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FCVはHVより普及ペースが速くなる?

2014年12月24日(水)

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トヨタ自動車は2014年12月15日、世界に先駆けて日本で量産型のFCV(燃料電池車)「MIRAI(ミライ)」を発売した(写真:北山 宏一、以下同)

いよいよトヨタ自動車から燃料電池車(FCV)が発売されました。2015年末までの販売目標台数は400台と限られていますが、FCVはHV(ハイブリッド車)のように普及するのでしょうか。

尾山耕一(おやま・こういち)氏
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了後、デロイト トーマツ コンサルティング入社。自動車・製造業を中心にマーケティング戦略の立案などに従事。自民党の「FCVを中心とした水素社会実現を促進する研究会」の民間企業側の事務局を務める

尾山: ポジティブな要因とネガティブな要因の両方があると思っています。少なくとも普及初期、具体的に言えば2020年ぐらいまではネガティブな要因が非常に目立つので、HVやEV(電気自動車)に比べて緩やかな立ち上がりになると予測しています。

 最も大きな障害は、水素ステーションの普及が遅れていることです。日本国内にガソリンスタンドは3.5万カ所あると言われていますが、水素ステーションは今後数年でも数十カ所にとどまると見込まれています。HVは既存のガソリンスタンド網を活かせるのに対し、FCVは新たに燃料供給網をイチから整備しなければなりません。政府がいかに補助金を出そうとも、そこをクリアするのは非常に大きなハードルと言わざるを得ません。

車両価格の高さもハードルとなりそうです。

尾山: 一般的な消費者にとって、FCVは高額という印象は否めないでしょう。トヨタが発売した「MIRAI(ミライ)」は車両価格が723万6000円(税込み)です。エコカー減税やCEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金)などを合計すると1台当たり約225万円が優遇されるので、実際のユーザーの負担は500万円を下回ります。それでも200万円台前半から買えるHVと比べると、まだまだかなり高い。多くの人にとってすぐに買う選択肢に入ってくるのは難しいと思っています。

 そういう意味で当初は官公庁や法人需要が中心になるのは当然です。トヨタとしても世界で初めてFCVを量産するわけです。燃料電池システムや水素タンクなど、従来型のガソリン自動車とは異なる車両を作っていくのですから、非常に慎重に取り組んでいるはずです。品質担保の観点からも、台数を限って販売することにしたのは自然なことでしょう。

それでは、ポジティブな要因は何ですか。

尾山: 一番大きいのは、大手3社がFCVを相次いで発売するという相乗効果です。HVは当初、実質的にトヨタが孤軍奮闘で取り組んできました。ところがFCVはトヨタに続き、2015年度内にホンダが、2017年には日産自動車がFCVを発売すると明言しています。順調にいけば、FCVは2020年までに同時多発的にモデル数が増えていくと期待できます。選択肢の幅が広がるということは、消費者の関心を高めることにもつながります。

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「FCVはHVより普及ペースが速くなる?」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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