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セブンの隣にセブンができるワケ

“服従”迫る、流通帝国主義

2014年6月16日(月)

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 日経ビジネスは6月16日号の特集「セブン 鉄の支配力~ヒットを作る勝者の流儀」で、「セブンイレブン」を中心に成長を加速し、メーカーや加盟店への支配力を高めているセブン&アイ・ホールディングスを取り上げた。鈴木敏文会長のリーダーシップ、リアルとネットが融合する「オムニチャネル戦略」の真意、グループの経営体制の今後に迫った。

 本コラムでは、特集誌面には収めきれなかった動きや経営者・識者のインタビューなどを紹介していく。

 第一回は、セブンイレブンの強力な販売力を生み出す年間1600店舗もの出店力にフォーカスした。競争が激化する中、ライバルを圧倒する出店をいかにして実現しているのか。各地の現場を歩いて、実態を探った。

 今年2月28日、東京都北区にあるJR田端駅の近くにまた1つ、コンビニエンスストア「セブンイレブン」の店舗が開業した。店名は「北区田端駅東店」。一見するとなんの変哲もない店に見えるが、この店には、ほかの店舗にもまして際立つある特徴がある。

 下記の画像を見てほしい。複数の画像を1枚に見えるように加工したもので、左のセブンイレブンが新店の田端駅東店だ。そこから向かって右手に、セブンイレブンがもう1店あるのがお分かり頂けるだろう。2店の距離は直線にしてわずか20mほど。歩いても10秒ちょっとしかかからない。

JR田端駅近く。同じオーナーが経営するセブンイレブンの2つの店舗が至近距離に並ぶ(写真:竹井 俊晴)

 「セブンの隣にセブンができた」

 あまりに近くでの同じチェーン店の出店に、ネット上には近隣の住民とみられる人による書き込みが相次いだ。実際には両店の間には角地のビルがあるが、現場を訪れると、感覚的には隣に店が並んでいると言っても過言ではないような異様さだ。

「出さないならほかを探す」

 2店の間には、人の流れを遮る大きな道路などの構造物はない。つまり、両店は集客面ではほぼ完全な競合関係にあると言える。距離だけで言えば複数の店舗が近くにあることはもはや珍しくないが、ここまでのケースは稀だ。

 実は、この2店を経営しているのは同一のオーナー一家だ。コンビニチェーンが既存店のすぐ隣に新店を設けることが、全くないわけではない。建物が古くなり、駐車場などの既存のスペースに店舗を建て替える場合などがそうだ。だがそういったケースでは店舗の「移転」などとして扱うのが普通で、旧店は新店開業後に閉める。だが田端の店舗の場合、新店の開業後3か月が経過しても、旧店を閉める気配はない。

 この新店の出店経緯については、セブンイレブン本部もオーナー一家も、かたくなに口を閉ざす。ただ、事情を知るという複数の近隣商店主らの証言によると、ライバルのコンビニチェーンの出店を危惧した本部が用地を確保し、既に1店を経営しているオーナーに2店目の出店を打診したとされる。「オーナーが断っても、本部側はじゃあ別の経営者を探す、という姿勢だった」(関係者)という。

 距離はわずかしか離れていないが、新店の土地は広く、旧店にはない駐車場もある。オーナー側からすれば、2店目を自分でやってもやらなくても、競合店が出れば1号店の売り上げが下がるのは避けられそうもない状況だ。

 個人の事業主にとって、24時間営業の店を2つ切り盛りするのは並大抵の負担ではない。人件費を節約しようと思えば、家族にも負担を強いることになる。だがそれでも、他人に売り上げを持っていかれては従来通りの収入は望めない。商店主らの話が事実だとすれば、このオーナーには実質的に選択の余地はなかったとも言える。

 だが、こうした既存店のオーナーが不満を感じかねないような店舗開発は、決して珍しいことではない。

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「セブンの隣にセブンができるワケ」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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