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日銀の異次元緩和は全く効果を上げていない

『アベノミクスの終焉』の著者、服部茂幸氏に聞く

2014年10月17日(金)

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 日銀が異次元緩和に乗り出して1年半。目標である物価上昇率約2%の実現に向けた道筋は必ずしも黒田東彦総裁のもくろみ通りには展開していない。一部の大企業でこそ賃上げの動きが見られるが、大きな流れにはなっていない。4月の消費増税で鈍化した消費の回復の足取りも重い。8月下旬から10月上旬にかけて円安が一時、大幅に進むなど、輸入インフレの懸念も強まっている。

 近著『アベノミクスの終焉」で、「異次元緩和は全く効果を上げていない」と厳しく指摘する福井県立大学経済学部の服部茂幸教授に今の日本経済をどう見ているか聞いた。

(聞き手は石黒 千賀子)

このほど出版された『アベノミクスの終焉』で、日銀の黒田東彦総裁による異次元緩和は全く効果を上げていない、と厳しく指摘されています。改めてご説明いただけますか。

1964年生まれ。88年京都大学経済学部経済学科卒業。96年京都大学博士(経済学)、2001年福井県立大学経済学部助教授、2007年より福井県立大学経済学部教授。専門は理論経済学(金融政策)。
新自由主義の帰結 ―なぜ世界経済は停滞するのか』、『危機・不安定性・資本主義 ―ハイマン・ミンスキーの経済学』『金融政策の誤算 ―日本の経験とサブプライムの問題』『貨幣と銀行 ―貨幣理論の再検討』など著書多数。(写真:達川 要二)

服部氏:9月8日に政府は今年4~6月期の実質GDP(国内総生産)をマイナス7.1%(年率換算)に下方修正しました。今年1~3月期のGDPがプラス6%(同)と非常に高かったのは、消費増税をにらんだ駆け込み需要が大きかったからで、4~6月期にその反動減が生じるのは当然ですが、その落ち込みは政府の想定以上に大きい。この落ち込みが4~6月期だけで終わって、再び回復すれば問題はありませんが、消費の回復はやはり非常に遅い。

 10月1日に発表された日銀の短観(全国企業短期経済観測調査)を見ても、大手製造業は円安効果で多少よくなっていますが、特に小売り、消費の伸びが悪いことがはっきりしてきたわけで、日本の景気の足取りはかなり危うい。私が指摘したような方向に進んでいる、ということです。

2013年上期の成長率、アベノミクス効果か疑問

つまり、異次元緩和が全く効果を上げていない証拠だと…

服部氏:そうです。安倍晋三首相が政権を取ったのは2012年12月。日本経済はその直後の2013年上期に4%超の高い経済成長率を記録しました。しかし、私はそもそもこれがアベノミクスによる効果だったのかという点を疑問視しています。

 というのも政府は暫定的な認定ながら、景気の下降から上昇への反転の時期である景気の谷を2012年11月としています。2012年5月に始まった景気後退がわずか7カ月で底入れしたわけで、安倍政権が発足した時には既に景気回復が始まっていたということです。

 だいたい政権を取って政策を実行しても、効果が出るのには当然、時間がかかります。ですから2012年終わりから景気がよくなったといっても、それがアベノミクス効果であるかどうかは甚だ疑問と言わざるを得ません。

コメント6件コメント/レビュー

長期金利の低下が企業の資本コストを下げていることや、実質賃金の低下が失業率の低下につながっていると考えます。それらの状況に触れずに効果なしという結論は都合のよいデータしか見ていないように思え、残念です。緩和のコスト(デメリット)がメリットより大きいというのなら、まだ理解できます。(2014/10/21)

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「日銀の異次元緩和は全く効果を上げていない」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

長期金利の低下が企業の資本コストを下げていることや、実質賃金の低下が失業率の低下につながっていると考えます。それらの状況に触れずに効果なしという結論は都合のよいデータしか見ていないように思え、残念です。緩和のコスト(デメリット)がメリットより大きいというのなら、まだ理解できます。(2014/10/21)

そもそも財務省・IMF出身の黒田氏の本当の目的はインフレで通貨価値を落とし、国の借金を減らす(価値を下げる)ことだと思います。彼にとって最大の危機は国の破産ですから、それによる円安で格差が広がり中間層と弱者が苦しんでも、やむを得ないと考えているのでしょう。増税+毎年2%通貨価値が落ちれば、国の借金は実質的に増えないことになるのでしょうから。大半の人にとって実質賃金は下がり続け、スタグフレーションが起こる(もしくはすでに起こっている)のは、ほぼ確実と言えるのではないでしょうか。(2014/10/19)

公共事業と防衛予算の増額、診療報酬と介護報酬の引き上げ。民間がデフレマインドで消費に向かない以上、政府が財政出動して需要を作り出すしかない。安倍総理にはまず財務省幹部に「君らの言うとおりに消費税率を引き揚げたらこのざまだ!責任は取ってもらうよ」と言って、財務省に責任を擦り付けて、事務次官以下財政均衡主義に凝り固まった幹部連中に詰め腹切らせ、政権に従順な人間を後任に据えた上で、超大規模な補正予算を組んでほしい。消費増税は二年後の衆議院任期終了以降まで延期すべし。(2014/10/18)

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