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収益拡大も日本メーカーは真の稼ぐ力を回復していない

淺羽茂・早稲田大学ビジネススクール教授に聞く

2015年2月26日(木)

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 自動車、電機を中心に製造業の収益が拡大し、業績の上振れも相次いでいる。その要因を、急速に進んだ円安の恩恵だけでなく、構造改革によって日本メーカーの「稼ぐ力」が高まったことに求める見方も広がっている。

 果たして、日本の製造業の稼ぐ力は本当に高まったのか。経営戦略論などを専攻し、日本の経営論壇をリードする淺羽茂・早稲田大学ビジネススクール教授に見解を聞いた。

(聞き手は中野目 純一)

円安の急速な進行もあって、製造業の収益が拡大しています。

淺羽:業績が上向いているのは、まずは喜ばしいことですね。これまではいわゆる「六重苦」が日本企業の業績を低迷させていると言われてきましたが、その一つである円高が解消されたことで、日本企業は一息つくことができたでしょう。

 ただし、業績が上振れしたことを手放しで喜べるわけではありません。そもそも円安の進行によって業績予想が大きく外れるのはあまりよいことではない。原油安は予想外だったにせよ、ここ2年ほど円安基調が続いているにもかかわらず、その先行きを見誤って業績予想にしっかりと織り込めなかったことにもなるわけですから。

多くの企業が構造改革に取り組むのはこれから

製造業の収益拡大の要因として、構造改革によって収益力、すなわち稼ぐ力が回復したことも挙げられています。その点はどうでしょうか。

淺羽 茂(あさば・しげる)氏
1985年東京大学経済学部卒業。90年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。99年米カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院博士課程修了。学習院大学経済学部教授などを経て、2013年4月から現職。博士(経済学)、Ph.D.(Management)。主な著書に『経営戦略をつかむ』(共著、有斐閣)、『企業の経済学』(日経文庫)、『企業戦略を考える―いかにロジックを組み立て、成長するか』(共著、日本経済新聞出版社)、『経営戦略の経済学』(日本評論社)など(写真:都築 雅人、以下同)

淺羽:円安は、日本企業に3つの朗報をもたらしたと考えられます。1つ目は、製品の価格競争力が少し回復し、売り上げを増大させた効果です。

 2つ目は、海外から日本を訪れる人が増え、彼らの需要が国内市場の縮小を補完する効果です。この2つ目のインバウンドの効果は鉄道や小売業などの業績を改善させています。

 3つ目の朗報についてお話しする前に、メーカーの業績を改善させた1つ目の効果について、もう少し詳しく検討しますと、収益を拡大した企業はいくつかのパターンに分かれます。

 構造改革にはまだ取り組んでおらず、円安だけで業績が上振れしたところ、同時にコスト低減を進めて収益性を高めたところ、さらに事業の選択と集中も進めて収益構造まで改善したところに大きく分かれると思います。

 株式市場はそうした点を反映していて、リーマンショックが起きる前から株式の時価総額を大きく増やした企業を見ると、トヨタ自動車やホンダ、パナソニック、ソニーといった今回の収益拡大の主役である自動車や電機の代表企業は入っていません。

 株式の時価総額をリーマンショック前からの約7年間で大きく増やしたのは、例えば中国や東南アジアなどで紙おむつの市場を開拓したユニ・チャームや、自転車部品で海外シェアが高いシマノといった企業です。自動車でも、軽自動車の生産撤退などの構造改革を進めながら、北米販売に注力してきた富士重工業が時価総額を6倍超に増やしました。

 こうした構造改革を着実に実行してきた一部の企業を除けば、多くのメーカーは円安で一息ついたところで、真の稼ぐ力を回復するためには、コスト低減、収益構造改革の手を緩めることはできないというのが実情でしょう。

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「収益拡大も日本メーカーは真の稼ぐ力を回復していない」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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