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「PFIの新方式は広がっていきますか?」

PFIアドバイザーの先駆者、野田由美子氏に聞く

2014年9月29日(月)

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 公共施設の所有権を国や自治体が保持したまま、運営権を民間に譲渡する「コンセッション方式」を認めた改正PFI法の成立から3年余り。ようやく具体化に向けた動きが活発になり始めた。

 国が管理する空港で第1号となる仙台空港では、譲渡先となる企業の選定が進んでいるほか、関西国際空港と伊丹空港を運営する新関西国際空港会社が7月にコンセッションの実施方針を公表した。

 あらかじめ30年などと事業期間を定め、施設の運営権を取得した民間事業者はその間、利用者から料金を徴収し、そこから運営費や維持管理費、修繕費などを賄う。財政悪化に苦しむ国や地方自治体の負担軽減とともに、施設のサービス向上にもつながるとの期待が集まる。

 新方式がこうした成果を上げるには何がカギとなるのか──。日本にPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)が導入された直後の2000年から、国などを相手にPFIの実施について助言をしてきた先駆者である、プライスウォーターハウスクーパースの野田由美子パートナーに聞いた。

(聞き手は中野目純一)

野田 由美子(のだ・ゆみこ)氏
プライスウォーターハウスクーパース(PwCパートナー PPP・インフラ部門アジア太平洋地区代表。PwCグローバルのCities Infrastructure Solutions Centre (Singapore) リーダー。PwCジャパンの都市ソリューションセンター長。東京大学卒業後、バンクオブアメリカ東京支店を経て、ハーバードビジネススクールにてMBA(経営学修士号)取得。日本長期信用銀行(現、新生銀行)本店、ニューヨーク支店、ロンドン支店プロジェクトファイナンス部統括兼次長を経て、PwCロンドンに入社。その後、日本のPFI市場の創設と発展に深く関わり、数多くのPFI事業および政策立案の助言を行う。代表的案件に、美祢社会復帰センターPFI事業や羽田国際ターミナルPFI事業(民間側)がある。2007年から2009年まで横浜市副市長として経済観光、国際戦略、水道、交通、アフリカ開発会議などを担当。共創推進事業本部を立ち上げ、官民連携の強化や横浜市の都市ノウハウの海外展開を推進。清華大学日本研究センター(北京)シニアフェロー、同教育基金会日本事務所特別顧問を経て、2011年から現職。経済同友会幹事。国土交通省交通政策審議会委員などを務める。著書に『PFIの知識』(日経文庫)、『民営化の戦略と手法―PFIからPPPへ』(日本経済新聞社)などがある。(写真:陶山 勉、以下同)

PFIの新方式であるコンセッションが具体化し始めました。日本におけるPFI活用の転機になりそうです。これからどのような転機になるのかを伺っていきたいと思いますが、その前にこれまでのPFIについて振り返っていただけますか。なかなか普及しなかったという印象を受けているのですが。

野田:過去の評価ということですが、「箱モノ」と呼ばれる公共施設への導入が多かったということでネガティブな見方をする人も多いようです。しかし、私は実は肯定的に評価しています。数でみれば400件以上に達し、導入分野も多様だからです。

 現在、アジア地域のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)を担当しているため、アジア各国の政府関係者と意見交換する機会も多く、日本のPPPがどういう軌跡をたどって発展してきたかという話をよくさせていただきます。刑務所PFIの事例をいつも説明するのですが、民間による再犯防止の工夫や地域共生の仕組みなど、非常に面白い事例として称賛を浴びるということが実はとても多いのです。

日本におけるPFIの展開は世界の潮流と真逆

 世界の市場を見てみると、空港、有料道路、電力事業など、料金収入のある事業にまずPPPを導入し、その後、事業収入の乏しい病院や学校、一番難しいのは刑務所かと思いますが、そういう公共性の高い分野へと拡大しているんですね。いわゆる「経済インフラ」から、より難易度の高い「社会インフラ」へと移行していくというのが世界の潮流と言えます。

 日本の場合は全く逆で、学校や病院へのPFI導入が早い時期に進み、さらに刑務所は既に4件も成立しています。難しいものからPFIを始めて、これから空港や道路に入っていこうとしている。世界の潮流に逆行しているような流れなんですね。

どうして逆行してしまったのでしょうか。

野田:一般的に、途上国では政府に資金力がないため、料金収入を伴うような高速道路や空港、電力事業に対して、料金収入を担保にして民間からお金を調達するという、いわゆるプロジェクトファイナンスの手法が取り入れられてきたということです。30年くらいの歴史があります。

 日本の場合は、政府が潤沢にインフラ整備に資金を供給し、高度成長期以降、インフラ施設を整備してきました。景気対策として公共事業投資は続き、そこにPFIやPPPが入る余地はなかなかなかったわけです。既存の事業者からの反発も、とりわけ地域では大きかったですから。

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「「PFIの新方式は広がっていきますか?」」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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