧

「第2回 なぜ漁業補助金を撤廃できないのか」の著者

中川 明紀

中川 明紀(なかがわ・あき)

ライター

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。インタビュー記事を中心に、雑誌や電子出版物で活躍している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トップの身の丈が組織の限界を作る。

多田 荘一郎 GEヘルスケア・ジャパン社長兼CEO