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最終回 小さい頃から大好きだった祖母の手づくりコンニャク 後編

File8 食べる喜び 中川明紀

2014年12月16日(火)

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 小さい頃から好物だった群馬の祖母の手づくりコンニャク。単純に食べることがうれしかったのだが、話を聞いてみると加工前のコンニャク芋は、祖父母の家はおろか、群馬の農家の生計を支えた食べ物であった。

 歴史的にも大事な食べ物だったわけだが、芋からコンニャクをつくるとなると誰でもできるものではないと祖母は言う。いつも当たり前のように食卓に載っているから気づかなかった。いったい、どのあたりが難しいのだろうか。祖母がコンニャクをつくる傍らで話を聞くことにした。

祖父は名人

 「コンニャク芋はエグミが強い。もちろんそのままではとても食べられないし、コンニャクをつくるときもしっかりアクを抜かないと美味しくできないんだよ」と祖母は言って、3年物のコンニャク芋を台所へと持っていった。約1kgある芋はハンドボールくらいの大きさでずしりと思い。

 「アクで手がかぶれるから」とビニール製の手袋をして芋を洗う。そこでふと思い立って私も手袋をした。祖母が元気なうちにつくり方を教わっておきたいと思ったのだ。

 洗った芋の皮を包丁で剥き、水を入れた鍋の中におろし金で芋をすりおろしていく。アクで表面がヌルヌルとしていて滑り、手袋をしているのに気のせいか手がかゆくなってくる。工場では乾燥させた粉からつくることがほとんどだが、家庭ではすりおろすのが一般的である。ビニール手袋がない時代は大変な思いでつくっていたんじゃないだろうか。

 「おじいちゃんはコンニャクづくりの名人だったんだよ」と祖母が言った。祖父はいつも同じ場所に構えていて台所に立つような人ではなかったので意外だった。「みんな、芋をつくってもコンニャクが上手につくれないから、おじいちゃんは近所の人に引っ張りだこ。呼ばれて遊びに行くと、その家でコンニャクをつくってあげるものだから、夜の12時を過ぎても帰ってこないんだよ。まあ、ほかで遊ばれるよりいいけれどね」

(写真:藤谷清美)

本誌2014年12月号では特集「シリーズ90億人の食 「食べる」は喜びの源」を掲載しています。世界の食の喜びを紹介したWebでの記事はこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

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「最終回 小さい頃から大好きだった祖母の手づくりコンニャク 後編」の著者

中川 明紀

中川 明紀(なかがわ・あき)

ライター

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。インタビュー記事を中心に、雑誌や電子出版物で活躍している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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