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能力主義が日本の「ものづくり」を作った

『アメリカ自動車産業』の篠原健一教授に聞く

2014年11月14日(金)

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 同一労働・同一賃金の原則下では、「カイゼン」は機能しない。日本の現場には「マイルドな能力主義」が機能しているから、世界一のものづくりが可能になった――。近著『アメリカ自動車産業』(中公新書)で、年功制や能力主義といった言葉の定型的なイメージを、実証研究によって打ち崩した京都産業大学教授の篠原健一さん。その篠原さんに聞いてみたい。「なぜ生産現場ではうまくやった日本企業が、ホワイトカラーの現場では生産性が低いと言われてしまうのでしょう?」

(聞き手は 山中 浩之)

篠原先生がお書きになった『アメリカ自動車産業』を拝読しました。誤読していないかどうか最初に確認させていただきたいのですが、結局、日本企業の「ものづくり」について多々言われている美点というのは、やや煽り気味に言いますと「能力主義が支えていた」んだなと。

篠原健一(しのはら・けんいち)
京都産業大学経営学部教授。1990年、同志社大学経済学部卒業、1996年、同大学大学院アメリカ研究科博士課程単位取得退学、大阪商業大学商経学部専任講師。同大学助教授を経て、2007年、京都産業大学経営学部教授。専攻・雇用関係、経営管理。博士(政策科学)。主な著書に『転換期のアメリカ労使関係:自動車産業における作業組織改革』[ミネルヴァ書房、2003、第20回高宮賞(組織学会)、第19回冲永賞(労働問題リサーチセンター)受賞]、石田光男氏との共編著『GMの経験:日本への教訓』(中央経済社、2010)などがある。

篠原:「同一労働・同一賃金」を権利として頑なに守ってきた米国の自動車産業と、日本とを比較すると、そのように思えますよね。

雇用を維持した上で、能力に応じて給与、昇進、職場移動の形で報償を与えてきた日本企業と、「勝手に個人の能力を評価されてたまるか、だったら職場の在籍順に(いい目を見させろ」という労組(UAW)側の言い分を呑んだ米国企業、ですね。

篠原:国民性もあるのかもしれませんが、制度の影響は大きかったと思います。

日本がブルーカラーの世界で「マイルドな能力主義」をうまく制度として導入できたのはなぜでしょう。

篠原:私の認識では、戦後の占領下、GHQが入ってきて日本の社会制度に大胆な変革を加えました。そこで、ブルーカラーのホワイトカラー化が起きた。

 戦前まではざっくりいうと、日本も欧米と同じように「格差社会」で、ブルーカラーは簡単にクビを切られるし、能力主義も導入されていません。ホワイトカラーに比べ雇用が不安定だし、賃金の額自体の格差も結構あって、ゆうに数倍の差はあった。

おお。

現場に机がある米国の労働者

篠原:当時の小説や資料を読んでいると、旧帝大の先生とかって結構、いい生活をしているじゃないですか。山手線の内側に、そんなに年でもないのに一軒家を持っていて、お手伝いさんを雇ったり、人力車で学校に通ったりとかしています。そんなことは、現代の我々にはまああり得ない。やっぱり格差が大きかったと思うんですよ。

 それが戦後の労働運動で、大卒以上のエリートのホワイトカラーと、ブルーカラーの格差をなくそうという気運が盛り上がり、GHQが後押しをした。結果、戦後はブルーカラーとホワイトカラーの差が縮まり、雇用の安定と給与や出世の道が開かれた。

 この効果は劇的でした。戦後の日本の経済成長を引っ張ってきているのはブルーカラーの働きがすごく大きいし、極端なことを言ってしまうと、「ブルーカラーの社員の比率が高い産業ほど、日本は競争力があった」とすら、思うぐらいなんですよ。もちろんそうでないところもありますが。

“マイルドな”競争意識が働くことで、収益への貢献が自分の出世や所得につながる、という実感を現場が持てたことで、QC活動やカイゼン、カンバン方式などの、現場の協力が必須の仕組みが導入できた。

篠原:米国の自動車工場に見学に行くと「やあ、日本から来たのか」と作業員が話しかけてきて、こちらが心配になるくらい楽しげに盛り上がって「おっと」とかいってラインに戻る。

コメディ番組みたいですね。

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「能力主義が日本の「ものづくり」を作った」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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