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女は「ガラスの天井」、男は「ガラスの地下室」

男性の「生きにくさ」は性差別ゆえかもしれない

2015年1月9日(金)

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男性はなぜ寿命が短く、病気になりやすく、自殺率が高いのか。兵士、消防士、炭鉱労働者など危険な職業に就くのはなぜ男性が大半なのか。アメリカの男性解放運動を先導してきたワレン・ファレル氏の著書『男性権力の神話』の訳者である久米泰介氏は、女性差別の解消が進む一方、男性は「使い捨てられる性」として差別を受け続けているにもかかわらず問題視されることは少ないと指摘する。これまで「男性の権力」と思われていたことは、実は性役割による刷り込みに過ぎなかったのか。

久米 泰介(くめ・たいすけ)氏
1986年、愛知県生まれ。関西大学社会学部卒業後、米ウィスコンシン大学スタウト校で家族学のMS(修士)取得。訳書に『男性権力の神話』(ワレン・ファレル著、作品社)(写真:都築雅人)

女性差別に比べて、男性差別という言葉自体あまり聞くことがありませんが、久米さんは家族学をアメリカで研究されて、女性の社会進出が進むほど男性差別の問題が表に出てくることに気付かれたそうですね。まず、そうした研究をするようになったきっかけを教えてください。

久米:大学では社会心理学を専攻して、もともとジェンダーには興味がありました。特に僕ぐらいの世代だと男女平等は当たり前と最初から思っていたので、女性側の視点からのフェミニズムに関する研究や著作はたくさんあるのに、男性側の視点のものは一つもないことを疑問に思いました。男性学というジャンルはあるんですが、これは基本的には「女性差別をなくすために男性を変えましょう」というもので。

男性の方が割を食っているというか、不利な部分もあるんじゃないかと。

久米:そうです。女性が不利になることについては、既に差別として言及されているので改善される見込みがあるんです。しかし男性側の不利な部分についてはこれまで誰も声を上げなかった。頼みのフェミニズムも男性側のことには興味がないんです。やはり男性自身が声を上げていかないと変わらないでしょう。こういうことは、特に若い世代には共感されるという印象があります。

男ばかりが押し込められる「ガラスの地下室」

その、男性が不利になっている部分なんですが、久米さんが翻訳された『男性権力の神話』(ワレン・ファレル著)では、実にありとあらゆる事例を検証しています。原書は1993年に出版されたので、20年ほど前のアメリカの状況を反映しているわけですが。
 まず印象的なのが「ガラスの地下室」という言葉ですね。女性の一定以上の昇進を阻むのが「ガラスの天井」ですが、「ガラスの地下室」は男性が、収入と引き換えの危険な職種や長時間勤務、自殺、病気や事故による高い死亡率、徴兵、死刑といった過酷な状況に押し込められ、「使い捨てられている」現実を表現しています。

久米:性役割からくる常識が社会にまだまだ根強いことがその背景にあります。例えば、男は家族を養うために稼がなくてはならない。あるいは、女性は保護されるべきなので、危険を伴う仕事は男性が担うのが当たり前。これがたぶん逆だったら抗議するフェミニストがたくさんいるでしょう。

ある意味衝撃的だったのが、誰でも知っているはずの平均寿命の男女差ですね。アメリカ人の平均寿命は、男性が女性より6.9歳短い。ところが1920年にはその差はわずか1歳だった。日本も現在、平均寿命の男女差は6.4歳ほど(2013年)ですが、1920年頃はやはり約1歳。つまり差がどんどん開いている。

久米:自殺率も男女で顕著に違います。特に児童期から大人になるにつれて、男性の自殺率がどんどん上がって女性との差が開いていきます。男としての性役割のつらさがあって、それを抱え込んでしまうのが要因ではないのか、問題提起する必要があります。

日本では98年の金融危機を境に自殺者が急増していますが、増えたのはほとんどが男性でした。女性はあまり増えていない。自殺率で男性は女性の約2.5倍になっています。これは象徴的ですね。

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「女は「ガラスの天井」、男は「ガラスの地下室」」の著者

秋山 知子

秋山 知子(あきやま・ともこ)

日経ビジネス副編集長

1986年日経BP社入社。日経コンピュータ、日経情報ストラテジー、日経アドバンテージ、リアルシンプル・ジャパンの編集を担当。2006年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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