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「エッ!!アリが過労死?」―生産性向上が組織を滅ぼす!?

【特別対談】北大・長谷川准教授×河合薫――アリの生態から「組織とは何か」を学ぶ(中編)

2014年8月22日(金)

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 グローバル化で企業の競争力が高まる中、企業は、生産性の向上、人件費の抑制、組織の効率化、選択と集中など、生き残りをかけて取り組んでいる。

 「集合体をつくって生活する生き物たちは、組織の効率を最大にするような進化をしていない」と語る長谷川氏。集団の利益を高めるために必要なことは? 生き残るために企業はどうあるべきか?アリの生態から学ぶことがあるのではないか?

 「人より“数字”が偉くなった社会」の問題点を、度々指摘してきた私、河合薫が、働かないアリの意義を伺った前回に続き、今回は、組織の効率化と生産性について、長谷川氏にお話を伺います。

(1回目はこちら

河合:アリの社会って、働かないアリに、「お前、いつも働いてないじゃないか!」と攻撃するようなアリはいるんですかね。

長谷川:そういうことはないです。働きアリって基本的には全員女王アリの娘なので、女王が子孫をたくさん残してくれればいいわけです。人間の場合は、関係がない他人が集まっているから、「誰それが働いていない」とか、「あいつだけずるい」なんて話になるけど、アリはそうじゃない。

 集団全体として一番うまくいくようなシステムになっている方が、自分も利益を得るので、働いてないやつと働いているやつの間で利益の対立はない。アリの間では、全然働いてない個体と働いている個体のどっちが一生懸命やっているとか、得をしているんだという話にはならない。ここはちょっと、人間社会と違うところですね。

河合:年を取るに従って、危険な仕事をやるように変化するのも、自分の利益につながるんですか。

長谷川 英祐(はせがわ・えいすけ)
進化生物学者。北海道大学大学院准教授。農学研究院環境資源学部門/生物生態・体系学分野/動物生態学研究室所属。観察、理論解析とDNA解析を駆使して、主に真社会性生物の進化生物学研究を行っている。北海道の短い夏のほとんどを、フィールドワークに費やす。主な著書に『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー)。1961年東京生まれ。

長谷川:外に出ると、天敵に食べられてしまったり、不慮の事故で死ぬ危険性が高くなります。生まれたばかりで、まだ若いアリに危険な仕事をさせるのは、システム全体として非常にもったいない。だったら、もう寿命が少なくなった年寄りが危険な仕事をやったほうがいいってことになるんです。

 経済効率の観点から考えると、これって、システムにとっては合理的なことだし、集団全体が効率よくうまくいくようになっていれば、各個体は変わらず得をします。

河合:人間の世界では、「若いんだから、行ってこい!」なんて危険な仕事をやらされたり、年を重ねてくると、どんどんと現場から遠ざけられ、見えないところ、見えないところに押し込まれていく場合がありますけど…。人間とは、まったく逆ですね。

長谷川:そうですね。アリは、若いものを大事にしているという言い方はおかしいけど、余命があってこれからずっと働ける個体に、危険な仕事をやらせて初期にロストしてしまうのは、コストパフォーマンスが悪い。全体にとって投資したものが回収できないということなんです。

コメント2件コメント/レビュー

最高に刺激的なコラムです。先生の著作読みます。(2014/08/22)

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「「エッ!!アリが過労死?」―生産性向上が組織を滅ぼす!?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

最高に刺激的なコラムです。先生の著作読みます。(2014/08/22)

以前、組織に毎回ミスをしてグループ全体に大迷惑をかける後輩がいました。リカバーの際はみな迷惑なのですが、少し経つとメンバー全員が彼のそのときの失敗を大笑いして振り返り、本人合わせて盛り上がるということが常態化していました。失敗は非効率ですが、彼がいたからグループがまとまって妙に盛り上がるという意味では考えさせられる経験でした。今回のお話と通ずるものがあるなと思った次第です。(2014/08/22)

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