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原価に引きずられない最高のサービスとは?

セコム・小松崎常夫常務執行役員と探る“もの・ことづくり”(2)

2015年2月25日(水)

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 「ものづくり」が得意な日本にあって、珍しく「ことづくり」から発展してきた企業が、セコムです。実現したい「こと」に必要な、「もの」の開発を促し、さらに「こと」を進化させていくという、理想的なサイクルを体現してきています。今回も前回に引き続きセコムの常務執行役員 IS研究所所長である小松崎 常夫さんにお話しを聞きます。小松崎さんには、「ものこと双発協議会」および「ものこと双発学会」のいずれにも理事として議論に参加いただいています(3月14日に開催される「ものこと双発学会」の年次研究発表大会の詳細はこちらから)。

田中:日本で現在、将来の姿を最も考えなければならない分野の1つが、自動車です。トヨタ自動車の「レクサス」のような「こと」に近いサービスを志向する動きがある一方で、米グーグルが注力している自動運転のような未来があります。

小松崎:私たちが若手だった時代ならば、みんなが自動車を何が何でも欲しいと思っていました。

田中:最初のボーナスで自動車を買うという行動は、男性なら当たり前でしたから。しかし、今は随分と状況が変わってしまったようですが。

小松崎常夫・セコム常務執行役員 IS研究所所長

小松崎:そう考えると、欲求は社会があまり豊かでない方が強いのかもしれません。豊かではないので豊かになりたいと。ですから、欲しいものがあまりないという現状は、社会が豊かであることの裏付けであって、良いことなのかもしれません。

 私は、自動車が大好きで、冷静に考えると社会の一般的な価値観では無駄だと思われるお金を、随分自動車に使ってきたと感じています。重要なのは、クルマ好きである購入者は必ずしも原価率のようなロジカルな基準で購入していないということです。

 購入者の「夢」を満たす商品としての評価は、製造原価だけではなく販売管理費(販管費)まで含めて成り立っているはずです。お客様の満足を得ている原動力となっている店作り、接客応対などは原価ではなく販管費に入ると思います。ですから、原価率を下げることばかり考えるのではなく、販管費までのトータルでどのように効果を出すかを考えなければならないと思います。

 かつての大量生産時代の初期であれば、原価率で事業を評価することが正しかったのかもしれません。同じようなものを持つことがステイタスだった時代に、同じものをいくらで作るのかということが競争における大きな力となっていました。

 当時の日本メーカーは、原価率の競争で勝つことが多かったのだと思います。その当時苦労してきた方たちが、現在の日本メーカーの幹部クラスの多くを占めています。私も含めてこうした時代を経てきている人たちは、原価率だけを過剰に重要視する傾向があります。そうした中で、セコムが原価率至上主義に陥らずに発展してくることができたのは、原価プラス販管費に対するこだわりが強かったことが1つの要因だと感じています。

 私がグループ会社に出向して運営責任者をしていた時など、例えばその会社の事務所の水道光熱費まで見て経営するように創業者の飯田亮(現・最高顧問)から指導を受けた思い出があります。つまり、原価だけでは見えない部分まで見回すことが大切だと思います。水道光熱費は事業所をいかに上手く運営しているのかという面で1つの大事な指標になります。例えば、だらだらと意味のない残業が目立つ運営をしているならば電気代が高くなってきます。こうしたことにも厳しいのがセコムの強さの一端だと思います。

 このような話を時々メーカーの幹部の方々にお話をすると、びっくりされる場合が少なくありません。日本メーカーの幹部の方々の多くは、原価率を過剰に重要視しているように感じます。

田中:外資系企業の場合、同じような状況にあると思います。例えば、私が長く勤めた日本IBMでは、事業に対するすべての収益を問われました。ある事業所は、なぜ先月、電話代が多くなったのか、というようなことも聞かれました。

 その理由は、例えば工場におけるトラブルからタイとの間で頻繁に連絡を取る必要があったからなど、製造原価に反映されないコストが見えてきます。

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「原価に引きずられない最高のサービスとは?」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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