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無責任なゴシップが組織を壊す――ダメな会社の病巣とは

変われない人は、周りが変わるのを邪魔しない

2015年2月18日(水)

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「田中部長のやり方ってひどいよね」
「あんな言い方しなきゃいいのに。中村さんも怒ってたよ」
「そうだよね。けど言っても直らないよ、きっと」――。

 このような何気ない会話は、どの企業でも普通に交わされているのではないだろうか。しかし、この手の「ゴシップ」を放置しておくことはとても危険だ。上司を滅ぼし、ゴシップを交わしている人たちを滅ぼし、最後は組織全体を壊してしまう。

 こう話すのは、企業、病院、学校などの変革・再生を手がけてきたエグゼクティブコーチの岸英光氏。岸氏は、「企業が変われない大きな要因の一つがゴシップ。社内のゴシップを1割減らすだけで、組織は大きく変わる」という。今回は岸氏に、社内ゴシップの問題点と、どうやってゴシップを減らし組織を再生していくかについて話を聞いた。

(聞き手は小野口哲)

昨年の日経ビジネスオンラインで掲載した、岸さんと日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さんの対談を読んで、「社内で交わされるゴシップが組織を壊していく」話がとても印象に残りました。「組織ってこうやって壊れていくのか」と。そして「自分もゴシップを話してしまっているな」と自戒の念も込めて思ったわけです。

:それは素晴らしい観点です。ただ、お気になさらずに。日本の企業は、どこもそうなっているのですよ。ゴシップはものすごく怖いです。私も企業とか病院とか学校とかの変革をお手伝いするときに一番気にするのはゴシップのことです。

詳しく伺う前に、「ゴシップとはなんぞや」というところから確認させてください。日本でゴシップというと、ゴシップ記事、例えば芸能人の不倫や不祥事のような話を想像してしまいますね。

:ゴシップという言葉は、日本では「なんとなく」しか理解されてないんです。よくゴシップ雑誌とか、ゴシップ記事と言うじゃないですか。多くの人が抱くイメージは噂(うわさ)です。でも、うわさには英語で「ルーモア(rumor)」という単語が別にあります。それから醜聞は「スキャンダル(scandal)」という言葉が別にあります。

岸英光(きし・ひでみつ)氏
岸事務所代表/コミュニケーショントレーニングネットワーク統括責任者/エグゼクティブコーチ。大学卒業後、企業で企画・営業・開発を手がけると同時に、最新の各種コミュニケーション・能力開発などのトレーニングに参加。日本人に即したプログラムをオリジナルで構築。人間関係や能力開発に関する分野のセミナー・講演・研修・執筆活動を展開。数多くの企業で顧問(コーチ)として活動すると同時に、各地の保育園、小学校、教員研修などでの講演、一般参加者対象の連続講座の全国展開など、機能するコミュニケーションを日本の文化にするべく、精力的に活動中。講演・講座・研修は、全国で年300回以上。主な著書に、『弱音を吐いていいんだよ』(講談社)、『働く男子のルール』(明日香出版社)、『ほめない子育てで子どもは伸びる』(小学館)など。日経BP社主催の「課長塾」の講師も務める。

英語では、状況などに応じて適切な単語がきちんとあるのですね。

:その通りです。根も葉もないうわさは「デマ(語源はドイツ語のdemagogie)」、人をおとしめたり、何か扇動するのは「アジテーション(agitation)」という言葉があります。つまり、ゴシップとうわさ、醜聞、流言、扇動などは全部違うもので、ちゃんと区別があるんです。

 同様に、日本で「みんなコミュニケーションを取ろう」と言うと、何をすることになるかといったら、会話をしようということになるんです。でも会話は「カンバセーション(conversation)」という言葉がある。対話は「ダイアログ(dialog)」です。情報伝達は「インフォメーション(information)」です。相互の意思疎通は「インタラクション(interaction)」です。

ゴシップは噂ではなく、悪口とは限らない

 ゴシップというのは、ある人の言動について言いたいこと(質問や確認や訂正を求めたいことなど)があるときに、「その人の言動に責任が取れない人に話をすること」を指します。学術的な定義ではないので辞書には載っていませんが、私などを含めて、コミュニケーションを扱っている人たちの中ではこういうものをゴシップと言っています。

 ある人に言いたいことがある場合、例えば、言いたいことは文句でも、ただの質問でも、それからなぜそれをやるのか理由が知りたいだけでも、または言いたいことを聞きたいだけでも、またはこっちが訂正を求めたいから変えてほしいよということでも、実は全部なのです。

 ゴシップというと悪いうわさとか、悪口って思われがちです。よく日本では、「悪口を言わないようにしましょう」などと言いますけど、悪口とは限らないのです。

 例えば、情報の伝達の段階で、私が指示したことに関して私の部下同士が、「岸さんの言いたいことって結局こういうことだよね」「そうだよね」とお互いに言い合って、「そうだ」と勝手に決めてしまうことがあります。これが、「本当に僕の言いたいことじゃなかった」場合でも、それが僕の言ったことのようになってしまいます。これは別に悪口ではないですよね。

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「無責任なゴシップが組織を壊す――ダメな会社の病巣とは」の著者

小野口 哲

小野口 哲(おのぐち・あきら)

日経ビジネスアソシエ副編集長

日経バイト、日経モバイル、日経パソコン、日経コンピュータ、日経PC21、日経ビジネスなど日経BP社の雑誌を渡り歩き、2015年4月から現職。趣味・生きがいは“食べること”。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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