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イラク動乱、武装過激派が蜂起した理由

“イラン抜き”の中東情勢は変わるか

2014年6月19日(木)

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 イスラム過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)の動きが速い。6月10日には、イラク第2の都市、モスルを制圧。13日には、首都バグダッドの北方60キロのバクバ郊外に至り、イラク政府の治安部隊と対した。

 対するマリキ政権も手をこまぬいているわけではない。15日には、ISISが勢力下に収めた中北部の都市への空爆を断行。モスルや、大きな製油所を擁する都市バイジの奪還に取り組み始めた。事態は緊迫の度を高めている。

 ISISとは、そもそもどのような組織なのか。蜂起した狙いは何か。米国は軍事介入を決断するのか。英国の危機管理セキュリティ会社G4S(旧Armor Group)日本法人G4SJapanの元取締役で、国際政治アナリストの菅原出氏に話を聞いた。(聞き手は森 永輔)

イスラム過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)がバグダッドに向けて歩みを進めています。一般の日本人には聞きなじみのない組織が突然現れた印象があります。さらに、主要都市においてイラク政府の治安部隊を追い落とすなど、高い戦闘能力を有している。この組織はいったい、どのような存在なのでしょうか。

菅原 出(すがわら・いずる)
ジャーナリスト/国際政治アナリスト
1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。94年よりオランダ留学。97年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経験。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP)、『秘密戦争の司令官オバマ』(並木書房)、『海外進出企業の安全対策ガイド』(並木書房)、『リスクの世界地図: テロ、誘拐から身を守る』(朝日新聞出版)

菅原:ヨルダン人のアブームスアブ・ザルカーウィーが設立した反米武装組織がその起源です。2003年にフセイン政権が倒れ、イラク戦争が終了した後、米軍がイラクを占領しました。しかし、これに反発したフセイン政権の残党などが、反米テロを開始。混乱が続く中、イラクの周辺国からも反米勢力がイラク国内に流入し、同様にテロを起こすようになりました。ザルカーウィー・グループはこうしたグループの一つです。

 ザルカーウィー・グループは2004年頃に名称をイラクのアルカイダ(AQI)と改めました。AQIは、聞いたことがある方も居るのではないでしょうか。そして06年、再びISISと改称しています。

ISISを「アルカイダ系」と形容する記事をよく目にします。アルカイダとはどのような関係なんですか。

菅原:組織としては別のものです。しかし、米軍の駐留をよしとしない姿勢が共通しているので、本家のアルカイダが「アルカイダの思想を継ぐものだ」「アルカイダのイラク支部として認める」とのお墨付きを与えました。しかし最近ではISISがあまりに残虐な行為を繰り返すので、本家のアルカイダから「ISISは我々とは関係がない」として「破門」されています。だから正確には「アルカイダ系」とは言えませんね。

コメント5件コメント/レビュー

新聞やニュースで「本日、中東でこういう戦闘が有った。」という事実の報道だけをみていてもその背景が分からない。日本にとって石油、ガス等のエネルギー供給重要地域で有るわりには中東地域に関する解説記事が少ない。その中で今回の解説は貴重で興味深い。日系ビジネス殿は定期的に中東問題も取り上げて欲しい。(2014/06/22)

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「イラク動乱、武装過激派が蜂起した理由」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

新聞やニュースで「本日、中東でこういう戦闘が有った。」という事実の報道だけをみていてもその背景が分からない。日本にとって石油、ガス等のエネルギー供給重要地域で有るわりには中東地域に関する解説記事が少ない。その中で今回の解説は貴重で興味深い。日系ビジネス殿は定期的に中東問題も取り上げて欲しい。(2014/06/22)

中東情勢を背景まで遡って解説したものは少ない。その点で貴重な記事だ。今後、宗派の対立原因やクルド人問題の現地での捉え方など、さらに解説をお願いしたいと思う。なぜこうも過激なのか、理解できないでいる。(2014/06/19)

世界各地で民族・宗教紛争が増加している。日本は単一民族文化国家であることの有り難みを噛み締め、安易にグローバル化に流されず、これを伝統として守る努力が必要である。(2014/06/19)

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