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日本人よ、全力で失敗して、自分を慰めろ!

漫画家 ヤマザキマリさん 第5回

2014年9月2日(火)

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ヤマザキマリ
1967年東京都生まれ。1984年、高校2年の時にイタリアへ渡り、フィレンツェのイタリア国立美術学院で油絵と美術史を学ぶ。96年に帰国し、大学のイタリア語講師、札幌テレビ放送の温泉レポーター、日伊協会の事務局及び美術展のキュレーターなどを務める。2002年、イタリア人の比較文学者、ベッピ・キウッパーニとの結婚を機に、エジプト・シリア・ポルトガル・アメリカなどに暮らす。04年、婚家のユニークな家族を描いた『モーレツ! イタリア家族』から漫画執筆を本格化。10年『テルマエ・ロマエ』が「マンガ大賞2010」「第14回手塚治虫文化賞短編賞」を受賞。単行本は累計900万部以上の売り上げを記録。同作を原作にした邦画「テルマエ・ロマエ」「テルマエ・ロマエII」も大ヒット。その他の作品に「ルミとマヤとその周辺」「スティーブ・ジョブズ」「プリニウス」(とり・みき氏と合作)等、エッセイでは「テルマエ戦記」「望遠ニッポン見聞録」「男性論」等がある。(写真:鈴木愛子、以下同)

―― 先日、ある大企業に勤める女友達と会いました。彼女は毎年、クリスマスイブに同じ独身女性たちとホームパーティーを開くそうです。テーブルには「東京一高い肉」とか「超レアものシャンパン」とかが並ぶそうですが、「でも、みーんな、さみしいの(笑)」と言っていました。いい学校を出て、いい会社に入って、男性並み以上に働いて、出世もして……その次に来るのは、「でも、不幸」。身につまされました。

ヤマザキ:そもそも「幸せ」の置き所、感じ所は男女では違う。だけど、現代の女性は働きたいと思った時に、男性が作った仕組みの中で、男性が持つ価値観に沿ってやらざるを得ない。不幸は、そこにあります。たぶん300年後には、女だ、男だというジェンダーが外れる社会が来ると思いますが、今は残念ながら、まだまだですよね。

―― 女性の社会進出は明らかに進んでいますが、既存の男性社会の枠組みの中では、がんばればがんばるほど、「優秀な労働部品」の方向に行ってしまい、望ましい「自己実現」に向かえないと強く感じるこのごろです。

ヤマザキ:だって、ついこの間まで、「女は採用しません」とか企業が言っている状況が続いていたわけじゃないですか。そんな中で仕事環境を整えていく過程というのは、もう半端ないことですよね。

―― 男性社会型の学歴競争や、一流企業就職競争に巻き込まれるのではなく、知性も感性も経済力も身に付けていく方法は、ほかにもあると思って、「才職兼美」でみなさまにお話をうかがっています。

ヤマザキ:そうですよ。しかも、これからの時代、それは男女の別なく必要になる。ただし、だからこそ、その前に男女の違いというのは、認識していおいた方がいいと、私は思っているんですね。

オンナの人生、基本マルチタスク

ヤマザキ:アメリカのペンシルベニア大学の研究で、脳内神経回路というのは男性と女性では確実に違うという学説が確立されたそうです。つまり、男性脳はシングルタスク、女性脳はマルチタスクということですね。

―― 「シングルタスク」と「マルチタスク」。

ヤマザキ:シングルタスクというのは、1つのものを狙ったら、それに向かって全力投球をすること。「あ、マンモスだ!」と言って、だーっと狩りに行って、3日ぐらい帰ってこないよ、みたいなことですね。プラモデルを作ったり、地図のようなものを理解したりすることにも優れている。

 女はその間、子を育て、飯を作り、やり繰りをし、掃除、洗濯、何だかんだといろいろなことをやりながら待つ。分析能力と直感力が直結しているので、社会的認知スキルが高い。それがまさしくマルチタスクです。

―― なるほど、生物的な原型ですね。

ヤマザキ:「俺、今、このことをやっているから」ということで、あれもこれも、となかなかできないのが男性脳。周囲と一緒にシンクロしつつ、ほかのことも頭に入れながら多元的に、仕事を進めていけるのが女性脳。生物的に違う仕組みを持っているわけですから、両者の間で同じ働き方はあり得ないと思います。

 誤解してもらいたくないのですが、人間性という観点については、ジェンダーなんて関係ないと私は思っています。私はそこを言っているのではなく、持って生まれてきた肉の袋と、物理的・生物学的な細胞は変えようがない。その事実と、人間としての対等性は、また別の話。だったら、女性脳の持ち主は、マルチタスクの部分をどう生かせるか、という視点で仕事を切り開いていった方がいいと思うんですよね。

―― だいたいヤマザキさんご自身が、マルチタスクの権化みたいな存在で。

ヤマザキ:イタリアで詩人と付き合っていた時は、アクセサリー売りの屋台で売り子をして、卒業論文を書いて、同居相手の面倒を見て、お腹に子も宿して、キューバでサトウキビも刈っていた。自分でも最悪なマルチタスクのスパイラルに陥っていましたね。

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「日本人よ、全力で失敗して、自分を慰めろ!」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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