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ECBも追加緩和。欧州危機「再燃」の正体

ドイツ失速で回復シナリオが頓挫。ギリシャはユーロ離脱へ?

2015年1月26日(月)

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ECBが量的金融緩和策を決定し、ユーロ離脱が懸念されるギリシャでは総選挙が実施された。ユーロ危機から脱して緩やかに回復するはずだった欧州で、何が起きているのか。吉田健一郎・みずほ総合研究所上席主任エコノミストに聞く。

(聞き手は大竹剛)

欧州が世界経済のリスクとして注目を集めています。1月22日にECB(欧州中央銀行)が決定した追加緩和や同25日のギリシャ総選挙は、ユーロ危機が再燃しているのではないかとの懸念を広げています。欧州で何が起きているのでしょうか。

吉田 健一郎(よしだ・けんいちろう)
みずほ総合研究所調査本部 欧米調査部兼市場調査部 上席主任エコノミスト
1972年東京都生まれ。96年一橋大学商学部卒業、2012年ロンドン大学修士(経済学)。富士銀行(現みずほ銀行)新宿西口支店入行。98年同国際資金為替部にて対顧客為替ディーラー。2004年よりみずほ総合研究所に出向し、08年よりロンドン事務所長。2014年10月から現職。著書に『オイル&マネー』(共著、エネルギーフォーラム社)、『迷走するグローバルマネーとSWF』(共著、東洋経済新報社)など。(写真:都築雅人)

吉田:最大の懸念材料はドイツ経済の失速です。ユーロ危機から現在まで、欧州経済のけん引役は唯一、ドイツでした。2015年にはユーロ危機から抜け出して緩やかな回復に向かうという考え方の前提にあったのは、ドイツ経済が堅調なことでした。

 しかし、昨年中頃からドイツの失速が明らかになり始めました。2014年4~6月からは、ほぼゼロ成長が続いています。当初は一時的な要因だというような分析もなされましたが、もはやそうは言っていられない状況になっています。


新興国の減速でドイツ経済に打撃

吉田:ドイツ失速の背景にあるのは、新興国経済の減速です。ウクライナ問題で欧米諸国がロシアに制裁を加えたことでロシアへの輸出が落ちていることも注目すべき点ですが、ロシアは欧州を取り巻くマイナス要因の1つに過ぎません。むしろ、中国やブラジルを含めた欧州をめぐる新興国全体が減速している点が、ドイツにとって大きな打撃となっています。

EU(欧州連合)の経済成長率の見通し[単位:%]
2013 2014 2015 2016
EUEU全体0.01.31.52.0
ドイツ0.11.31.11.8
フランス0.30.30.71.5
イタリア▲1.9▲0.40.61.1
スペイン▲1.21.21.72.2
オランダ▲0.70.91.41.7
英国1.73.12.72.5
(資料)欧州委員会、2014年11月発表

ユーロ危機から抜け出して緩やかな回復に向かうという想定が崩れたことで、欧州で債務危機が再燃するような事態は起こるのでしょうか。

吉田:債務危機については、緊急病棟を出て一般病棟で寝ていれば治るといった状態にあると考えられていましたが、ドイツの失速で再び症状が悪化するリスクが確かにあります。欧州経済はドイツとフランスがうまくいっていればおかしなことにはなりませんが、今は両国の経済成長率はともにEU(欧州連合)平均かそれ以下の水準にありますから。

デフレ回避へECBが追加緩和

吉田:とはいえ、ドイツが失速したといっても、すぐに債務危機が再燃するとは言い切れません。例えば、債務危機で揺れたスペインは労働市場改革などの成果が出始め、ユーロ圏全体の経済成長率を上回るなど、むしろ今や欧州経済のけん引役の1つになりつつあります。

 ただし、欧州がデフレに陥ると債務が実質的には増えることになるので注意が必要です。昨年12月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)はマイナス0.2%でかなり低体温の状況にあります。2009年10月以来のマイナスです。当時は、リーマンショック後の世界経済の減速という外部要因が大きかったのですが、今回はユーロ危機以降の需要の低迷というユーロ域内の問題が主な要因なので、2009年の時より悪質です。

 ECBは1月22日、国債購入などを含む量的緩和策に踏み切りましたが、デフレを回避するには追加緩和が不可欠という局面になっていました。ECBはインフレ率2%近傍をターゲットにしていますので、それと比べると現在の状況はかなり悪い。原油価格も急落しており、CPIはしばらくマイナスが続くのではと考えられています。金融市場が見る長期期待インフレ率はつるべ落とし的に下がっており、量的緩和は必然でした。

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「ECBも追加緩和。欧州危機「再燃」の正体」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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