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「社会に役立つ」は、目的ではなく結果である

ミナケア代表取締役 山本雄士さん【後編】

2015年1月6日(火)

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山本:医者って、国の決める医療価格にものすごく素直に従うんです。しかも「自分たちは金のためにやっているんじゃない」とよく言うけれど、その一方で、「俺たちの給料が低いから医療価格をもっとあげろ」なんてことも言っちゃう。業界を通して、全体的にいろんな意味でナイーブだと思います。

古市:へえ。でも、世間から見ると、お医者さんって、そもそもお金儲けをしていそうなイメージですよ。そこにも食い違いがありますね。

山本雄士(やまもと・ゆうじ)
ミナケア代表取締役
1974年札幌市生まれ。1999年東京大学医学部を卒業後、同付属病院、都立病院などで循環器内科、救急医療などに従事。2007年Harvard Business School修了。独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー、内閣官房医療イノベーション推進室企画調査官などを歴任し、現在はソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャーも兼任している。また、ヘルスケア全体のシステムマネジメントを中心に、政策提言や講演活動を国内外で行っている。教育活動として山本雄士ゼミを主宰。日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医でもある。共著書に『僕らが元気で長く生きるのに本当はそんなにお金はかからない』(ディスカヴァートゥエンティワン)など。ホームページはこちら(写真:大槻 純一、以下同)

山本:そういうイメージもあるでしょうね。そもそも、病院の勤務医と開業医で、生活はかなり変わってきます。外来で比較的元気な患者さんに接するだけの仕事に限定した医者は、サービス業に徹することができる。

 一方、皆さんが日常生活でお会いにならないほど重病の患者さんばかりに接している病院の医師は、患者さんを思いつつも、忙しいわ、給料安いわで、だんだん荒んできて現場から立ち去っていく、という現状もあります。世間の「お医者さん」のイメージとの食い違いですね。

古市:山本さんが臨床医時代、ビジネスマンは金儲け、拝金主義者、と考える側の人にならなかったのはなぜですか。

山本:ならなかったなあ。なぜだろう。

古市:逆に、医療従事者でありながら、医療業界にずっと違和感を持っていたんですよね。そこを僕はもう少しお訊ねしたいです。

山本:医療では「言っていることとやっていることが違うじゃん」と感じていた。病気と闘うはずが病院で病気を待ってるだけ、というのがあるし。それに目の前の患者さんのために頑張りたいと言ったって、24時間365日寝ずに患者さんの面倒を診られるのか、それは無理だろう、なんて考えちゃう。天の邪鬼なんですね。

 でもね、本当にそんなこと、できないんですよ。どこかで折り合いをつけて寝るし、遊びにも行く。だったら、最初からそれを前提に物事を組めばいいんです。なぜ出来もしないのに、対外的に「俺が診る」と囲い込むんだろう、誰が得するんだろう、と不思議で。

俺の患者に手を出すな!

 ちなみに看護師さんの勤務体系はまた別です。ちゃんと労働基準法を順守して、三交代制のシフトになっていますから、いつでも誰かが現場に待機している。それを医者もやればいいじゃん、と思うわけ。「俺の患者」みたいな感覚、何なの?と思って。

古市:「俺の患者」感。なるほど。縄張りみたいな感じかな。

山本:囲い込んでもいいですけど、それで労働環境云々言ったって無理でしょ。それに、医療の質が下がったりしたらもってのほかです。なぜそうなるの。だから、合理的にマネジメントしていきましょうよ、という考えになっていきました。

古市:山本さんの一番の問題意識は何かといえば、仕組みですか。

山本:医者が医者らしく働けないのはなぜか。さっき(前編参照)僕が「臨床医に戻りたい」と言ったのは、理想の病院があったら戻りたいという意味。医者は医学知識をすごく学んでいるのに、実際に病院で使えることは、その知識のほんの一部だけ。患者さんが病院に来た時だけ得た知識を切り売りし、はい、おしまい。患者さんが家に帰って薬を捨ててもわからないんですよ。「困ったらまた来てね」でやっている限り、医療の未来はないぞ、と思ったんです。

古市:未来がない、というのは?

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「「社会に役立つ」は、目的ではなく結果である」の著者

古市 憲寿

古市 憲寿(ふるいち・のりとし)

慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員

1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席)。大学院で若者とコミュニティについての研究の傍らIT戦略立案等に関わる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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