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肥満に「強い意志を持て」は間違い

無知では食品メーカーの思惑通りになってしまう

2014年8月29日(金)

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大人の3人に1人、子供も5人に1人が肥満に該当する米国。生活習慣病をはじめとする疾患と食生活との関連性が指摘される中、ニューヨーク・タイムズ紙のマイケル・モス記者は、大手加工食品メーカーが塩分・糖分・脂肪分を巧みに配合し、消費者の舌を刺激し続けてきた裏側を1冊の本にまとめた。『Salt Sugar Fat』と題したその著書(邦題は『フードトラップ』)でモス氏は何を訴えようとしたのか。

なぜ、塩分(Salt)、糖分(Sugar)、脂肪分(Fat)という3つを取り上げることになったのですか。

マイケル・モス氏(以下、モス):私は2007年に米国で起きたハンバーグ肉汚染による大規模食中毒について調査をしました(*)。その中で情報源となった人から、「食と健康に関することを知りたいのなら、塩を見るとよい」と教えられました。

(*)この報道で2010年にモス氏は、優れた報道に贈られるピュリッツァー賞(解説報道部門)を受賞

マイケル・モス(Michael Moss)
『ニューヨーク・タイムズ』記者。カリフォルニア州ユーレカ生まれ。『ウォール・ストリート・ジャーナル』『ニューヨーク・ニュースデイ』などを経て現職。2010年に食肉汚染の調査報道でピュリッツァー賞を受ける。1999年と2006年にも同賞のファイナリストとなった。コロンビア大学大学院でジャーナリズム学准教授なども務める(写真:常盤武彦、以下同)

 次に私はこんな質問をして歩きました。「塩のほかに食品メーカーが製品に加えているものは何か」。砂糖と脂肪でした。

 塩、砂糖、脂肪。この3つは加工食品の三大要素なのです。食品メーカーが頼りにする柱と言っていいでしょう。安価で、混ぜやすく、そして適切に配合すれば、抗しがたいおいしさが生まれるのです。

知識こそが力になる

シリアル、アイスクリーム、ピザ、ポテトチップス……。本書で挙げているのは、アメリカ人ならずとも食べているものばかりです。現実は加工食品なしで生活していくのは難しくなっています。我々はどう付き合っていけばいいのでしょうか。

モス:私はアンチ加工食品を意図してこの本を書いたのではありません。

 私には2人の息子がいます。10歳と14歳になります。妻は外で職を得ており、我が家の朝は本当に慌ただしい。この忙しい毎日をやりくりするにはある程度、加工食品に頼らざるを得ません。ですから、加工食品が私たち家族を支配するのではなく、我々が加工食品をコントロールするように努めています。問題は、塩、砂糖、脂肪、それ自体ではなく、取り過ぎることなのです。

 加工食品を減らすことだけが解決法になるわけではありません。栄養の観点から言えば、より多くの野菜や、加工されていない果物を食べることが健康に結びつきます。

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「肥満に「強い意志を持て」は間違い」の著者

細田 孝宏

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経ビジネス 副編集長

1995年早稲田大学卒業。日経BPに入社し、日経ビジネス編集に配属される。日経アーキテクチュア編集、日経ビジネス・ニューヨーク支局長などを経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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