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「非論理」で100年生き抜くタカラヅカ

宝塚歌劇団演出家 小柳奈穂子さん 第3回

2014年10月20日(月)

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―― タカラヅカの本拠地は関西。といっても大阪のど真ん中ではなく、兵庫県宝塚市という、おっとりとした住宅地にあるところが、ショービジネスの文脈から言うと、何ともユニークです。

小柳:阪急電車の「宝塚」駅から宝塚大劇場まで「花の道」と呼ばれる、木立と花に彩られた小道が通っています。そこから、宝塚大劇場と宝塚音楽学校を右手に見て、武庫川が流れる武庫川大橋を渡って、隣駅の「宝塚南口」にいたるまでのエリアが、タカラヅカのテーマパークみたいな雰囲気になっていますよね。ファンの方は、宝塚駅に降り立ち、花の道を通って劇場の門をくぐるだけで、すでにわくわくして楽しい、とおっしゃいます。

阪急「宝塚」駅から宝塚大劇場へと続く「花の道」。

―― ファンや関係者は、宝塚大劇場の界隈を「ムラ」と呼びますが、そういう親密で、独特な空気が漂っています。宝塚音楽学校の生徒さんや歌劇団員が普通に歩いているし、喫茶店やブティックなどの店頭には、現役スターのサインが張ってあったりして。

小柳:タワーマンションとかも建っているんですけど、町全体がアトラクション的で、非現実な感じではありますよね。

―― 武庫川がゆったりと流れていて、後ろの山に向かって景色が開けている。駅前にある店も懐かしい昭和な感じ。意表をつくほどの、のどかさがあります。

小柳:私は東京育ちなんですが、すっかりこの阪急沿線のリズムに慣れました。いい所ですよ。

なぜタカラヅカだけが生き残ったのか

小柳 奈穂子(こやなぎ・なおこ)/宝塚歌劇団演出家
1976年、長野県に生まれ、4歳から10歳まで大阪、以降は東京で育つ。慶應義塾大学文学部3年の1998年に、宝塚歌劇団嘱託の演出助手に採用され、99年に同劇団に入団し制作部に配属。2002年、宝塚バウホール公演「SLAPSTICK」で演出家デビュー、11年、「めぐり会いは再び」で大劇場デビュー。15年は新年の幕開け公演「ルパン三世」の脚本・演出を担当する。(写真:樋口 とし、以下同)

―― 戦後の日本は宝塚歌劇団のほかに、大阪松竹歌劇団(OSK)、松竹歌劇団(SKD)など女性だけの歌劇団の興隆がありました。いずれも華やかなレビューが一世を風靡しましたが、テレビが普及してからは、規模を縮小したり、解散をしたり。その中でタカラヅカだけが発展を続けてきた、という不思議さがあります。

小柳:タカラヅカは、阪急が開発した宝塚新温泉の余興として始まったもので、家族がみんなで来て楽しめる場所、という設定でした。阪急電鉄の創設者で、宝塚歌劇団を作った小林一三は、家族向けの健全な娯楽ということにこだわり、芸能人ではなく、良家の女性による歌劇を考案したわけですが、その「健全な娯楽」という根本が今も歌劇団を支えているのだと思います。

―― 小林一三の作ったキャッチフレーズが、有名な「清く正しく美しく」ですね。

小柳:「清く正しく美しく」は、恐ろしいほど日本人の精神性にマッチしていると思います。

―― 言えそうで、なかなか言えないフレーズです。

小柳:大正時代に、100年後に通じる独自のビジョンを持っていた、というところが、神懸かっていると言いましょうか(笑)。ただ、彼はマーケティングの観点からだけでそれを言ったわけでなく、女性たちが集まって何かをなし得ることに対して、「それが美しいことである」と、本気で思っていたんだと思います。歌劇団を女性だけで構成しようという発想も、戦略的な何かというよりは、女性だけで演じるということ自体に、他にない美しさを見いだしていたからじゃないでしょうか。

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「「非論理」で100年生き抜くタカラヅカ」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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