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蚊を甘く見るな

年間72万人に死を運ぶ「小さな凶器」を知り、備える

2014年10月14日(火)

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 国内でのデング熱への感染がさらに拡大している。当初、感染エリアは東京の代々木公園に限られていたが、その後都内の各地に広がり、さらに西日本でも初めて感染が確認された。これまで「海外の感染症」と思われていたデング熱が、なぜ突如として日本を襲ったのか。住友化学のベクターコントロール(蚊帳)事業の責任者を経て、NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンの専務理事に就いた水野達男さんに聞いた。

日本国内でデング熱に感染するということは、以前では考えられないことでした。

水野:改めて認識しなくてはならないのは、蚊は現代の人類にとって大きな脅威であるという事実です。蚊が原因で年間72万5000人もの命が失われているというデータがあります。これは生物の中でも最も多く、一般に恐れられているヘビやワニ、サメによる被害と比べても、ケタ違いに多い数字です。一番小さく、強力な凶器。それが蚊です。

デング熱が日本に上陸したのは、どのような理由が考えられるでしょうか。

水野:私はこれまで、「蚊の観点」でマラリア対策に携わってきました。その意味では、大きく分けて2つの環境変化があると考えています。

水野達男(みずの・たつお)氏
マラリア・ノーモア・ジャパン専務理事。1955年兵庫県生まれ。1978年北海道大学農学部卒業後、外資系企業を経て住友化学入社。2007年ベクターコントロール部長、2008年にベクターコントロール事業部長に就任。マラリアの感染を防ぐ蚊帳「オリセット・ネット」の事業責任者として、アフリカのタンザニアで工場を立ち上げた。2012年にNPO法人のマラリア・ノーモア・ジャパンの専務理事に就任し、マラリア撲滅のための啓蒙活動に尽力している。

 1つは、経済のグローバル化です。ビジネスや旅行で世界中の人々が行き来するようになっています。日本も東京五輪に向けて2000万人、2030年までに3000万人の外国人の誘致を掲げています。その流れは加速するでしょう。

 人だけではありません。貨物を運ぶ飛行機や船が行き来しています。蚊にとっては、船や飛行機でも生きるのに十分な空間です。アジアからなら、環境条件が合えって貨物船のスペースがあれば、病原を持った蚊が生きたまま国内に侵入する可能性も出てきます。

もう1つは。

水野:気候変動です。地球温暖化が進み、日本の雨の降り方などを見ても明らかに気候が熱帯化しています。こうした気候変動によって、蚊が生息できるエリアが以前よりも広がっていることが考えられます。

 都市化も影響しているのではないでしょうか。例えば大都市の地下街などでは、冬でも暖房によって一定以上の温度がキープされている空間があります。これまでなら生き延びることができなかった季節であっても、蚊は卵を産み、繁殖できる。そういう環境に、蚊の方も適応している可能性があります。

 忘れてはならないのは、こうした環境変化はこれからも進むという点です。今年、日本国内でのデング熱の感染が発覚したのは8月ですが、来年も同じことが起こる可能性が十分にある。それも、もっと早い時期になるかもしれません。

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「蚊を甘く見るな」の著者

熊野 信一郎

熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)

日経ビジネス記者

1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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