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スパルタ経営、やめました

第5回:社員が自ら変わる「魔法のスイッチ」とは?

2014年11月6日(木)

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かつて「産廃銀座」と呼ばれた地で、武蔵野の里山を守り、トラック運転手を四季折々の草花や農産物でもてなす異色の産廃会社、石坂産業。12年前、崖っぷちに立たされた会社の再建を買って出たのが、石坂典子社長だ。改革に後ろ向きな社員を「それならやめろ」と突き放し、整理整頓を徹底させるため工場を1日に何度も巡回する……。会社を変えるため、最初はスパルタ式で社員に臨んだが、内心忸怩たるものを感じていた。そんなとき、思いがけず出合った「社員がみるみる自発的に変わる魔法のような教育法」とは? (前回の記事はこちら

 自分でもバカだなあと思うのですが、ネットで「石坂産業」を検索して、私たちの会社や私自身の評判をチェックしてはガックリ落ち込む。社長になってから、そんな経験を何度かしました。

 特にきつかったのは、社長になって間もないころに「2ちゃんねる」で見つけた、社員のものとおぼしきこんな書き込みです。

「うちの社長は自分では何も考えられない人であるらしく、オレたちに『考えろ』としきりに言う」

 心当たりはありました。

 そのころ私は社員によくこんな呼びかけをしていたのです。

「仕事というのは、自分で考えるから面白いんじゃない? 考えないで仕事をしていたら、それはただの作業だよね。だから、みんなで一緒に考えていこうよ」

 誠心誠意話したつもりが、ねじまがって伝わっている……。

それでも気になるネットの書き込み

 匿名の書き込みなんて一蹴してしまえばいいじゃないか。他愛もない揚げ足取りさ。そう割り切ってしまえばいいのかもしれません。

 けれど、そう考える社員がいるという事実は、やっぱり重い。私はそう感じました。そして経営者としての自分の姿勢を振り返らざるを得ませんでした。

ボトムアップ型のリーダーシップを目指したが……(写真:菊池一郎)

 私の父は創業者で、いわゆるカリスマ経営者です。社内でも業界の中でも圧倒的な存在感があり、ある種のオーラを背景に、何事も自分で決めて、自分で推進していく。そういう父のリーダーシップを、そのまま自分が引き継げるかといえば、私の力でできることとできないことがあるよな、と、最初から感じていました。

 だから、自分は自分、父は父。父のやり方と私のやり方は違って、父がいわゆるトップダウン型なら、私はボトムアップだ。みんなの意見を吸い上げる仕組みをつくっていくことこそ、2代目経営者の役割じゃないか。そんな思いがあったのです。

 けれど、そんな姿勢が、社員には自信のなさに映るらしい。弱気で甘えた社長だと不安を与えるらしい。それなら私は一体、どうすればいいというのでしょう。

コメント4件コメント/レビュー

予定調和。大変よく出来ました。社長!(2014/11/07)

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「スパルタ経営、やめました」の著者

石坂 典子

石坂 典子(いしざか・のりこ)

石坂産業社長

1972年東京都生まれ。高校卒業後、米国への短期留学を経て、父親が創業した石坂産業に入社。2002年社長就任。現在、2児の母。13年、同社は経済産業省の「おもてなし経営企業選」に選ばれた

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

予定調和。大変よく出来ました。社長!(2014/11/07)

経営者としてのご苦労をさらりと書いて頂いていますが、生身の人間として悩み、へこみながらも取り組み続けられた姿が、胸を打ちます。その原動力を詳しくお聞きしたいと感じました。「石坂さん、あなたのしていることって、おもてなしだよね」とおっしゃったのは、その口調からすると、T野さんだったのでしょうか?(2014/11/06)

最後が何となく連載終了を感じさせるまとめでしたが、まだまだ参考になるエピソードがありそうなので、是非連載を続けてください。ところで、私は社長の役割は「舞台監督」よりは「プロデューサー」ではないかと思っています。ヒト・モノ・カネに関して責任と権限を持つ社長が、演出の品質に責任を持つ舞台監督と時には対立しながら作品を作ることでより素晴らしい作品になるのでは、と考えるからです。そういう意味では今までは父上がプロデューサーの役割を果たしていたのかも知れません。孤軍奮闘のステージから石坂技塾への流れで、このことを実感しました。(2014/11/06)

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