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東北の工場で見た仕事への「誇り」

『紙つなげ!』で日本製紙石巻工場の復興を描いた佐々涼子さんに聞く

2014年7月10日(木)

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 「紙がない」――。2011年3月11日の東日本大震災後、出版社ではこんな言葉が飛び交った。マンガや雑誌、書籍を印刷するための紙がなくなってしまったのだ。

 この時初めて紙が東北で作られていることを知り、被災した日本製紙石巻工場の復興までの道のりを『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』というノンフィクション作品で描いたのが佐々涼子さんだ。
 本書では、被災した日本製紙石巻工場にある「8号抄紙機」という1台の機械を動かすまでの工場の人々の姿が描かれる。この8号抄紙機というのは、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、池井戸潤『ロスジェネの逆襲』、『ONE PIECE』などの本文用紙やコミック用紙などを作っているベストセラーを支えていると言っていい機械だ。

 マンガ雑誌を読む子供たちの柔らかい指が切れないように柔らかく――。1枚の紙には、経験を積んだ職人たちの知恵とノウハウだけでなく、読み手への愛情すら詰まっているという。

 取材をする過程で「ものを作っている人の確かさ、真摯さ」を強く感じたと言う佐々さんに話を聞いた。

日本製紙石巻工場の8号抄紙機(写真:野口博)

書籍や雑誌に使う紙は、どこでどのように作っているのかについて興味を持つ人は、出版業界ならともかく、一般には少ないと思います。佐々さんは、なぜ日本製紙石巻工場を取材しようと思ったのでしょうか。

佐々涼子(ささ・りょうこ)氏
ノンフィクションライター。1968年生まれ。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経て、ライターに転身。新宿歌舞伎町で取材を重ね、2011年『駆け込み寺の玄さん たった一人のあなたを救う』を出版。2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。

佐々:『エンジェルフライト』を読んだ早川書房さんが「会いましょう」と声を掛けてくれたのがきっかけです。早川書房の1階の喫茶店「クリスティ」で担当の方とお会いし、日本製紙石巻工場の資料を見せてもらったのですが、びっくりしたんです。

 2011年3月11日の東日本大震災があった時、私は日本語教師向けの専門誌のライターをしていて締め切り直前でした。

 その時、編集の人が「紙がなくて困っている」と言っているのを聞き、初めて紙って東北で作ってるんだと知ったんです。そんなことも知らずに紙の媒体で商売してた自分が恥ずかしかったのを覚えているとともに、東北で作ってくれていたんだという感謝の念が湧きました。

資料を見て忘れ物を取りに来た感じがした

 そのうち街も明るくなり、お店にも物が並んで、普通通りの生活になっていく中で、忙しさにかまけて忘れていました。震災当時、いろんなものが明らかになったにも関わらず、日常生活が戻ってきたら、それを突き詰めることもなく忘れているんですよね。「クリスティ」で震災のたくさんの資料を見て、あの時の忘れ物を取りに来た感じがしたんです。

 日本製紙さんは、被災直後、膨大な資料を残していました。工場長さんは、そんなことをしている場合じゃないだろう、と言われたらしいですが、絶対に残しておくべきだと、工場の復興の様子を手記と写真の資料にして残してあったんですね。

 それを見た早川書房さんが「これは絶対に本にすべきだ」と考え、誰か書き手を探していたところ、私に話が来たというわけです。

コメント2件コメント/レビュー

インタビュー記事を通して石巻工場の人達への尊敬の念も湧いてくる、素敵なインタビュー記事でした。著者の本を買ってみようと思います。(2014/07/10)

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「東北の工場で見た仕事への「誇り」」の著者

飯村 かおり

飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経トップリーダー副編集長

2007年より「日経ビジネスオンライン」編集部に在籍。信頼できるおもしろいコラムを世に送り出すことを楽しみにやってきましたが、2015年よりクロスメディア編集長となり、ネットから紙の世界へ転身。書籍などの編集に携わっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

インタビュー記事を通して石巻工場の人達への尊敬の念も湧いてくる、素敵なインタビュー記事でした。著者の本を買ってみようと思います。(2014/07/10)

『≪前略≫東北地方を救済することを目的として設立された会社が前身≪後略≫』だとしたらそこで働くことの意味は自ずと違ってくるだろうなと思いました。鎮座する無骨な古いマシンが美しく見えます。(2014/07/10)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長