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実は日本に「ものづくり」を研究する機関がないんです

CIRP国内委員会・委員長の高田祥三教授に聞く

2015年1月27日(火)

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欧米では製造業回帰を目指した政策が目立つ。面白いのはこうした傾向が「世界同時」に起きていることだ。企業のみならず、各国の政府レベルにおいても、また、学問の世界でも、従来の分野の垣根を超えて広い意味での生産、ものづくりについて、政策や研究のあり方が盛んに議論されている。

生産分野で先端的な議論が交わされている国際生産工学アカデミー(CIRP)の国内委員会では、昨年末、東京でシンポジウムを開催し、欧米での取り組みについて話し合った。シンポジウムの内容をCIRP国内委員会の委員長である早稲田大学の髙田祥三教授に振り返ってもらった。

(聞き手は瀬川 明秀)

今回のシンポジウムの狙いはなんだったのでしょうか。

高田祥三(たかた・しょうぞう)(高はハシゴタカ)
早稲田大学理工学術院教授。1978年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。東洋大学、大阪大学を経て、1992年より現職。国際生産アカデミー(CIRP)では、編集委員会委員、理事を歴任。現在、CIRP国内委員会委員長。環境調和型生産やメンテナンス工学の研究に従事。著書に、「ライフサイクルメンテナンス」などがある。

髙田:我が国は、「ものづくり」を国の基盤として発展してきました。現在でも輸出額の90%は製造業によるものです。これを支えてきたのはわが国の生産技術の優位性であり、それによって保たれている産業競争力です。現在も基本的にこの構造は変わっていません。

 しかし、ICTが急速に発展する中で、身近なPC、スマホ、TVといった情報機器でのわが国製造業の存在感が減少していることから、ものづくり技術の重要性に対する人々の認識が少しずつ薄れているのではないかと思われます。

 一方、欧米各国は、社会、経済、技術の激しい変化の中で、国の基盤をなすのは「マニュファクチャリング」であることを改めて認識し、生産技術の強化による産業競争力の強化に取り組み始めています。(注 なお、そこでの「マニュファクチャリング」とは、製品開発から製造、流通販売まで、ものづくり活動全般を意味する言葉として使われています。)

 今回のシンポジウムでは、米、英、独、および我が国の国家レベルの生産技術研究開発プロジェクトにかかわっている方々を招聘し、プロジェクトの狙い、体制、現状などを紹介して頂きました。その後、パネルディスカッションで、今後の「ものづくり」のありかたと、さらにその実現に向けた高度生産技術研究開発にどのように取り組んでいくべきなのかなどについて議論をしてもらいました。

「これほどものづくりが注目されたのは米国では初めてかもしれない」

各国の状況をお伺いしたいのですが、まず米国は。

髙田:ご存知の通り、米国では多くの製造業が低コストの国へ製造移管をしてきました。しかし、結局、「海外シフトにより国内の雇用が失われると同時に、生産技術力が失われた」ことが明らかになってきました。製造業は経済発展に対する寄与が大きく、近年その重要性が見直されています。また、米国においても「大学、研究機関における生産技術の研究と商業化までの間に大きな隔たりがある」というのです。そこで、ものづくりに関する国策プロジェクトが立ち上がってきたのです。

 米国での取り組みを解説されたノースカロライナ大学のスコット・スミス博士は「これほどマニファクチャリング技術が注目されたのは米国でははじめてのことかもしれない」とおっしゃっていました(笑)。それほど政府の対応が変わってきたのです。

なるほど。米国で特徴的な取り組みは何かありますか。

髙田:米国は新しい生産技術のための研究開発拠点のネットワーク化に取り組んでいます。National Network for Manufacturing Innovation (NNMI)(生産革新のための全米ネットワーク)。大学の研究拠点、国立の研究所、民間企業の研究所などを結びつけるためのネットワークで、そのハブとして、米国内にいくつものIMI (Institutes for Manufacturing Innovation)と呼ばれる拠点を立ち上げています。

 そのような仕組みの下で、大学、民間企業が共同で研究していきます。研究開発と製品化・事業化の間に横たわるギャップを埋めるための仕組みを構築することを目指しているのだと思います。単に、生産技術開発にお金をつけるという話ではなく、産学官連携の仕組みづくりにお金をつけているのが特徴です。

今までこうした機関はなかったのですか。

髙田:ええ。省庁、分野を超えた横断的な研究拠点はありません。ものづくり技術開発のための「体制づくり」に取り組み始めたのが米国といえるでしょう。

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「実は日本に「ものづくり」を研究する機関がないんです」の著者

瀬川 明秀

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ビジネスアソシエなどを経て、日経ビジネスオンライン開設後はオンライン編集がメインの業務。2012年からは日経BPビジョナリー経営研究所の研究員を兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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