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怒れる香港を理解できない北京

民主化要求への対応が中国多元化の試金石に

2014年11月11日(火)

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9月28日に始まった香港の民主化要求デモは、1カ月以上が経過した今でも解決の糸口が見えない。中心部の座り込みデモを率いる学生団体と香港政府の対話も開催されたが、落とし所がないまま長期化の様相を呈している。今後、どのようなシナリオが考えられるのか。そして、このデモは日本を含む国際社会に何を問いかけているのか。香港政治の専門家に聞いた。

(聞き手は熊野信一郎)

デモ開始から1カ月以上が経過しました。なぜ、これほど長期化しているのでしょうか。

倉田 徹(くらた・とおる)氏
立教大学法学部政治学科准教授。1975年生まれ、2008年東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。03年から06年まで在香港日本国総領事館専門調員。日本学術振興会特別研究員、金沢大学人間社会学域国際学類准教授を経て現職。専門は現代中国・香港政治。著書に『中国返還後の香港』(名古屋大学出版会、2009年、サントリー学芸賞受賞)がある。

倉田:当初は続いても2、3日と見られていました。ただ、警察が催涙弾を使ったことで運動が拡散し、デモへの参加者が一気に増えたのです。結果、警察が数の力でコントロールできなくなってしまったという状況です。香港政府にとっても北京の中央政府にとっても、何より学生を中心とするデモ隊にとっても想定外の展開でしょう。

こうなってくると、落とし所が難しいですね。

倉田:現在起こっていることは、中国の権威主義的な体制と、香港の民主主義を求める勢力の対立です。2つの違う価値観の激突ですので、簡単には妥協点が見出しにくいんですね。

 デモ隊側もこれ以上の全面対決を求めるわけではなく、北京政府を倒そうと思っているわけではない。逆に香港政府も中央政府も、これだけ注目が集まる中で力でねじ伏せることのマイナスをよくわかっている。

 台湾でも韓国でも、アジア各国の民主化要求運動はその前の段階でひどい人権弾圧がありました。その反動で、民主主義を勝ち取った経緯があるのです。韓国では1980年、民主化を求める活動家や学生と軍が衝突して多くの死傷者が発生した光州事件がありました。台湾でも1947年の二二八事件や1979年の美麗島事件など、国民党による弾圧がありました。

 香港には、そういう劇的なストーリーがありません。大陸から人や投資が押し寄せる中で、じわじわと街が中国化してきた。それが不動産価格の高騰といった目に見える変化だけでなく、日常生活のストレスとしてのしかかってきたのです。

裾野が広いせいか、デモの参加者や考え方にも多様性があるように見えます。

倉田:もともと金融街のセントラルでを占拠しようとした「オキュパイ・セントラル(中環)」計画は、どちらかと言うと頭でっかちで、欧米的な理念で生み出されたものでした。ですから、当初は香港市民に広く訴えかける力はそれほど強くなかったんですね。

 警察が催涙弾を使うなどして強硬姿勢に出たことで、構図が変わりました。セントラルから逃げ惑う中で、デモの参加者が繁華街の旺角(モンコック)や銅鑼湾(コーズウェイベイ)などに拡散したのです。

 銅鑼湾と旺角はいずれも繁華街で、デモ隊にとってみれば占拠しやすく効果も大きい。この2カ所は、少し色合いが違います。銅鑼湾は大陸からの観光客も多く、「民主主義教室」として中国へのアピール効果が大きい場所です。

 旺角は大衆文化が凝縮されている街で、庶民にとっては「自分たちの街」です。そして、政府機関の集まる金鐘(アドミラルティ)では、政府と対峙する。3カ所それぞれが、独自の色を出し始めたのです。それによって、運動が単なる一部のエリートだけのものでなく、学生や庶民など幅広い層が関心をもつものへと変わったのです。

 現場を見ると、それぞれ場所によって参加者もメッセージも違います。ただすべて「中国化への抵抗」というテーマに行き着く。香港社会の頂点から底辺まで、その意識でつながったのではないでしょうか。

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「怒れる香港を理解できない北京」の著者

熊野 信一郎

熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)

日経ビジネス記者

1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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