• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「顧客ニーズ」はもはや崩壊している

  • 小林 三郎

バックナンバー

2014年8月21日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 独創的な商品・サービスづくりに求められるのがイノベーション。イノベーションで新しい価値を創出し、その価値で顧客を惹きつけるだ。しかし、顧客にとって何が価値となるかはなかなか分からない。マーケティングで導き出す顧客ニーズで、新しい価値を探すことはもはや困難になっている。そこで注目されるのが「Wants」なのである。

田子 學氏
エムテド代表取締役 アートディレクター/デザイナー。東芝、「アマダナ」(リアル・フリート)での活動を経て独立起業。現在、慶應義塾大学大学院SDM研究科特任教授、法政大学デザイン工学部非常勤講師、東京造形大学非常勤講師も務める。主な著書に『デザインマネジメント ~アップル、グーグル、アウディ、ダイソンの経営の基本はこれだ』など。
(撮影:栗原 克己)

田子:僕はもはや「Needs」は崩壊していると思っているんです。これまで、「マーケットニーズを捉えることが重要だ」とみんなが考えて、そのための手法、いわゆるマーケティング手法がいろいろ開発されてきました。マーケット調査がその典型例です。しかし、そうした方法論はもう通用しないのでは。Needsの細分化、差異化があまりにも進んで、お客さんの求めていることが分からなくなっています。加えて、マーケット調査をすると、どこも似たような結果になり対応も似てくる。斬新なモノが生まれにくくなります。

 Needsとは異なる観点が「Wants」だといわれています。Wantsとは「人間が本質的、本能的に欲しいもの」のこと。これに訴えるという意味で深層心理と言ったのです。つまり、お客さんの潜在的要求に応えたい。Needsという言葉にはマーケティング的な匂いがするので、Wantsという概念の方が的を射ています。お客さんのWantsを捉えることで、お客さんの心を動かすのです。しかし、Needsをいくら追いかけてもWantsにはたどり着けない。言い換えると、デザイン・マネジメントはWantsを探り、それをお客さんに届けるための仕掛けともいえるでしょう。

小林:おやじ(ホンダ創業者の本田宗一郎のこと)もマーケティングをするとすごく怒りました。「お客さんに、『どんなクルマがいいですか』と聞くバカがいるか。お客さんは分からないんだ。聞くのではなくてじっと見ろ」と。お客さんが求めているものを探って、「これでいかがですか」と差し出す。それで、お客さんに「これなんだ。俺が欲しかったのは」と言わせたい。我々は価値をつくるクリエーターだから、そう考えるのは当然です。

まず、やってみる

田子:Wantsに到達するためのマニュアルはありません。しかし、何かしらを突破することが必要です。僕が心掛けていることは、今までのやり方にとらわれないことと、新しい可能性を探るための試行錯誤、つまり実験を恐れないことです。思考にしろ身体にしろ、とにかく動かすことが重要なんです。

 「デッサンは足で書く」というのをご存知ですか。デッサンというと、じっと座ってひたすら鉛筆やペンを走らせるというイメージが一般的にはありますが、それは違います。

 描く対象(モチーフ)が物であっても人であっても、見る角度や距離が違うと印象が大きく異なります。さらに同じ角度・距離であってもどう切り取るか、つまりフレームをどう決めるかによっても大きく変わる。そのため、“足を使って”モチーフの周りをぐるぐる歩き回ります。そして「これだ」と思った構図を決めて、初めて手を動かすわけです。

 もちろんデッサンは1枚では終わりません。構図を変えて何枚も描き続けます。こうした「物事をさまざまな角度から見る。何回も挑戦する」という姿勢は、新しい何かに挑戦する場合も同じだと思っています。

「「デザイン×技術」でイノベーション」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長