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技術に溺れるな、三位一体でイノベーションを起こせ

伊藤忠商事前会長 丹羽宇一郎氏に聞く(後編)

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2014年12月15日(月)

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 日本でも話題となったフランスの経済学者、トマ・ピケティは、著書『21世紀の資本』で、資本主義が本質的に持つ欠陥を鋭く指摘している。格差を広げずに地方を創生し、企業も地域も豊かになっていくためには、「人を大事にする経営に帰る。それが日本本来のチーム力を復活させることにもなるし、会社を強くすることにもなる」と丹羽宇一郎氏は中小企業経営者に助言する。

最近、起業ブームと言える状況も起きています。これについて、丹羽さんはどうお考えでしょうか。

丹羽:起業しようと思うのは、新しいアイデアなり、技術なりがまずそこにあるわけですよね。つまり、イノベーションを起こそうとしている。イノベーションは、テクノロジーとファイナンス、インフォメーション、この3つが三位一体でないと起こすことはできないんです。

技術はあっても、資本と結び付かない日本の弱点

丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)氏 1939年愛知県生まれ。62年名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事に入社。ニューヨーク駐在、業務部長などを経て98年社長に就任。99年に約4000億円の不良資産を一括処理しながら翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を計上し、世間を驚かせた。2004年会長に退き、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任した後、10年から12年まで、戦後初の民間大使として中国に駐在した。(写真・菊池一郎、以下同)

 日本には確かに技術がある。これは素晴らしいとみな思っている。だけど、それに溺れてはいけません。技術に溺れると、「こんなに素晴らしい技術があるのに、どうしてお金をくれないんだ」となる。その技術が本当に素晴らしいのか、新しい時代を切り拓けるものなのかは考える必要があるでしょう。

 米国のシリコンバレーがなぜすごいかと言えば、テクノロジーにファイナンスが付くからなんです。ファイナンスが付くということは、そこに必ず目利きがいる。

 日本の場合、この目利きとファイナンスが一体になっていない。技術を持っている人間があまりに世間を知らない。要するに、インフォメーションが不足しているのです。これは語学の問題かもしれませんが、技術者同士の情報交換や、世界の研究者やイノベーターとの交流が非常に弱い。

技術はあるが、それと資金を結び付ける情報が足りない。そこは日本の弱点ですね。

丹羽:そう。日本に足りないのは頭脳じゃないんです。テクノロジーとファイナンス、インフォメーションを結び付ける力。そこが圧倒的に弱い。ですから、イノベーションを起こしたければ、この3つを結び付けるような政策を考えていくべきです。

地方創生には金ではなく、権限をバラまくこと

政策で気になるのは地方創生です。これにはもう、何度も挑戦しているのですが、なかなか解が見つかりません。地方の再興は中小企業の復興にもつながると思いますので、ぜひ意見を伺いたいのですが。

丹羽:地方創生、あるいは地方再生。言い方はいろいろですが、これはもう、政府が20年近く取り組んでいながら、なかなか軌道に乗りません。なぜかと言えば、金をバラまくからです。本当に地方を再生したければ、金ではなくて権限をバラまかないといけない。必要なのは中央から地方への権限委譲です。

 今国会でも地方創生の関連法案が審議され、自治体からは地方向けの優遇税制や交付金の創設など、財源を巡る要望が相次いでいます。ですが、それでは地方の創生にはつながらないのです。中央政府の言うことを聞かないと金が下りない、言うことを聞けばお金がもらえるというのであれば、誰も独創的なアイデアなんて出しませんし、逆に中央政府の権限をより強化することになります。

確かに20年前に比べると、地方の力が随分と落ちたような気がします。

丹羽 そうです。地方にとって本当に必要なことではなくて、中央からお金がもらえることばかりやるようになってしまったからです。地方の中でも、政府に頼らずに自分たちでなんとかしようと思う所はたぶん成功していくんじゃないですか。

 法人税の引き下げに関しても、今の経営者は非常に短期的な視野でしか見ていないような気がしますね。税金というのは分配率をどうするか、という問題でもあるわけでしょう。減税は誰だってウェルカムです。けれど重要なのは、その目的は何なのかという点ですね。

 ほかの国が税率を20%台にしているから日本もそうしなくちゃいけないという理屈なら、それは外国企業を日本に呼び込みたいからする、ということでしょう。これによって、短期的に企業の利益が上がったとしても、外国企業が来ることが長期的に国民全体の利益になるのか、国全体にどのようなインパクトを与えるのか、ということを経営者も考えないといけないでしょうね。

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