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【坂本フジヱ】「男と女が同じなら、そらセックスもせん」

「90歳の現役助産師」が語る、生まれるということ

2015年1月23日(金)

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戦後70年となる今年、日経ビジネスオンラインでは特別企画として、戦後のリーダーたちが未来に託す「遺言」を連載していきます。この連載は、日経ビジネス本誌の特集「遺言 日本の未来へ」(2014年12月29日号)の連動企画(毎週水・金曜日掲載)です。

第7回は、国内最高齢の現役助産師、坂本フジヱ氏。約70年に渡り、赤ん坊を取り上げてきた女性が語る家族観、死生観とは。

90歳の現役助産師
坂本 フジヱ(さかもと・ふじえ)
 1945年から現在まで、約70年に渡りお産を取り続ける。お産をとる現役の助産師としては国内最高齢。取り上げた赤ちゃんは4000人。親子3代にわたって取り上げたケースもある。現在の助産所は和歌山県田辺市。子供は長男と次男の2人。1924年1月生まれ。(写真:太田未来子、以下同じ)

 先日、91になりました。現役でお産取っている人間としては、日本で最高齢やと思います。助産師の資格を持っている方としてはもっと上の方もいらっしゃるんですけど、施設に入っていて活動もしておられないとか、そんな状況なもんですからね。

 私がお産のお手伝いをするようになったのは、終戦直後の昭和20年です。最初に取り上げた赤ちゃんが70になるわけですね(笑)。数で言うたら4000人くらい赤ちゃんを産ましたことになるんかな。そんだけやってきてつくづく思うんは、同じお産って1つもない、ということです。

人にはそれぞれ「生まれ方」がある

 同じご夫婦で7人産んでも8人産んでも、お産は一回一回みんな違うんです。だから私はいつからかな、陣痛は赤ちゃんの言葉なんやと感じるようになったんです。

 例えば「微弱陣痛」という名前をお医者さんがつけているものがあるでしょう(編集部注:一般的に分娩中は陣痛が強くなっていくが、これがあまり強まらないこと。お産が長引き、母体に疲労が蓄積しやすいとして、陣痛促進剤を使うケースがある)。私はね、あれは無いんやと思うんです。

 赤ちゃんは生まれるときに10センチちょっとの骨盤の隙間を通ろうとするわけですが、微弱陣痛というのは、赤ちゃんがそん時に「ちょっと通らんな」と思って、いったんゆっくり休んで、おでこの泉門(編集部注:骨と骨の継ぎ目。胎児には隙間があり、ここを重ねることで頭部を小さくして狭い産道を通る)をもっと重ねて、それで出ていくという、メッセージなんやと私は感じたんです。

 

 ですから、私んとこではそうなった時は妊婦さんに「ゆっくりして、あんたもしばらく寝なさい。そしたらそのうちに痛んできます」って言うんです。でもこれが病院やったら、微弱陣痛という名前が付いたらじきに先生方は促進剤をやるでしょう。医療はずいぶんと良くなりましたから、今の先生方のやり方は絶対に間違いない。なんとしても命を持って出てくるようにしてくれるから、その点は心配ない。

 でも私なんかはそうやって手を加えたお産というのは、赤ちゃんにしたら自分の本意ではないんと違うかと思うんです。赤ん坊がちょっとゆっくり休ませてというときに、陣痛が弱まってすぐに促進剤を打つんは、赤ん坊に対する反逆やと思うんです。

 私は古い人間ですから、昔の考え方が強いんやと思います。今の方は皆さんお産をものすごく大仰に考えている。ご飯食べて、うんこして、寝て、起きてという生活のその一コマでお産があるとは思っていないんです。でも当たり前ですけど、大昔、病院のない時代から人間はずっとそうしてきている。何万年と、自分の体のプログラムに沿って、みんな生まれてきたんですよ。

 姿形が違うように、本当は赤ちゃんの生まれ方だってみんな違うんです。その過程一つ一つに、ちゃーんと生き物としての意味がある。でも今は厚生労働省のマニュアルというのがあって、「こういうときにはこうしなさい」となっている。人生のスタートが、皆同じようになってきてるんですね。それが、人間の自然の能力というものを消し去っていくことになっているんじゃないですか。

コメント89件コメント/レビュー

少子化対策についてまずはっきりさせとかないといけないと思うのは、産まない選択をした人にとって少子化問題はどうでもいいことなんで、日本の国がこのままでは人口減少で滅びてしまうからどうにかしなきゃと思う方々が頑張って産めばいい、という話にしかならんのです。。どういう理由であれ産まないと決めた人たちが増えているのなら少子化対策をいくら打ってもたいして出生率は上がらないでしょう。産んでくれる人を国として手厚く保護するなら、政策的に何らかの優遇をする以上、4人以上産むなどの条件検討も必要でしょうね。どちらにしろ、個人の人生の選択に国家が介入するような形になるため、解決は難しいでしょうね。となると、伝統的な家族観の啓蒙を通して何とか産んでもらおうとの活動も出てくるのでしょうが、時代も生活スタイルもどんどん変わっているのであまり効き目はないでしょう。すでに日本人は絶滅危惧種です。(2016/01/01 11:07)

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「【坂本フジヱ】「男と女が同じなら、そらセックスもせん」」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

少子化対策についてまずはっきりさせとかないといけないと思うのは、産まない選択をした人にとって少子化問題はどうでもいいことなんで、日本の国がこのままでは人口減少で滅びてしまうからどうにかしなきゃと思う方々が頑張って産めばいい、という話にしかならんのです。。どういう理由であれ産まないと決めた人たちが増えているのなら少子化対策をいくら打ってもたいして出生率は上がらないでしょう。産んでくれる人を国として手厚く保護するなら、政策的に何らかの優遇をする以上、4人以上産むなどの条件検討も必要でしょうね。どちらにしろ、個人の人生の選択に国家が介入するような形になるため、解決は難しいでしょうね。となると、伝統的な家族観の啓蒙を通して何とか産んでもらおうとの活動も出てくるのでしょうが、時代も生活スタイルもどんどん変わっているのであまり効き目はないでしょう。すでに日本人は絶滅危惧種です。(2016/01/01 11:07)

再掲載されていたので久しぶりに読み返してみた。やはり良いことをいっておられると感じた。こういう方が政策を立ててくださればいいのにと感じる、頭でっかちで常識の無い税金泥棒の議員など辞めさせて・・・。
私も男と女では役割が違うと思っている。そして、女性にしかない出産という役割は大事にしないといけないとも思っている。それらは女性が不当に評価されることではない。
いつになったら今のつまらない女性活躍推進議論が終わるのか。もっと本質的な所を見ないとますます日本は衰退していく。
坂本さんの声を聞いて欲しい。(2016/01/01 08:44)

経験や事実に裏打ちされた話と思う。
教科書や偉い先生、頭の悪い政治家、役人、
コストしか見えていない人は判らないだろう。

将来、人口問題が手遅れになった時にでも
読み返すと良いだろう。

坂本さんへ
素晴らしいメッセージをありがとう。(2015/06/28 10:54)

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