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「アメリカでは、成功しても人間的な生活ができないと思ったんです」

日本が目指すべき欧州型の能率的な働き方と豊かな生活

2014年7月4日(金)

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 日本の高校を卒業後、米ハーバード大学、フランスのビジネススクールINSEAD(インシアード)で学び、その後25年近くにわたって欧州の投資銀行や国際決済銀行(BIS)、経済協力開発機構(OECD)などで年金運用のプロとして活躍。日経ビジネスオンラインで『英語の公用語化って何?』を連載して人気を博した河合江理子氏。

 その河合氏が2012年に日本に帰国して、京都大学の教授に転身。教育という未知の世界に飛び込んだ。今年4月からは京大が世界で活躍するリーダーの育成を目的として2012年に設立した全寮制の5年制大学院「思修館(京都大学大学院総合生存学館)」の教授に就任。活躍の場を広げようとしている。

 海外で積み重ねてきたキャリアを投げ打つ形で教育のフィールドに足を踏み入れたのはなぜか。そこで目指している教育の姿とは。河合氏へのインタビューを5回にわたって紹介する。

 第4回目の今回は、最初は米国に留学しながら、その後は欧州でキャリアを積み重ねて理由について聞いた。河合氏は、生活を犠牲にして仕事に打ち込む米国流ではなく、仕事も生活も充実させる欧州流のバランスの取れた生き方こそ見習うべきだと主張する。

(聞き手は中野目 純一)

河合 江理子(かわい・えりこ)氏
東京生まれ。筑波大学附属高校を卒業後、米ハーバード大学に進学(環境学特別専攻)し卒業。フランスの国際経営大学院「INSEAD(インシアード)」でMBA(経営学修士)を取得。1985年にパリのマッキンゼーに入る。その後、ロンドンのシティーでファンドマネジャー、ポーランドで民営化に携わる。1998年に国際決済銀行(BIS)に移り、職員年金基金の運用責任者。経済協力開発機構(OECD)などを経て、2012年4月に京都大学高等教育研究開発推進機構教授に就任。2014年4月から同大学大学院総合生存学館(思修館)教授。著書に『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい 京大キャリア教室で教えるこれからの働き方』(ダイヤモンド社)がある(写真:山田 哲也)

河合さんはアメリカのハーバード大を卒業後、いったん日本に帰国されて、その後はフランスのビジネススクールINSEADへ進んで、長年ヨーロッパでキャリアを積まれたわけですよね。アメリカからヨーロッパへ活躍の場を移されたのは、なぜだったのでしょうか。

河合:最初にアメリカへ行ったのは、日本の高校卒業者を対象とする米国大学留学奨学金である「グルー基金(現・グルー・バンクロフト基金)」の選考に通ったからなんです。

 アメリカで教育を受けてよかったと思うのは、ポジティブな思考が身に付いた点です。「何でもできる。やればできる。Yes, we can!」みたいに考えることは単純だけど大切なことで、自分に自信を持てるようになったと思います。アメリカでは教育でも減点主義ではなく、長所を伸ばそうとします。ポジティブに考えることによってリスクを取ることも怖くなくなりました。

 ただ、その頃から、「アメリカって、成功したとしても、どうして人間的な生活ができないんだろう」という疑問はありました。ハーバードというエリートの集まる競争の激しい大学で勉強したからかもしませんが。

ヨーロッパ型の幸福なワークスタイル

河合:最近、米フェイスブックのCOO(最高執行責任者)であるシェリル・サンドバーグさんの著書を読みました。日本でもベストセラーになった『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』です。彼女のメッセージに感銘を受けましたが、その半面、アメリカで女性が仕事をするということは、こんなにも大変なのかと思いましたね。

 例えば、翌朝、着替えの時間を節約するために、子供に洋服を着せたまま寝かせるという話が書かれています。それって人間らしい生活と言えるのかなと。タイムマネジメント的には効率がいいのかもしれませんが、私の求める生き方とは違うでしょうし、多くの女性はそれを望まないでしょう。

 ハーバードの同窓の女性たちの中にも、仕事と家庭の両立に悩んで、仕事をあきらめた人がかなりいます。特にロースクールとかビジネススクールで学んだ人が多いですね。男性でも長時間働かなければならない大変な競争世界で、選択を迫られてしまうのでしょう。

 女性が幸せに働いている国が多いのは、やっぱりヨーロッパなんですよね。特に北欧やフランスでは、女性が子供を持ちながら働ける社会制度ができています。またポーランドで働いていた時に実感したのですが、旧社会主義国では女性が仕事を辞めなくてもいい育児制度があったので、女性の社会進出が進んでいました。ドイツのメルケル首相も旧東ドイツの出身です。

 ヨーロッパでは日本やアメリカに比べて税率も高いですが、社会保障が充実して、育児や休暇に関する制度が整っています。日本では、女性が仕事をするようになって出生率が下がったと言われますが、フランスを見てくださいと言いたいです。フランスの女性1人当たりの出生率は約2人で、出産期の女性の労働参加率は80%台です。

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「「アメリカでは、成功しても人間的な生活ができないと思ったんです」」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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