コンビニでは、店舗のオーナーがアルバイト希望者を面接して、採用の可否を決めています。マイナンバー関連の手続きも、オーナーがやる必要がある。
池田:当然そうなります。アルバイト一人ひとりのマイナンバーを入手して、漏洩がないように管理し、辞める時は確実に破棄する。2016年1月以降、コンビニの店長にはそうした新たな業務が加わります。しかもこのプロセスは、雇用契約を結ぶたびに繰り返さなければならない。事務負担が高まるうえ、セキュリティ関連のリスクも抱え込むことになりかねない。
コンビニだけではありません。国内の製造業では多くの「期間工」を雇用していますが、そうした人々のマイナンバーを管理する体制も課題になるでしょう。各工場の人事や総務といった部署に、新たな業務負担が生じることになりそうです。
こうした業務を自社内で完結できる企業は、限られると思います。継続的にこのプロセスを遂行するのは相当難しいでしょう。
派遣会社が複雑な業務を代行
企業にはどのような選択肢があるのでしょうか。
池田:大きく3つあると考えています。
1つめは、企業や工場がマイナンバーに合わせて新たな業務プロセスを構築し、事務負担の増加を受け入れること。ただし、流動性の高いアルバイトやパートを多く雇っている企業は、そうした負担の高まりに耐えられないかもしれません。
そうすると、2つめの選択肢が視野に入ります。アルバイトなどを直接雇用する一方で、マイナンバーの入手や管理といった業務を外部に委託する方法です。コンビニ業界などでは既にそうした機運が高まっており、当社にもいくつかお声がけをいただいています。だいこう証券ビジネスなどとコンソーシアムを組み、一緒に営業を始めたところです。
3つめは、派遣社員の活用です。コンビニなどの事業会社がアルバイトを直接雇用するのではなく、派遣社員を活用する形態に切り替えれば、マイナンバー関連の複雑な業務から解放されます。派遣社員の場合は、前に述べた「入手」→「登録」→「管理」→「破棄」というプロセスを、派遣会社が行うことになるからです。
当社のような人材派遣会社はこれまで、多くの派遣社員の個人情報を適切に管理してきました。こうした業務については、プロフェッショナルだと自負しています。
ちゃんと国民に納税させる仕組みを作ったら困る会社が出てきた?って変だよね。仕組みが悪いのでしょうか?日経さん、ひも解いてください。(2015/01/21)