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次世代車の本命は「燃料電池車」か「EV」かという議論は不毛

自動車アナリストの中西孝樹氏に聞く

2014年9月3日(水)

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 トヨタ自動車が水素を使う燃料電池車(FCV)の発売を2014年度中に予定するなど、日本では「水素社会」が注目を集めている。一方、欧米を中心に電気自動車(EV)の普及も加速しており、FCVの将来には懐疑的な見方もある。次世代車の覇権争いは今後どうなるのか。 

トヨタ自動車が2014年度中に水素を燃料に使う燃料電池車(FCV)の発売を予定しています。2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向け、“究極のエコカー”を武器に「水素社会」を実現しようという声も聞かれます。ただ欧米では、プラグインハイブリッド車(PHV)を含めた電気自動車(EV)の販売増加に勢いが見えます。エコカーの覇権争いをどう見ていますか。

中西:水素社会が正しいのか。電池社会が正しいのか。こうした議論は不毛だと私は思っています。

 トヨタ自動車が6月下旬に開いた燃料電池車(FCV)の説明会で、取締役副社長の加藤光久氏の話は、歴史を回顧することから始まりました。19世紀末に自動車が生まれた頃は、蒸気自動車、電気自動車、ガソリン自動車など様々なパワートレイン(動力伝達機構)が出現し、混在していました。その後インフラとして、高速道路やガソリンスタンドが整備されて、ガソリンで走る自動車が次第に普及するようになりました。最初からガソリンエンジンが主役だったわけでありません。

 しかしエネルギーの未来を考えると、ガソリンは枯渇する日が近づいてくる。そこでクルマの電動化が加速し、パワートレインが再び多様化する時代が来ています。将来の選択肢としては、FCV、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車などがあり、パワートレイン多様化の時代に再び戻っているということだと思います。

 パワートレインの中で何が本命になるかは、なかなか考えづらい段階で、私はトヨタの見方は全くその通りだと思っています。

 トヨタのパワートレインの多様化戦略が象徴するように、まだ決め打ちはできません。トヨタはハイブリッドというパワートレインを中核にしながら、EVやプラグインハイブリッド車も考えています。ハイブリッド技術から派生させれば、どんな技術にも対応できる。どれが勝ち組になっても追いつけるからです。リソースは多様になるので、主役は簡単には決まりません。ですから今は、EVかFCVのどちらが本命かと言える段階ではありません。

中西 孝樹(なかにし・たかき)氏
1986年米州立オレゴン大学ビジネス学部卒。山一證券、メリルリンチ証券などを経て、2006年からJPモルガン証券東京支店株式調査部長。2009年アライアンス・バーンスタインのグロース株式調査部長に就任。2011年にアジアパシフィックの自動車調査統括責任者としてBofAメリルリンチ日本証券に復帰。2013年に独立し、ナカニシ自動車産業リサーチ代表。1994年以来一貫して自動車業界の調査を担当し、日経ヴェリタス人気アナリストランキングの自動車・自動車部品部門では2009年まで6年連続で1位。

現状では、FCVやEVなど、それぞれのエコカーの技術的な優位性や課題をどう捉えていますか。

中西:移動距離や車体重量を考えて、それぞれの技術の特徴を見てみましょう。まず移動距離が短い場合はEVが有利です。これに対して、移動距離が長く重たいトラックには燃料電池が有利でしょう。中間の部分ではプラグインハイブリッド車が有望です。何が勝つかではなくて、ボーダー=境界がどこになるかが重要です。それぞれのインフラやコストと性能のバランスで業界は変わっていくと思います。

 小型車のEVは移動距離が短く、技術的には難しくありません。小さなバッテリーを搭載しても問題ないからです。また電気自体はそこら中にあるインフラでもあります。ただEVの車体が大きくなるとどうするのか。どうやって大量の電池を搭載するのか。充電を含めたインフラの議論も始まります。

 一方、FCVは重量がありますが、クルマのサイズが大きければ大きいほど入り口は簡単です。トラックやバスは燃料電池化していく可能性がかなりあると思っています。

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「次世代車の本命は「燃料電池車」か「EV」かという議論は不毛」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス記者

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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