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「自衛隊カード」をもっとうまく使おう

東京財団研究員兼政策プロデューサー、西田 一平太氏に聞く

2015年2月13日(金)

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2月10日、日本のODAの基本方針「開発協力大綱」が閣議決定された。これを機会に「我が国は、自衛隊と国際援助を政策的に連携させるべき」との主張がある。右傾化が案じられる時期だけに、その内容が気になるが…。

聞き手は山中浩之

2月10日に、政府開発援助(ODA)の基本方針を定めた「ODA大綱(1992年制定、2003年改定)」に代わる「開発協力大綱」が閣議決定されました。西田さん達は、「ODAに代表される開発コミュニティと、自衛隊に代表される安全保障コミュニティの対話、協力態勢を」と訴えていますね。

西田 一平太(にしだ・いっぺいた)
東京財団研究員兼政策プロデューサー、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士(開発学)。組織コンサルティング会社など民間企業に勤務後、2004年から非医療ボランティアとして緊急人道NGO「国境なき医師団(MSF/Medecins Sans Frontieres)」に参加。紛争国の南スーダン・リベリア共和国等でのミッションを経て帰国、内閣府国際平和協力本部事務局にて研究員として勤務。2011年6月より現職。東京財団では、安全保障と対外援助のプロジェクトを手掛ける。松下政経塾塾員(第29期生)。

西田:はい。東京財団では2013年に対外援助のプロジェクトを立ち上げて、ジブチや南スーダンなどでの現地調査や欧米のシンクタンク・政府関係者らとの意見交換を通じ、安全保障の観点から対外援助を考える研究を進めてきました。この過程で明らかになったことなどを、「ODA大綱改定への安全保障の視座からの提言」として纏め、昨年10月に公表しました。

 開発と安全保障を包括的に捉えた指針が必要、という内容ですが、自衛隊が紛争地に直接的に介入せよといった勇ましいモノではありません。既存の枠組みの延長上でできることがある、と示しています。

例えば、ODAを実施する側、国際協力機構(JICA)さんと、自衛隊とが一緒に動くのは、今までに事例はないんでしょうか。

西田:あります。代表的なのは、自衛隊がイラクに派遣されたときです。当時、「車の両輪」と表現されていたと思うんですけれども、自衛隊の活動をより効果的にする支援策としてODAが用いられてきた。

 ODA実施機関のJICAも自衛隊との協力を行ってきています。最近だと、ハイチ地震での救援活動や、2013年11月のフィリピンの台風「ヨランダ」への対応で自衛隊とJICAが協働してきました。南スーダンでも、JICAの事業実施に当たって、自衛隊が既存施設を取り壊して整地をするなど、このような事例は、日本による支援が目に見える「オールジャパン」案件として増えてきています。

井戸をすぐ掘る軍隊、利権争いを案じる開発

軍隊は目立ちますから、連携した支援策も目に入りやすいと。

西田:一方で、開発と安全保障の間での政策的なレベルでの連携は、これまで積極的にやってこられなかった。

なぜでしょう。

西田:基本的に開発協力というのは、相手国の経済成長、あるいは社会的発展に寄与するために行われるものだということで、国連PKOを含め自衛隊の海外活動のような国際安全保障にかかわる分野との連携は、開発コミュニティ側はそもそも想定してこなかったわけです。また、日本で一番初めにODA大綱が策定された1992年当時に最も重視されたことの1つが、「日本の援助が軍事的に用いられないこと」。相手国の軍事動向に注意することと併せて実施原則とされました。これは日本の戦後の歩みという前提に加えて、1990年に湾岸戦争がありましたよね。

ああ、当時、イラクへの開発援助が軍備拡張に回されたという指摘が。

西田:そうです。先進国側があまりに無思慮な援助をしてきたことも、イラクの軍事大国化の一因ではないか、といった批判もあったわけなんです。

 これに対する回答として、きちんと国の方針として「軍事伸長に資するものではない援助をしよう」という考え方が提示されました。ということで、ODA側では機能面、政府の方針という2つの意味で、軍、安全保障、というものに対して距離感があったわけです。でも、理由はそれだけではない。

 私ももともと人道援助をやってきた人間なので分かるんですけれども、援助の現場で、軍、ないしは軍人と親しくしているということは、地元の人からすると、「要はあなたたちは、我々の国に介入している軍隊の人たちの仲間、同類なのね」と見られてしまう。

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「「自衛隊カード」をもっとうまく使おう」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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