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【佐々木正】「東京裁判を免れた。生き延びた恩に報いたい」

100歳になる“電子立国の父”が歩んだ壮絶人生

2015年1月8日(木)

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 戦後70年を迎えた今年、日経ビジネスオンラインでは特別企画として、戦後のリーダーたちが未来に託す「遺言」を連載していきます。

 第3回は、佐々木正・シャープ元副社長の「遺言」です。佐々木氏は戦時中、B29爆撃機を撃墜するためにレーダー技術をドイツで学び、潜水艦「Uボート」で帰国。終戦間際には、「殺人光線」の研究にも動員されました。戦後は半導体産業の離陸を牽引し、世界初のトランジスタ電卓を開発。液晶や太陽電池など、電子立国として日本が発展する基礎作りに貢献しました。

 今年100歳になる佐々木氏は、今も手帳に様々なアイデアを書き留め続けるほど、イノベーションへの熱意は絶えません。その「電子立国の父」が未来に託す「遺言」とは。

 この連載は、日経ビジネス本誌の特集「遺言 日本の未来へ」(2014年12月29日号)の連動企画です。本誌特集では、戦後リーダー34人にご登場いただきました。

 次週以降は水曜日と金曜日に掲載していく予定です。

電子立国の父
佐々木正(ささき・ただし)
台湾で高校まで過ごし、京都大学に進学。シャープ元副社長。トランジスタ電卓を日本で初めて開発し、半導体や液晶、太陽電池などの技術開発を牽引した。アポロ宇宙船の半導体開発にも関わり、米研究者から「ロケットササキ」と親しまれる。ソフトバンク社長の孫正義氏を創業期に支援した恩人でもある。現在は新共創産業技術支援機構(NPO法人)の理事長を務める。右ページの背景は本人自筆による「遺稿」。1915年5月生まれ。(写真:菅野勝男、以下同)

 もう、これが最後と思って、遺言として皆様に伝えておきたいことをお話しします。

 ノモンハン事件が起きた後の頃だったでしょうか。戦争で私は、陸軍の航空技術研究所に動員されました。当時、川西機械製作所に勤務をしていて、軍の命令によって水陸両用の航空機を作ったりしていました。それが動員されるきっかけでした。航空技術研究所で何をしたかというと、B29爆撃機を撃墜するためのレーダーの研究をさせられました。

 その技術を学んだのはドイツでした。あの頃、ドイツは連合国からの空襲に備えて、爆撃機を撃墜するために使うレーダー技術を開発していました。なぜ、ドイツには開発できて、日本にはできないのか。ドイツとは日独伊三国同盟の関係があったので、ドイツから技術を実際に見に来いと言われて、私はドイツに技術を習得しに行くことになりました。ソ連はまだ連合軍の仲間入りをしていませんでしたから、その隙にシベリア鉄道でドイツに渡ったんです。

戦時中、シベリア鉄道でドイツに渡る

 私は真空管の専門家でしたから、まずは同じ分野の権威だった(ハインリッヒ・)バルクハウゼン先生に会いに行きました。バルクハウゼン先生は、バルクハウゼン・クンツ振動というものを使って、地中通信の研究をしていました。その先生に、「なぜ、ドイツはあまり爆撃を受けないのか」と訪ねたら、爆撃機を落とすためのレーダーの研究をやっている大学を紹介してくれましてね。

 連合軍の爆撃機は、地上のレーダーに探知されること避けるために、飛行中に金属箔をぱーっと撒いてレーダーを錯乱させていました。いわゆる、ホワイトノイズです。ご存知ですか。金属箔と爆撃機の機体を区別できないように、レーダーに映し出される画面を真っ白にしてしまう。ドイツは、こうした金属箔によって錯乱されることなく爆撃機を探知するレーダー技術を発見していたのです。

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「【佐々木正】「東京裁判を免れた。生き延びた恩に報いたい」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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